休日の出会い
さて、昨日はいろいろあったから忘れていたが、今日は日曜日…つまり…
「やっと来たぜ…休日が…!」
よし!せっかくの日曜日だ!有効に使わないとな!
「まぁまだ起きなくても良いか」
休日だと思い出して興奮して目を覚ましちまったけどまだ起きなくても大丈夫だ
「一応アラームかけとくか」
俺は起きられなくなった時のために携帯のアラームを仕掛けておく。これでよし
「つーわけでお休み~」
俺は再び眠りに落ちた
「?あれ?」
次の瞬間、なぜか俺は自分の部屋に立っていた
「俺、さっき寝たはずじゃ…?」
その時部屋のドアに誰かがノックしてきた
「陽多君、入っていい?」
「ああ香奈か。良いぞ」
まだ軽くわけわからんが香奈が来たので中に入れる。
だが
「じゃあ入るよ~」
「ああ……!?か…か…香奈!?な、なんだその格好は!?」
入ってきた香奈はなぜか下着姿だった!
「これなら陽多君が喜んでくれると思って」
「よ、よくわかって……じゃない!いきなりすぎるだろ!」
だが香奈は俺の言葉などおかまいなしに俺に抱き着いてきた
「うおあっ!?」
「ねえ陽多君…陽多君もちゃんと私を抱きしめて…」
「く…くう…」
俺はこの辺りで展開が読めてきたため急いで香奈の背中に手を回して抱きしめる
「じゃあ次はキスして…」
「………」
香奈が目をつぶって唇を突き出す姿に見とれるが善は急げだ!早くしないと…そろそろあれが…!
「よ…よし…!」
決心した俺は目をつぶり香奈に……と、その時、突然大きな電子音が聞こえてきた
「あ!やべぇ!」
俺はその音を聞くと同時にその世界からリタイアとなった…
「くそったれぇ!!」
即効でうるさい携帯のアラームを止める。
ああわかってたさ!あれが夢だったことくらい!でもせっかくだからもう少し続きをみたかった!
「はぁ……ん?抱きまくらかこれ?なんかスゲー良い匂い…」
……あれ?でもなんだか嗅ぎ覚えのある匂いだな…どこで嗅いだっけ?気になったので目を開けて見てみると
「んぅ……」
「………はい?」
一瞬まだ夢を見てるのかと疑った。だがこれは現実だ。
そうかそうか、横で香奈が眠っているというのは現実なんだー…
「えええええ!?」
こうして俺の休日は絶叫からスタートすることになった
「はぁ……俺を起こそうと思ったのに眠くなって布団に入っちまった、と…」
「あはは…うっかりしちゃったよ」
どうやらこれが真相らしい。恐らくあんな夢を見たのも香奈が横で寝ていたからだろう。
なんか朝から疲れた…
「ところで陽多君。今日なんか予定とかあったっけ?」
「いやなにもないぜ?」
「じゃあせっかくの休日だし二人で出かけない?」
「ああ良いぜ。どっか行きたい所あんのか?」
「う~ん、特に考えてなかったんだよね」
つまりノープランで出かけるってわけか
「んじゃ適当に回りますか」
「うん!」
というわけで俺と香奈は二人で出かけることになった
「さてと…まずはどこに行こうか」
「ゲームセンターとか良いんじゃない?最近行ってないし」
「おっ、名案だな」
今歩いてる所から偶然にも近いしな
「にしても……さっきからたまに嫉妬混じりの視線が飛んでくるんだが」
「私もさっきからウザいと思ってたんだよね。叩きのめしてこようか?」
「やめとけやめとけ」
「最近私の出番も少ないしたまには暴れないと」
「まだ気にしてたのかよ!ヤンデレモードになれば目立てんじゃね?」
「流石にそれは嫌かなぁ…」
お、見えてきたな
「よっしゃ、入ろうぜ」
中に入りどのゲームで遊ぶか見てみる
「レースゲームあるよ。確か陽多君得意だよね」
「おう、久しぶりにやってみるか」
早速お金を入れて起動させる
「車は…いつもの赤いので良いか」
そしていざ始めようとしたときだ
「ん?乱入者だと!?」
「誰か他にやってる人がいるみたいだね。誰だろう?」
「軽く気になるが俺は試合が終わった後しか相手の正体は見ない主義なんだ」
というわけで…
「スタートだ!」
相手は青い車を選択したらしい。さーてどのくらいの腕前なんだ?
「まずは距離を離して…なに!?追いついてきやがった!」
「ほとんど同じ速さだよ!」
馬鹿な…青い車より赤い車の方が正面の道では強いはずなのに…!
「あっ!カーブの部分で抜かれた!」
「こなくそぉ!!」
負けられん!この勝負負けるわけにはいかない!
「一体誰が相手なんだろ………あ!」
相手を確認したらしい香奈が驚いたような声を出した
「どうした?知ってるやつだったのか?」
「………試合終わった後に知ったほうが面白いかも」
確かに…自分で言ったんだし今知るより終わってから知るほうが良いよな!
「うおらああああ!!」
俺は必死に相手に食らい付く、そして俺にチャンスが訪れた
「最後の正面道……すなわち抜かせる最後のチャンス…!」
ここで一気に急接近!
ここで失敗すれば俺の負けが決定する
「負けるかああああ!!」
「まるでなにか凄いことでもしてるみたいだね…」
香奈がなにか言ったようだが聞こえない。今の俺はこっちに手一杯だ。
そして……ゴール!
結果はコンマ一秒で俺が負けた…
「はあ、負けたか…だが清々しい気分だぜ」
「そっか。じゃあ対戦相手が誰だか見ておく?」
「ああ、良い試合だったって伝えなきゃな」
というわけで横を見てみると……そこには…
「………あれ?」
「………え?」
向こうもこっちに気づき目が点になっている
「「た…対戦相手って…」」
もはややることは一つ
「「空 (陽多)かよ!!」」
二人同時に叫ぶ。うん、驚いたけど妙に納得したぜ
「結局最後までお互い誰が相手かわからないで試合してたね」
「あははは、なんか見てて面白かったよ」
香奈と空と一緒にいた紗季が言う
「にしても凄かったな空の走り。俺、このゲームで負けたの初めてだぜ」
「いや俺も危なかったよ。ほとんど同時のゴールだったし」
「ああ、ならまだ俺が全く勝てないってわけじゃないよな。次は負けねえぞ!」
「上等!次はもっと引き離してみせる!」
と、空と再戦の約束をした時、俺は気になる人を見つけた
「ん?あの人…」
「どうしたの陽多君?」
「ああ、あのクレーンゲームの前で立ってる人さ、多分昨日俺がぶつかりかけた人だ」
「え?そうなの?暗かったからよく顔見えなかったからわかんないけど」
「ああ、俺は間近で見たからな」
あんな上品そうな身なりした人がゲーセンに来るなんて珍しいな…。
にしても結構可愛らしい顔してんなぁ。しかも綺麗な青髪だし。
お、発育も悪くねえな。出るとこはちゃんと出て…
「……陽多君?」
「ひいっ!?」
軽く見とれていると後ろから尋常じゃない殺気を感じた
「うふふふ、今なにをしてたのかなぁ?まさかあの娘に惹かれてタンジャナイヨネ?」
「ははは、良かったな香奈。久しぶりのヤンデレモードで目立てるぞ……ってぎゃあああ!手刀の速さが常識を超えてる!」
「まずい!香奈ちゃんを止めなきゃ!」
「え?なにこれ?香奈はどうしちゃったの?」
「とにかく今は押さえるの手伝って空君!」
「うお!?落ち着け香奈!」
なんとか三人がかりで止めにかかるがなかなか香奈が冷静にならない……やばい!
その時だ
「あら?貴方昨日会ったわね?」
「!!ど、どうも…って!危険だから離れてくれ!」
あろうことか青髪の少女が俺に話しかけてきた。てかよくこんな状況の俺達を見て話す気になったな
「その暴れてる娘って昨日貴方と一緒にいた娘じゃない。なにかあったの?」
「これにはいろいろとわけがあって……冷静になればなんとかなるからそれまで近づかないでくれ!」
「あら、駄目よそれじゃ。冷静になるのを待つんじゃなくて冷静にさせなきゃね」
すると少女は香奈に話しかけた
「貴女はなんでそんなに暴れてるのかしら?」
「うう…陽多君は私だけを見てれば良いの…それが一番なのよ!」
「そういうことね。安心しなさいな。私は貴女の大事な人を奪ったりしないわ」
「本…当…?」
「ええ。それにね、貴女の大切な人はちゃんと貴女を見てる。大丈夫よ」
「………うん」
香奈から力が抜けたので俺達は香奈を抑えるのをやめる。
凄いなこの人…本当に香奈を冷静にした
「ありがとな。おかげで助かった」
「いいえ、でも貴方も気をつけなきゃ駄目よ。今回はなんとかなったけど次はどうなるかわからないからね」
「ああ」
しかし大切な人か……やっぱり幼馴染みだから香奈も俺を大切に思ってるってことか?
「おっと、そういえば自己紹介もまだ済んでないな。俺は組谷陽多だ。あんたは?」
「紅真優里よ。よろしくね」
少女―紅真は微笑みながら言った
その後他の皆とも自己紹介を交わした
「でも紅真って…あの紅真企業の?」
「ええ」
あ!思い出した!紅真企業って最近大きくなった企業だ。たまにうちの両親の会社とも契約したりしてるらしいし
「そういえば紅真さん、さっきクレーンゲーム見てたよね?」
「ちょっと欲しいものを見つけたのよ」
「どれだ?」
その中にはいろいろと可愛い動物のぬいぐるみが入っていた
「あの猫なんだけど…」
「うわぁ、結構奥に埋まってるなぁ」
空が中を確認しながら言う。確かに…取りにくそうな所にあるな
「難しそうよねやっぱり」
「いや、俺達が頑張って取ってやるよ。さっきの礼だ」
「あ、じゃあ私もやる。紅真さんのために頑張るよ」
俺と香奈が声を上げる
「本当に!?ありがとう!」
紅真は嬉しそうな声を出した。
その後、空はクレーンゲームは苦手で紗季はゲーセン自体ほとんど来てないとのことで俺達が挑戦したのだが…
「よし行けっ!そのまま…ああっ!外れた!」
「取れた!取れたよ……って!?あれ猫じゃなくて豚さんだ!」
「どんな間違いだ!」
結果、全然取れなかった…
「うう…すまん紅真。俺達の力不足で…」
「あともうちょっとだったんだけど…」
「良いのよ二人とも。頑張ってくれただけでも嬉しいわ」
紅真は笑顔で許してくれた。ああ…本当に面目ない…
「そういえば……子供の頃もよくクレーンゲームで遊んでたわね」
「誰かと一緒に?」
「ええ。でも最近会ってないのよね。今頃どこでなにをしてるのやら…」
紅真は少し悲しそうな顔になった
「きっとまた会えるよ。大切な幼馴染みなら絶対に」
香奈の言葉に紅真は微笑む
「そうね。そう信じるわ」
その時だった
「お、陽多じゃねえか。お前もゲーセンか?」
「おう賢也か。なんだかんだで全員揃ったな」
後ろから賢也が話しかけてきたので振り返る
「なんだ、皆一緒………か……?」
すると賢也が紅真の方を見て表情が変わった。なんか凄く驚いてる
「あら…?木崎…君…?」
「紅真…?紅真だよな!?久しぶりじゃねえか!」
……なんだ、展開に着いていけんぞ
「……あの紅真さん?賢也君のこと知ってるの?」
驚きながらも香奈が聞いた
「ええ。さっき話した幼馴染みが木崎君よ」
……少し時が止まった。
だがすぐに
『えええー!?』
俺達四人の驚愕の叫びに変わった!