少女とコンパス
香奈side
「ふあぁ……もう朝かぁ……」
私は目を擦りながらベッドから体を起こす。昨日はパーティの後、すぐに寝ちゃったんだっけ……
「まぁ、今日は日曜日だし、ゆっくりしてても良いんだけどね……」
でも目が覚めてきちゃったな。しょうがない、起きようか
「陽多君はまだ起きないだろうし……どうしよっかな」
朝食を作るにはまだ早いし、掃除は昨日やったし……。
……うん、早く起きたけどやることないや
「よし、じゃあたまには朝の散歩をしてみよっかな」
結構気持ち良さそうだしね。
ということで、私は一人、朝の散歩に行くことになった
日曜日の朝、私は周りの風景を見ながら歩いていた
「やっぱり人はあんまりいないね」
すれ違う人も少なく、前を見なくても大丈夫な状態。これならのんびりと歩けそうだね
「ん~、たまにはこういうのも良いな~」
今度は陽多君も誘ってみようかと思ったけどやめた。朝早く起きるタイプじゃないからね、陽多君は
「………ん?」
その時、私は気になるものを発見した。
いや、ものじゃないね
(女の子?中学生くらいかな……?こんな朝早くに歩いてるなんて珍しいね)
今まですれ違ってたのもお年寄りが多かったしね
(というか……何か困ってるのかな?)
黒い髪の女の子は周りをキョロキョロと不安そうに見ていた。何かあったのかな?
「あの?」
「ひゃっ!?な、何でしょう?」
放っておけなかった私が声をかけると女の子は凄く驚きながら答えてくれた
「もしかして道に迷ったの?行きたい場所があるなら私が連れていってあげるけど……」
「あ、いえその……」
あれ?違ったのかな?
「じ、実はその……よく分からないんです……」
「道が?」
「いえ、それが……ここがどこだかも分からなくて……」
「え?じゃあどうやってここまで来たの?」
「それも分からないんです。私、ここに来る前の記憶が無くて……」
「ええっ!?」
き、記憶喪失ってことかな?これは思ったよりも大変だね
「何か持ってたりしないの?記憶に繋がりそうな物とかさ」
「えっと……実はこれが……」
女の子はポケットからそれを取り出した
「それって……コンパス?」
「は、はい……」
コンパス。いつも私が使っているような針と鉛筆が付いている普通のコンパス。
ただ、一つだけ違うのは
「何か……少し赤くない?」
「そうなんですよ……気味が悪いですよね」
青色の中に少し赤色が混ざったコンパス。うん、不気味だね
「ねぇ、とりあえず家に来ない?」
「えっ?」
女の子は驚く。流石にいきなり家に来てって言ったから怪しんでるのかな?
「何だか放っておけなくてね。嫌なら良いんだけど」
「い、いえ、ありがとうございます。少しびっくりしちゃって……良いんですか?」
「勿論だよ」
「ありがとうございます!」
女の子は頭を深く下げる
「あはは、そんなに固くならなくても良いんだよ。私は楓実 香奈。香奈で良いよ」
「香奈さん……」
「うん、よろしく!ところで貴女の名前は?覚えてる?」
「はい、私は矢倉加那と言います」
あれ?加那?
「貴女も名前が『かな』なんだぁ。凄い偶然だね」
「ふふ、本当ですね」
私と加那ちゃんは笑いあう
「じゃあ行こうか」
「はい!」
というわけで、私は加那ちゃんを連れて、家に帰ることになった




