友達だってば!
俺と香奈は途中で蜜柑と別れて、星雲学園に到着した。
そして、いつも通り教室に向かった
「おはよう皆」
「あ、おはよう二人とも」
「おはよう、今日は遅かったわね」
教室に入り、いつもの面子の所に行く
「うん、今日は辰也君に呼び出されてね。話してたら時間が経っちゃって」
「それで今日は一緒に登校できなかったんだね」
空が納得したように頷く
「それでね、気になることがあったんだよ」
「なになに?」
香奈が早速、辰也と一緒に登校していった古村の事を皆に話した
「へぇ、辰也って彼女いたのか」
「いや、本人達は付き合ってないって言ってたぞ」
まぁ端から見たら間違いなく誤解されると思うが
「その古村ちゃんは辰也君の事をどう思ってるのかしらね?」
優里が言った。ふむ、好意を抱いてるかどうかって話だろうな
「そればっかりは本人にしか分からんだろうな」
「まぁそうね」
「あんまり詮索するのも良くないか……気になるけど」
そもそも香奈が言い出しっぺなんだけどな
「っと、そろそろ席に着こうか」
紗季が言って少しして、岩田先生が入ってきてHRとなった
辰也side
「ふう、何とか間に合ったな」
HRが始まるより前に学校に到着した俺と唯花。
間に合った事にホッとした唯花が言った
「遅刻しなくて良かったな、辰也」
「少しくらい遅刻しても良かったんじゃね?」
「駄目だ」
やれやれ、こいつは相変わらずだな
「お!二人ともおはようさん!今日は遅かったじゃねえか」
「おはよう。まぁ色々あってな」
俺達に話しかけてきたのはクラスメイトの一人。
さて、こいつには色々と聞かないとな
「なぁ、昨日俺が早く帰った時、唯花にも事情を説明してくれたんだよな?」
「もちろん。俺を信用できねえのか?」
「できん」
「酷ぇ!」
こいつは馬鹿だからな
「だ、だがよ、本当に説明したんだぜ?唯花は納得してなかったが」
「当たり前だ。私は辰也本人の口から理由を聞きたかったのだからな」
「……悪かったよ」
俺は唯花に謝る。こいつは怒らせると後が怖いからな
「よし、その態度に免じて今回の件は許すことにしよう」
「偉そうだなおい」
「次からは怒られるような事をするなよ」
「はいよ~」
そう言った俺だったが、この後一時間目の授業で居眠りをして、唯花に怒られる事になるのだった
学校が終わり、俺達は下校する
「全くお前は……ほとんどまともに授業を聞いてなかっただろう?」
「聞いてたよ、五分くらい」
「少しは反省しろぉ!!」
「痛っ!!」
ついに俺に唯花の拳骨が落ちた。痛ぇ……
そして、頭の痛みに耐えながら唯花と二人で歩いていた時だった
「あれ?辰也さん?」
「うん?」
振り向くと、そこには瑠美と菜由華の姿があった
「よう、蜜柑はどうした?」
「学校で補習です。遅刻した罰で」
「遅刻って……何やってんだあいつは……」
これはあいつの帰りは遅くなりそうだな
「辰也、その娘達は?」
「ああ、蜜柑の友達だよ」
「どうも!暁瑠美です!」
「西原菜由華です、よろしくお願いします」
「で、こいつは古村唯花だ」
「何故辰也が言うんだ!?私は自分で名乗れるぞ!?」
「あ、そうだったのか?」
「朝も普通に名乗っていただろうが!こほん、とにかくよろしくな」
俺に抗議した後、唯花は二人に微笑みながら言った
「あれ?辰也さんって彼女いたんですか?」
「全然知らなかった~!」
「ち、違う!私は辰也の彼女ではないぞ!」
「何か朝も似たような誤解を受けたよなぁ」
手をブンブン振りながら否定する唯花
「でも、辰也さんの事好きですよね?」
菜由華が唯花に聞く。その瞬間、唯花は顔が真っ赤になる
「ああ、もちろん異性としてって意味ですよ?」
「い、いや……いきなりそんなことを言われても……」
菜由華の問いに俯く唯花
「なるほど……」
「どうしたのよなゆ?」
「ううん、何でもない。ごめんなさい古村さん、さっきの質問は忘れてください」
「あ、ああ」
何故か菜由華は凄く楽しそうな笑顔を浮かべていた。一体何なんだ?
「じゃあお邪魔虫はそろそろ退場しようか。では、お二人とも。さようなら」
「後はゆっくりといちゃついててくださいね~」
「ち、違うと言ってるだろう!」
二人はそのまま去っていった
「た、辰也?私は別にお前の事なんかなんとも思ってないからな?」
「マジかよ……俺、友達とすら思われてなかったのか……」
「あああっ!!違う違う!友達だとは思ってるよ!」
俺の冗談を本気にする唯花。何もそんなに慌てんでも良いのにな。
と、そこに
「お?辰也じゃねえか」
「あら、本当ね」
「今度はお前らかい……」
次に現れたのは賢也と優里だった
「今日は皆一緒じゃないのか?」
「ああ、今日はバラバラなんだ」
「ねぇ辰也君。もしかしてその娘が古村さんかしら?」
優里が唯花を見ながら言った
「む?確かに私は古村唯花と言うものだが……どこかで会ったか?」
「いえ、朝香奈ちゃんに聞いたのよ。辰也君と一緒に登校していった女の子の話をね。もしかしたら貴女がそうなんじゃないかと思ってね」
「そうか、楓実達の知り合いなのか」
唯花は納得する
「それで……二人はお付き合いしてるのかしら?」
「今日何度目だ!その質問!!」
「え?」
唯花は叫んだ。流石に一日に三度も同じ質問をされたらたまんないよな
「楓実に聞かなかったのか!?私達は友達だ!付き合ってるとかそう言うのは全くない!」
「一応聞いてたんだけどね。直接聞きたくなっちゃったのよ。ごめんなさい」
「むぅ……まぁ良い」
すると今度は賢也が聞いてきた
「にしても随分仲良さそうだな。二人はいつ出会ったんだ?」
「中学の時だよ。その頃から唯花と二人で行動する事が多くなったんだ」
「へぇ、そうなの。二人は本当に仲良しなのね」
優里が優しい表情をしながら言った
「っと、そろそろ行くか。じゃあな二人とも」
「そうね、それじゃあね二人とも」
「ああ、またな」
手を振って二人は歩いていった
「しかし辰也。何故私達は何度も同じ誤解を抱かれるんだ?」
「さぁ……俺達、周りからどう思われてるんだろうな?」
と、そんなことを話しながら歩いていた時だ
「おーいお前ら」
「……またお前か」
「何だよその反応!?」
朝に話しかけてきたクラスメイトに再び遭遇する。
そして、俺達を見ながら
「うーん、それにしても……」
「む?何だ?」
「……お前ら付き合ってるの?」
……もう我慢の限界だ。隣を見ると唯花も青筋を浮かべている
「なぁ、仏の顔も三度までという言葉を知ってるか?」
「へ?な、何?」
やつは俺達の様子をみて慌て出す。だが、もう知ったことか
『いい加減我慢の限界だあああああ!!』
「ぎゃあああああ!!」
堪忍袋の緒が切れた俺達は、こいつに制裁を加えることにしたのだった




