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大事な友達

辰也side


さて、学校を飛び出したのは良いものの……どこから捜せば良いんだ?


「詳しい事情は分からんが……瑠美を放っておくわけにはいかないな」


菜由華と瑠美の二人とは蜜柑の友達ということで何回か会ったことがある。あの二人は俺が不良になった時も怖がらずに接してくれたっけな。本当に良い娘達だ


「おっと、その良い娘が行方不明なんだからな。真剣に捜さないと」


俺は町中を回ることにした。

そして、瑠美を捜して走り回っている時だった


「……ん、あいつらも帰りか」


見覚えのある二人組が見えた。

その二人は……


「はぁ……テストは悪くなかったが点数をクラス中に知られるとはな……」


「本当にごめん!」


「……まぁ気にすんなよ、香奈」


「……やっぱり陽多君は優しいよ」


物凄いラブラブオーラを出していた、こいつらは多分ずっとこのままだろうな


「お?辰也じゃねえか」


「あ、本当だ。そんなに慌てて何してるの?」


気づかれたか。まぁ良いや、二人にも聞いてみるか。確か瑠美の事を知ってるはずだし


「よう、お前ら瑠美を見なかったか」


「え?瑠美ちゃん?見てないけど……」


「そうか……」


「何かあったのか?」


二人が心配そうな表情で見てくる


「……いや、何でもねえよ。んじゃな」


流石に巻き込むわけにはいかないと思い、俺は二人にそれ以上何も言わず、その場を離れた









「……陽多君」


「ああ、間違いなく何かあったな」


「どうしようか?」


「ま、辰也が何も言わなかった以上、首を突っ込む必要はないが……少しは手伝っても良いよな?」


「うん、そうだよね!」














蜜柑side


私達は色んな場所を捜し回っていました。

しかし、瑠美ちゃんを見つけることは出来ていませんでした


「成河君、瑠美ちゃんがどこに連れていかれたのか心当たりはないの?」


「うーん……もしかしたら子供の頃に遊んでたりした公園とかかもしれないと思ったけど、流石にないよね。目立ちすぎると思うし」


「他にはないんですか?」


「ごめん、記憶が曖昧なんだ。忘れてる場所があるのかもしれない」


まぁ無理もありませんね。子供の頃の記憶を急に思い出せと言われても無理な話でしょうし


「どこか……なかったかなぁ……」


「頑張って!成河君!」


とりあえず、成河君が思い出すまで他の場所を捜しましょうか。

私がそう思い、言おうとした時でした


「お、いたいた!」


「あれが暁と一緒にいた娘達なの?」


「間違いない、あの娘達だ」


何やら数人の男の子と女の子が近づいてきました。私達と同年代くらいの人みたいですね


「!!君達は!」


「ん?げっ!成河!何でお前が!?」


「何?知ってる人?」


「僕は小学校の時、君達と同学年だった成河将生だよ」


成河君が鋭い視線を向けます。

……もしかして、この人達が例の……


「お前に用はないんだよ。俺達が用があるのはそこにいる女の子二人だ」


集団の先頭に立っていた男の子が私と菜由華ちゃんの方を見てきました


「……私達に何の用なの?」


「まぁ丁度良いですけどね。私達も貴方達に用がありましたから」


「へぇ?」


私は彼に向けて言います


「瑠美ちゃんを返してください。彼女は私達の大事な友達です」


「ああ、良いよ。すぐに返すさ」


「……やけに素直ですね」


「ま、返す前に一つ良いか?」


男の子はニヤリと笑いながら私に聞いてきました


「何ですか?」


「君の大事な友達の暁が昔、何をやらかしたか知ってるか?」


「ええ、知ってますよ」


「ま、知らないだろうがあいつは……って!?今、何て!?」


「ですから知ってますと言ったんです。同じことを二回も言わせないでください」


「な、なら君は!?」


男の子は慌てて菜由華ちゃんの方を見ます


「知ってるよ、私も」


「なっ!?」


「し、知ってるなら何であんな奴を大事な友達とか言ってるのよ!?」


今度は女の子が聞いてきました


「驚きはしたけどさ。瑠美ちゃんが大事な友達であることに変わりはないんだよ」


「ええ、その通りです。瑠美ちゃんの居場所を知ってるなら教えてくれませんか?」


私が聞いてみましたが……


「くっ、これじゃあ作戦は失敗ね」


「まぁ待てよ。こいつらを暁の前で酷い目に合わせればあいつを苦しめることはできるぞ」


「確かに……じゃあやっぱり秘密基地に連れていこうか?」


「秘密基地……!?」


……何やらとんでもない事を言ってますね。

成河君の目もますます鋭くなりました。それと同時に秘密基地という言葉を聞いて何やら気づいたようですね


「ってわけでさぁ……ちょっと来てもらうぜ!」


男の子が私に手を伸ばしてきました


「やめろ!この娘達にまで手を出すのか!?」


その時、私達の前に成河君が立って守ってくれました


「うるせぇ!どけ!成河!」


「いい加減にしろっ!」


「うわっ!てめっ!」


成河君がまた伸ばしてきた相手の手を叩き、男の子は怒りながら成河君の方を見ました


「………」


「どうしたの?怒るだけで何もしてこないのか?」


「……へっ」


男の子が笑った時でした


「きゃあっ!放してよ!」


「あうっ!」


私と菜由華ちゃんはいつの間にか近づいてきた男の子の仲間に捕まってしまいました。

しまった……成河君と男の子の方ばかりに目がいってました……我ながら間抜けです


「き、君達!」


「大人しくしろよ成河。動いたらこの二人もただじゃ済まないぞ」


「くっ……!どうして君達はこんなことを……」


私達のせいで成河君は動くことが出来なくなってしまいました……。

悔しい……これじゃ瑠美ちゃんを助けるどころか足手まといじゃないですか……


「よし、行くぞ」


「うっ!やめてよっ!」


「放して……放してくださいよ!」


私達はそのまま、男の子達に引っ張られて行き……




「うおらああああああ!!」


「へ?うぎゃあ!!」


「うわあ!!」


突然、私達を掴んでいた手が離れました。

な、何事ですか!?

そう思い、私は前を見てました


「おい……お前ら……」


「な、な、何だよお前は!?」


「あ……」


そこに立っていたのは……


「俺の妹とその親友に何してやがんだぁ!!」


「お、お兄ちゃん!」


見て分かるほど怒っているお兄ちゃんでした


「お前ら今すぐボコボコに……!」


「ま、待ってお兄ちゃん!駄目だよ!」


「何言ってんだよ蜜柑!こいつらはお前を……」


「あの人達にも事情があるんだよ。だからお願い、今は我慢して」


「……ふぅ……分かったよ」


お兄ちゃんはやっと落ち着いてくれました


「でもよ、どうするんだ?あいつらはお前と菜由華を狙ってるんだろ?」


「うーん……とりあえず逃げよう!」


「よっしゃ!……って、逃げるんかい!」


「ほら!菜由華ちゃんと成河君も早く逃げますよ!」


「あっ!待ってよ!」


「急展開にこっちもビックリだよ……」


「ちょっ!?俺を置いてくなよ!」


先程のお兄ちゃんの怒りに怯んでいる隙に、私達はその場から逃げることに成功しました













「!!お、おい!逃げたぞ!」


蜜柑達が遠くに消える姿を見た集団の一人が、慌てて声をあげた


「し、しまった!逃げられたわ!」


「まだ間に合うぞ!追いかけろ!」


そして、すぐに追いかけようと……


「おい、そこのお前ら」


「!俺達の事か?」


「ああ」


そこに、黒髪の少年が話しかけてきた


「あいつらを追いかけてなにする気だ?」


「あ、あんたには関係ないだろ!?」


「関係あるんだよなぁ……俺はあいつらの知り合いなんだよ」


少年は集団の前に立つ


「悪いがここから先は通せねえな」


「くそっ!何なんだあんたは!!」


イライラが爆発した集団の一人が少年に殴りかかる


「落ち着けっての!」


「うっ!」


少年はあっさりかわし、軽く首筋に手刀を入れる。

それを喰らい、殴りかかった方の少年は気絶する


「さて、次はどいつだ?」


「くっ!」


下手に動けなくなる少年達


「これは不味い事になったわね……。一旦秘密基地に戻ろう」


それを見た少女達は秘密基地に戻る為に、後退りを始めた。

……しかし


「どこに行くのかな?君達?」


『!!』


慌てて振り返るとそこには薄い金髪の少女が立っていた


「こっちも通行止めだよ。もう観念しなさい」


「うう……」


少女達も動けなくなったのを見た少年達は


「……くそったれ!もうやけくそだぁっ!」


「行くぞおおおお!!」


「その根性を別の事に向けらんねえのかよ……」


絶対に諦めない連中に少年は呆れた目を向ける


「手加減してあげなよ?陽多君」


「ああ、分かってるよ」


そう言いながら少年――組谷陽多は拳を構えるのだった。


大事な友達が逃げる時間を……少しでも多く稼ぐために

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