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テスト返却

日曜日が終わり、月曜日。俺は普段から月曜日は憂鬱なのだが今日はさらに憂鬱だった。

何故かって?決まってる


「テストどうなってるかな?楽しみだね、陽多君」


「全然楽しみじゃねえよっ!」


今日がテスト返却の日だからだよ!


「……頭が痛くなってきたぜ、今日は休もうかな」


「はいはい、いいから行くよ」


「少しは構ってくれよ!」


何て冷たいやつだ……


「大丈夫大丈夫。自分を信じなって」


「信じられたらどんなに良いか……」


俺は重い足を引きずりながら歩いていった












空side


「はぁ~………」


「また重いため息だね、空君」


「ため息もつきたくなるよ。テスト返却だよ?」


紗季と一緒に学校に向かう俺。当然、足取りは重い


「大丈夫だよ空君。あんなに勉強したじゃない」


「……うん、分かってはいるんだ。でも……、


「もう、しょうがないなぁ。じゃあ……」


と、ここで突然紗季が俺の手を握ってきた


「へ?さ、紗季?」


「ほら、こうすれば少しは不安も和らぐよ」


「あ……」


確かに……心が安らいでいくような……


「……その分、緊張するけどね」


「ん?何か言った?」


「ううん、何でもないよ」


うん、せっかく紗季が勉強を教えてくれて挑んだんだ。ここで弱気になるわけにはいかないよね!


「あ、陽多君と香奈ちゃんだ。おはよう~!」


「おはよう……ってあれ?」


「おいおい、朝から見せびらかしてくれるじゃねえか」


二人は俺達の姿を見るなりニヤニヤしながら言ってきた


「見せびらかすって?」


「二人とも本当に仲が良いんだなぁと思っただけだよ、気にしない気にしない」


うん、仲が良いのは確かだね


「でも今日は何で手を繋いでるのかな?」


「空君が凄く不安そうにしてたからね、少しは安らぐかなって」


「なるほど!じゃあ陽多君も……えいっ」


「ん?何だよ香……奈……?」


「わっ!香奈ちゃん大胆!」


紗季の言葉を聞いた香奈が陽多の腕に抱きついた


「………」


「よ、陽多?」


陽多は少し固まったかと思うと……


「………がはっ!」


「陽多ぁ!!」


勢いよく鼻血を出して倒れた


「うーん、まだ抱きつくのは無理かぁ」


「あはは……まぁいきなりだったからね」


「二人とも呑気に見てないで!陽多を起こすの手伝ってよ!」


もう、朝から大変だよ









何とか陽多を起こし、鼻にティッシュを詰めて俺達は教室に到着した


「おはよう皆」


「おはようさん」


「あ、おはよう二人とも」


教室に入り、賢也と優里と挨拶する


「なぁ、俺の鼻については気にならないのか?」


「いつもの事じゃない」


「もう突っ込まんぞ」


「酷ぇ!」


確かにいつも通りかもしれないけどね


「なぁ香奈。鼻血出してる事だし俺は保健室に行っても良いか?」


「分かった分かった、もう一回抱きついてほしいんだね?」


「悪化するわ!」


本当にいつも通りだ


「空君、もう不安じゃなくなったみたいだね?」


「うん、皆を見てたら元気が出てきたよ!」


よーし!テストなんて怖くないぞ!

そして、朝のHRも終わり、ついにテスト返却の時間となった










「や、やった……」


俺は帰ってきたテストを見ながら体を震わせていた。

何でって?そりゃもちろん……


「赤点回避できたぁっ!!」


「やったね、空君」


「うん!紗季のお陰だよ!」


本当に……本当にギリギリだけど……赤点じゃなかった!こんなの凄く久し振りだよ!


「これで一安心だね」


「うん、陽多は大丈夫だったかな?」


俺は陽多の方に目を向けた












陽多side


テスト返却が終了した。結果、俺は前回よりテストの点数が上がり、赤点にはならずに済んだ。

……でもな


「凄い!凄いよ陽多君!45点も取れてるじゃない!」


「大声で点数を言うなあああああ!!」


目の前の大喜びしてる幼馴染みがクラス中に響く声で俺の点数を暴露する。

くそ、こいつわざとじゃないだろうな……?


「数学なんて……50点も取れてる!うう……ぐすっ……頑張ったね、陽多君……」


「泣くな!頼むから50点で泣かないでくれ!!」


わざとじゃないな、うん。マジ泣きしてるし


「ほら、ハンカチ」


「ありがと……ぐすっ」


そんなことをしていると……


「陽多も赤点回避できたんだね、良かった」


「香奈ちゃんが感動して泣いちゃってるね」


「毎日心配そうにしてたからね、泣くのも無理ないわよ」


「無理ないのか?ま、とにかく良かったな」


皆が集まってくる。まぁこれで安心できるのも確かだな


「蜜柑ちゃん達もテスト大丈夫だと良いけどね」


ふと、紗季がそんなことを言った


「明日に返ってくるんだったな」


「今日はゆっくり休んでるでしょうね」


「羨ましいぜ……ったく」


と、俺達はこの時、そんなことを思っていた。

でも、その予想は大きく外れていた。


この日、蜜柑達は俺達よりも忙しい日を送っていたんだ


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