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やっと……

数分前 陽多side


俺達は賢也の案内で、賢也が皆と出会った場所までやって来ていた


「ここで香奈達と会ったんだな?」


「ああ、適当に流されたけどな」


ふむ……さっきの空達と出会った場所からそんなに離れていないな


「なぁ賢也。空達には香奈達に会ったことは伝えたのか?」


「一応伝えたが……誰と会ったかまでは言えなかったな。あいつら、すぐに走り出したからな」


ということは……


「もう見つかってるかもな。香奈と蜜柑」


「不味いですね……」


「何が不味いの?」


暁が焦り出した


「暴走状態のなゆは何をするかわかりませんから……。オレンジ、無事かな?」


「大丈夫だと思うぜ。皆もいるだろうし」


まぁ心配するのも分かるがな。早く皆を見つけないと。


そして、少し歩き続けた時だった


「………あれ?何か聞こえたような……」


「聞こえた?」


暁が立ち止まり、耳を澄ませる


「俺も聞こえたぞ。陽多は聞こえなかったか?」


「賢也も聞こえたのか?」


「……あ、私も聞こえた!」


「紗季も!?」


何だよ!俺だけ聞こえてないのかよ!?


「陽多さん。静かにして耳を澄ませてください」


「おう……」


………あ!


「確かに聞こえたな……口喧嘩みたいなのが」


「しかもこの声……!」


暁はしっかりと声まで聞き取れたようだ


「オレンジとなゆですよ!もう一人は知らない声だけど……」


「もう一人は空君の声だよ、間違いない」


流石紗季。空の声をしっかりと聞き取ったか


「んじゃ、行ってみるか」


「はい!」


俺達は声が聞こえた方に向かっていった










歩いていくと声がどんどん大きくなり、会話の内容も聞き取れるようになってきた


「何かゲームの話をしてるようだが……」


「なゆが暴走する原因ですからね」


「そういえば暁の友達が暴走した原因って何なんだ?触れてはいけない部分に触れたとか言ってたが」


暁は一つため息をつくと教えてくれた


「ゲームを馬鹿にするような事をオレンジが言ったせいですよ」


「それが触れてはいけない部分なの?」


「はい。『ゲームを馬鹿にする事』はなゆの前ではやってはいけない事ですから」


だから空もあの言い合いに参加してるのか。

と、思っていた時、蜜柑の本気で嫌がる声が聞こえてきた。空も慌てているようだな


「これは不味い……!急ぎましょう!」


慌てた暁は走り出した


「俺達も急ぐか」


と、言っても声はすぐ近くなんだがな


「ストップ!ストーップ!!」


暁が大声を出しながら蜜柑達の間に入った


「そこまでよ!いい加減落ち着きなさい!」


『瑠美ちゃん!?』


お、あそこにいるのは……


「ふぅ、やっと見つけたぜ」


「ったく、さっきはよくも適当に対応してくれたな」


「陽多君!」


「賢也君も一緒だったのね」


香奈と優里発見。やっと見つけたぜ


「もう……空君ったら……」


紗季は不機嫌そうに空を見ていた


「とりあえず、これで全員集合したわけだな」


はぁ……もう疲れたぜ


「ごめんね陽多君。心配かけたね」


「全くだぜ。携帯にも繋がらないから本当に心配したんだぞ」


「うう……ごめんなさい……」


「ま、無事で良かったよ」


俺は謝る香奈の頭を撫でてやった


「優里、さっきの適当な対応の理由を聞こうか」


「あら、適当だなんて心外だわ。私は賢也君の質問にちゃんと答えたわよ」


「巻き込まれてるとしか言わなかったよな!?」


「ええ、そう言えば状況を理解してくれると思ったのよ」


「無理言うな!」


賢也と優里が何かを言い合ってるな。まぁ良いか。

お、空がこっちに歩いてきたな


「あの、紗季?」


「………」


空が話しかけても紗季は不機嫌そうにそっぽを向いた


「……怒ってる?」


「もちろん。待ち合わせを放っぽりだした挙げ句にこんなに心配かけた空君に凄く怒ってるよ」


「う……ごめん」


「それだけ?」


ここで紗季が空に顔を向けた


「次からは絶対に待ち合わせに遅れないようにするよ。だから……」


「……それだけじゃ駄目だね」


「ええ!?」


「次から皆で遊びに行く時、待ち合わせ場所に向かう時は絶対に私と一緒に行くこと。良い?」


「え……?あ、うん!約束するよ!」


空が約束すると紗季は満足そうに微笑む


「ん、なら今回の事は許してあげる」


「良かった……」


空はかなりホッとしていた。それだけ紗季に嫌われるのは恐ろしい事態なんだろう


「ねぇ陽多君。陽多君はあの娘と一緒に私達を捜してたの?」


香奈は暁を見ながら言う


「ああ、紗季と賢也も一緒にな」


「四人で捜してたんだね」


「まぁ賢也と合流したのはついさっきだがな」


「……ふーん」


何だ?香奈の様子が……


「じゃあそれまでは陽多君、女の子二人と一緒にいたんだ。ハーレムだね」


「ハーレムってほどじゃねえだろ?」


「ふふ、彼女がいるのにハーレムなんか作ってたんだぁ……あはは」


「お、おい香奈……!?」


慌てて香奈の顔を見ると既に目は濁りきっていた。

こ、これは……


「ねぇ陽多君……私の事、本当に愛してくれてるのかなぁ?」


久し振りの……ヤンデレモード!


「お、落ち着け香奈。俺はちゃんとお前の事を……」


「アハハハ、どうやら私が彼女だって思い出させないと駄目みたいだね」


気づくと香奈は両手にコンパスを装備していた


「休日にコンパス持ち歩くなって!」


「陽多君……カクゴハイイヨネ?」


「良くねぇからっ!」


ああ畜生!何でこうなるんだ!?













瑠美side


私は目の前で固まっているなゆの方を見る


「る、瑠美ちゃん?」


「なゆ、まだ冷静になれない?」


私が言うとなゆはまた騒ぎ出す


「わ、私は冷静だよ!私はただ蜜柑ちゃんを廃人にしたいだけだもん!」


「それのどこが冷静なのよ……」


はぁ……仕方ないか


「なゆ、歯を食い縛りなさい」


「ふぇっ!?」


私は拳を振り上げる。このおバカを冷静にさせるためにね


「じゃあ行くよ~?」


「わああああああ!?ごめんなさい!!」


「………冷静になった?」


「……うん」


これは暴走したなゆに効くんだよね。私の拳骨の何が怖いんだか


「十分怖いと思いますけど」


「そうかなぁ?」


オレンジは怖いって言うけどよくわかんないや。

まぁとにかく、これでやっとなゆを落ち着かせられたよ


「で、これからどうしましょうか?」


「そうだね……じゃあまずは」


あれをやっとかないとね


「オレンジ、なゆ、二人とも並びなさい」


「え?何で?」


「今度は何をするんですか?」


そりゃ当然……


「お仕置きだけど?」


『ええ!?』


「あんたらねぇ……こんなに心配かけさせて何も無しだと思ったのかしら?」


「うう……それは……」


「文句は言えませんね……」


私は二人に笑顔で言う


「大丈夫大丈夫。拳骨一発で終わりだからさ」


『!!』


「それじゃあ二人とも……覚悟は良いわね?」


『良くないからぁ(ですからぁ)!!』


そんな二人に、私は問答無用で拳骨を降り下ろすのだった

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