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いじめ、カッコ悪いよ!

はぁ…今日は二回も先生に怒られたぜ…疲れた


「自業自得って言葉知ってるか?」


「最初に怒られたのは陽多君のせいじゃない」


「お前ら俺の心を読むなよ!」


そして心を読んだ二人、賢也と香奈の二人と帰ることにする










いつものように俺達は談笑しながら歩く。

今回話した内容は『陽多真面目に授業聞け』と『賢也居眠りしすぎ』だった


「って!談笑じゃねえよなこれ!どっちも香奈の説教じゃねえか!」


「もう俺の居眠りは良いだろうに」


「駄目!二人とも反省しなさい!」


訂正しよう。『三人で談笑』ではなく『二人で叱られた』だった


「ん?あれ…」


「どした香奈?」


突然香奈が途中で裏路地の方を見た


「なんか聞こえない?」


「……本当だ」


賢也が納得した。俺も聞き耳を立てると…男数人と女一人の声が聞こえた


「なんだ?」


「ちょっと行ってみようよ」


「こうなると香奈は引かないんだよな…」


「まぁ行くだけ行ってみるか?」


「しゃあねえな」


というわけで三人で声の方に行くことにした










お、あそこに誰かいるな


「あっ、あの娘、今日お昼に話しかけてきた娘じゃない?」


「ホントだ。なにやってんだろ?」


どうやらいるのは今日話しかけてきた三つ編みの女子とうちの学校の男子が三人みたいだな。

なにをやってるのか気になり聞いてみると


「けっ!んだよ金ねえじゃねえか!」


「おいおい誰だよ地味な女子は大抵金持ちとか言ったのはよ」


「ちぇっ、期待ハズレかよ」


「あ…あの…もう帰してください…」


「ああ?そうだな…」


どうやらカツアゲみたいだな、ったく典型的ないじめしやがって


「よし、意外と素材は良いみたいだしな、俺達とちょっと遊んでくれたら帰してやる」


「うほっ!そりゃいいや!」


「そ…そんな…!」


「さあて観念してもらおうかぁ?」


「いや…いや!やめてっ!」


おいおいとんでもないことになったな


「あれ?香奈がいない?」


「へ?」


賢也に言われて気づいた。さっきまで一緒に様子を見ていた香奈がいない


「あん?なんだお前?」


「本当、どこに行ってもこういう人はいるものね」


む?この声…。

見ると香奈が女子の前に両手を広げて立っていた


「って香奈!?もう動いてたのかよ!?」


「予想はできてたが早かったな」


不良三人は香奈を見ると口元をニヤつかせた


「おおうカッコイイねぇ、助けに来たのか?」


「へへ、この娘かなり可愛くね?」


「二人まとめて頂くかぁ?」


「そりゃ名案だな!ひゃははは!」


俺の感想、笑い方かっこ悪い!


「あ…貴女は…」


「昼間はごめんね、怖がらせちゃって。下がってて、コイツらには指一本触れさせない」


「へっ、上等だ。まずは大人しくしてもらう…ぜ!」


不良のパンチが香奈に向けて放たれ


「おらっ!」


「ぐはあっ!?」


……なかった。何故か?俺が殴り飛ばしたから!


「な、なんだてめぇは!」


「油断大敵だぞっと!」


「んぎゃっ!」


さらにもう一人を賢也が蹴り飛ばす


「ひっ!お、お前…組谷か!?組谷陽多なのか!?」


「やっぱ知ってんのか」


実は俺は不良とかから軽く恐れられている。

理由は中学の時、よく香奈の身体を狙って不良共が現れ俺と喧嘩になり何人も潰しまくってたためで、その後いつの間にか俺と香奈に不良が絡んで来なくなった


「いかにも俺が組谷陽多だ。で?お前は俺に喧嘩売るのか?」


「ひいっ!い、いえ!やめておきます!」


「そうかい、んじゃ特別に……一発だけで許してやるよ!」


「ぐぎゃあっ!!」


はい、終了っと


「お疲れ賢也」


「俺いなくても大丈夫だったんじゃね?」


「まぁぶっちゃけ」


「酷ぇな!」


香奈がいじめられていた女子に話しかける


「大丈夫?怖かったでしょ?」


「う…うう…ありがとうございます…ヒグッ…」


「ほらハンカチ使って」


「うん…グスッ…」


いやぁ微笑ましい光景だな


「そういえば結局昼間に話しかけてきた理由はなんだったんだ?」


彼女が落ち着いたのを見計らい、聞いてみる


「あ、実は最近こういう人達がよくお金を盗ろうとしてきて…組谷君は喧嘩が強いって噂を聞いたから…」


「なるほどな。じゃあ結果オーライだったわけか」


「うん、本当にありがとうございました」


頭を下げる彼女に俺達は言う


「いやいや、偶然通り掛かっただけだしな。それに香奈が飛び出したおかげで俺達も飛び出せたんだし、礼は香奈に言ってくれ」


「いやいや、私はさっきお礼されたからもう良いよぅ。それなら影が薄かったけど一人倒した賢也君に…」


「影が薄いって言うな!それに俺は一人しか倒してないわけだしやっぱり礼は陽多に…」


「いや俺はいいって!やっぱり香奈に!」


「だから私じゃなくて賢也君に!」


「会話がループしてんじゃねえか!」


そんなふうに俺達が馬鹿なことをやっていると


「……ふふっ…あははっ!」


彼女は笑い出した。

あれ?もしかして呆れられた?


「面白いね三人共。見てて楽しくなるよ」


「……うん。笑った方がやっぱり可愛いよ。貴女名前は何て言うの?」


香奈が微笑みながら聞いた


種宮たねみや紗季さきだよ。よろしくね」


「私、楓実香奈。よろしくね」


「俺のことは知ってるみたいだけど一応名乗っとくな。組谷陽多だ」


「俺は木崎賢也だ。よろしく頼むぜ」


こうして俺達は彼女――種宮紗季と出会った










「んじゃ上がってくれ」


「お邪魔します」


「へえ、初めて来るがここが陽多と香奈の家か。案外普通だな」


「お前はどんな家を想像してたんだ!?」


香奈の提案により俺達の家に行くことになった。なんでも、考えがあるそうだ。

そして皆で居間に座ると香奈が話しはじめた


「私思うんだけどさ。ああいういじめって目立たない娘にやるものじゃない?だから種宮さんも狙われたんだよ」


「ふむ、確かにあんまり目立つ容姿じゃないな」


「はっきり言うね二人とも…」


俺と香奈の言葉にがっくりとうなだれる種宮。ヤバい、落ち込ませたか?


「大丈夫だよ種宮さん。私がなんとかしてみるよ」


「なんとか…ってどうする気だ?」


「簡単だよ賢也君。種宮さんの容姿をちょっと変えるだけで良いんだよ」


「でも…そんなに簡単に変わるかな…?」


「まぁ物は試しってことで!種宮さん、一緒に来て」


「う、うん」


そして香奈は種宮を連れて自分の部屋に入って行った


「どうするんだろうな?」


「さあな、香奈に任せるしかないな」


俺と賢也が居間で待つこと数分…。

香奈が部屋から出てきた


「種宮はどうした?」


「ふふ、今から呼ぶよ♪紗季ちゃ~ん!」


その後に部屋から出てきた種宮の姿に…俺達は息をのんだ。部屋に入る前と変わったのは髪型。三つ編みからセミロングにしていた。

どうやらこれが香奈のアイディアだったみたいだな。でもこりゃ確かに…


「おお…種宮だよな?スゲー可愛くなったじゃねえか」


賢也が思ったことをそのまま言った。コイツモテそうだな


「あ、ありがとう」


「ほらほら陽多君も」


俺にも言えってのかよ?ま、良いか


「ちょっと変えるだけでこんな美少女に変わるんだな。これならいじめの心配も消えるんじゃねえか?」


「うん。まずは第一ステップクリアだね」


へ?第一?


「じゃあ次ね。ほら紗季ちゃん。さっきみたいにやってみて」


「うん。あ、あの二人とも」


「「なんだ?」」


げ、賢也とセリフ被ったわ


「な…名前で呼び合わない…かな?」


「なんだ、そんなことなら構わんぜ」


「俺も別に良いぞ?」


「うん!ありがとう!」


紗季が笑顔で言う。おお可愛いな…あ、やべ、気をつけないとまた香奈がヤンデレになるわ


「後は私達と喋ったりして少しずつおどおどした口調を直せば大丈夫だね」


「まぁそれでも変なのに絡まれたら俺達に相談してくれや」


「今回目立てなかった分、次は活躍するぜ」


「三人共、本当にありとね!」


その後は他愛もない駄弁りを続けていたのだが紗季が気になっていたことを聞いてきた


「そういえばさ…今日のお昼に香奈ちゃん凄く攻撃的になってたよね。やっぱり私が誤解させるようなこと言ったせいかな?」


「まぁそれもあるんだけど…いろいろあってね」


「紗季はもう友達だしな。俺達の話をしても大丈夫だろ」


「そうだね」


「?話したくないなら無理に言わなくても…」


紗季が少し困り顔で言うがやっぱり聞いてもらいたいな。これから付き合っていくのに必要になるかもしれないし


「実はな…」










で、紗季に香奈のヤンデレモードと俺が一部の記憶を失っていることを話した


「そっか…香奈ちゃんがあんな感じになったのはそれが原因だったんだ」


「あればっかりは私でも抑えられないんだよ」


香奈が苦笑しながら言う


「せめて俺の記憶が戻ればなにか手掛かりがあるかもしれないんだが」


「でも思い出そうとすると頭痛が起こるんでしょ?無理しないほうがいいよ」


確かに、今日もちょっと思い出そうとしただけで酷い目にあったしな


「まぁあんまり他人には話さないでくれ。これは信頼できるやつにしか話さないからな」


「信頼?私…信頼されてるの?」


「当たり前じゃねえか」


「紗季ちゃんは友達だよ?信頼できるに決まってるじゃん」


紗季は嬉しそうな顔になった


「俺にはそんなこと言ってなかったような…」


「賢也は言うまでもなく信頼してるって」


「賢也君だもんね」


「……へっ、調子良いこと言いやがって」


口ではそう言いながらも賢也は楽しそうに笑っていた










あの後、賢也と紗季が帰り、家には俺と香奈だけになる


「あれで紗季がいじめられなくなれば良いけどな」


「あそこまでやれば大丈夫だと思うよ。それにまたいじめられたら助けてあげれば良いし」


香奈がここまでするのは紗季が大事な存在になったことと、元々香奈がいじめを嫌っているからだろう


「にしても今日は危険なことしたな。お前喧嘩強いわけじゃないのに不良の前にでるなんて」


「だって放っとけないじゃない」


「昼に襲い掛かったのにな」


「あれは条件反射みたいなもんだから…」


ま、良いや


「案外早く友達が二人できたことだし、意外と運良いのかもな」


「友達100人は無理かもしれないけど悪くない感じだね」


なんにせよこれからの生活は退屈しないで済みそうだな。

そんなことを思いながら残りの一日を過ごすのだった

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