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番外編 深い愛に落ちた者

今回は番外編なので本編とは一切関係ありません、ご了承ください。


後、若干グロ注意です

陽多Side


……朝か。明るくなってきたな。

とりあえず目を開く俺


(相変わらず隣で寝てるのかこいつは…)


俺に抱きついている状態で寝ているのは…


「んぅ……陽多君…」


俺の幼馴染み…楓実香奈だ


「………」


香奈が抱きついているということは俺の身体に色々と当たっちゃってるわけで。前の俺だったら鼻血をぶっ放していただろう。

だが


「はぁ……」


今はため息しか出ない


「ううん……あれ…?陽多君起きてたの?」


「ああ」


「そっか。とりあえずおはよう」


「おはよう」


俺達は普通に挨拶をかわす


「それじゃ朝ごはんにしようか」


香奈は部屋を出ていった。

さて、今日はどう過ごすかな?
















朝飯を終え、香奈が学校に行く準備をする


「はぁ…陽多君とお別れしたくないなぁ…」


「どうせすぐ帰ってくるだろうが」


「もう…陽多君冷たいよ。それじゃ行ってくるね」


そして香奈は玄関に向かう


「………あ、そうそう」


と、思ったら俺に近づき




「……勝手に外に出たら駄目だからね?」


「………」


「それじゃあ行ってきまーす!」


そして香奈は出ていった


「……出られねえよ。どっちみち…」


俺は今家にいるわけだがこの家には大量のカメラが仕掛けてある。その証拠にちょっと戸棚を開けてみると……ほら、発見。

他にも玄関だったりお風呂場だったり俺の部屋だったり…上げ始めるとキリがない。


このカメラの内容は香奈が何らかの方法で見ているはずだ。何故なら家にいないはずの香奈が俺の行動を全て把握できているから。


学校で内容を見れるのかって?そもそも本当にあいつが学校に行ってるかどうかもわからんからな。そこら辺で見てるのかもしれない


(何でこんなことになっちまったんだろうな…)


何で?分かりきってんだろそんなこと。香奈のヤンデレが暴走した結果だ。


俺はあいつが俺に好意と憎悪、二つの気持ちを向けていることに気がつけず色んな女に惹かれまくってた。

そんな気持ちを抑え続けた結果、今やこんな状態になったってわけだ


「あいつらどうしてっかな…」


俺は全然会えなくなってしまった親友達の顔を思い出す。携帯も没収されて、家に電話もない今では連絡もできない


「はぁ……」


今の俺は実質監禁されている。だが脱出しようと思えば簡単に出れる。たとえカメラを見ていて気づいた香奈が捕まえに来ても返り討ちにしようと思えば簡単だ。


ま、やらないけどなそんなこと


おい、違うぞ。監禁されて喜んでる変態じゃないからな俺は。理由がちゃんとあるからよく聞きやがれ。


一つ目の理由は香奈の両親との約束だ。あいつの両親は亡くなってるんだがその原因は俺にあるんだ。まぁ今長々と話すのはやめようか。

とにかく俺は約束したんだ。香奈とずっと一緒にいるって。この約束は絶対に破るわけにはいかない。これが一つ目の理由。


二つ目は…まぁ至極単純な理由だ。あいつは…香奈は俺の大切な幼馴染みだからだ。おかしな話だろ?監禁までされてるのにさ。

ま、それでも…な。大切な人には変わりないんだよ


「今日はどうするかな」


毎日こんな感じだ。退屈な日々を過ごさせてもらってる。

正直、俺も狂ってるのかもしれない。一歩間違えれば香奈に殺されるかもしれない生活を大人しく受け入れてるんだからな。


でも…一つだけ不安要素があるんだ。

それは…


(今日もない…あいつ、どこに持っていってるんだよ)


台所に置いてある『ある物』が一つだけ持ち出されていることだ
















優里Side


「おはよう優里ちゃん」


「あ、おはよう紗季ちゃん、空君」


「おはよう二人とも」


私と賢也君は登校してきた紗季ちゃんと空君に挨拶をする。

これで四人揃った。前は六人だったんだけどね


「……今日も二人とも来てないのかな」


「………」


紗季ちゃんは来てない二人――陽多君と香奈ちゃんの席を見る


「今日で一週間だな。あいつらが来なくなって」


「何かあったのかしら?」


「でも最後にあった時はいつも通りだったよ」


本当に心配だわ。いったいどうしたのかしら…

その時だった


「皆おはよ~」


「あ!香奈ちゃん!」


久しぶりに登校してきた香奈ちゃんが私達の所に来た


「久しぶりだな。陽多はどうした?」


「ちょっと今体調が悪いんだよ。だからまだ来れないの」


笑顔で話す香奈ちゃん


「大丈夫?お見舞いとか行った方が良いかな?」


「そんなに慌てなくても大丈夫だよ。私がちゃんと看てるから」


「そう……」


私はこの時点で気づいてしまっていた。

香奈ちゃんの目が狂っていることに
















放課後、私は香奈ちゃんと校舎裏に向かった


「どうしたの?優里ちゃん。こんな所に連れて来て」


「香奈ちゃん」


私は彼女の目を真っ直ぐ見つめた


「単刀直入に聞くわ。陽多君に何をしたの?」


「……………え?」


香奈ちゃんは首を傾けた


「何をしたって…言ったでしょ?陽多君は病気で…」


「ならお見舞いに行くのを断ったりしないわよね?少なくともいつもの香奈ちゃんならそんなことはしないわ」


「………」


「ねぇ香奈ちゃん。正直に言って頂戴。陽多君は今どうしてるの?」


答えて、と願いながら聞く。

でも


「……何で優里ちゃんがそんなことを気にするのかな?」


「何でって決まってるじゃない。大事な友達だからよ」


「違う…優里ちゃんは私達の愛を妨害する気なんだ…私達の敵だ…」


「何を言ってるのよ!私が貴女達の敵なわけ…!」


「優里ちゃんは敵だ……敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ敵だ!」


私の言葉が聞こえていないのか香奈ちゃんは俯きながら呟いていた


「香奈ちゃん!落ち着きなさい!」


私は香奈ちゃんの肩を揺らす。


そう、彼女に近づいてしまった






グサッ




「…………え…?」


気づいたら…胸を刺されていた


「うっ……あぐっ…!」


私はその場に倒れてしまった。血が辺りに広がる


「フフ……アハハ…」


私は薄れゆく意識の中、血塗れになった包丁を手にした香奈ちゃんの笑い声を聞いた


「アハハハハハハハ!!これで……邪魔者は消えた!」


これが私が最期に聞いた声だった
















陽多Side


しばらく家で過ごしていると


「ただいま~」


香奈が帰ってきたようだ


「おかえり……ってどうしたんだ?その制服。びしょびしょじゃねえか」


「あはは、実は帰る時にホースで水をまいてた人が手元を狂わせてね。私に直撃しちゃったの」


「そっか…とりあえず着替えないと、風邪引くぞ」


「うん」


そう言って香奈は服を脱ごうとする


「こらこら、ここで脱ぐな。部屋で着替えてこい」


「は~い」


何故か残念そうに脱ぐのをやめる


「じゃあ着替えてくるね」


「ああ。………?」


気のせいだろうか、香奈が横を通った時…


変な臭いがしたような…?
















「香奈、さっきの制服、洗濯機に入れてくるよ」


「ああ、ありがと」 


香奈から制服を貰い、俺はあいつにばれないように確認してみる


「………やっぱり変な臭いがするな」


原因を探るために俺は制服をいろいろ調べてみる。端から見たら変態にしか見えないかもしれないが


「……あれ…?」


よく見てみるとおかしい。明らかにわざとまんべんなく水をかけたようにしか思えなかった。

しかもそれだけじゃなくて…


「なんか…うっすらと赤いのが……」


赤い液体。変な臭い。台所から持ち出されている物。

……全ては繋がってしまった


「嘘……だろ……?」


その時だ


「あ~あ、やっぱりばれちゃったか」


「!!香奈!?」


振り向くとそこには香奈がいた


「香奈……まさかこの赤い液体…」


「うん、それ血だよ」


「!!」


信じたくなかったことが正解だと言われてしまう


「何で…血がついてんだよ?誰かを殺したとか言うなよ…なぁ!?」


懇願するように聞いた


「ごめん正解。邪魔者を一人消しちゃったの」


「邪魔者…?誰だよそれ?」


「本当に邪魔者だったよ。私達の仲を引き裂こうとしたんだよ?酷いよね~」


「だから誰なんだよそれはっ!?」


「ん?優里ちゃんだけど?」


「なっ!?」


優里…?優里ってあの優里か!?


「それって…紅真優里のことか…?親友だった…あの?」


「そうだよ」


「………」


何で…何であいつが被害にあうんだよ…!

俺のせい…なのか…?俺のせいだ…


「ショックだよね…あんなに仲の良かった優里ちゃんが私達の邪魔者になるなんて…」


俺がこいつを…ここまで狂わせてしまったからだ


「でも安心してね陽多君。邪魔者は皆私が排除するから」


だから…


「香奈……」


「ん?何?」


「お前のしたことは間違ってる」


「え…?」


俺がこいつを止める


「何でお前はそんな風になっちまったんだ?前はもっと優しいやつだった…人を刺すようなやつじゃなかった!」


「わ、私は陽多君のために…」


「頼む…もうやめてくれっ!こんなこと!」


そして香奈は俯いたかと思うと…


「陽多君まで否定するんだ、なんで?私は陽多君のためにいろいろやってあげたのに、なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?」


「か、香奈?」


すると香奈は濁りきった目をこっちに向けた


「そっか~陽多君は私が嫌いなんだ。だから私を否定するんだね?」


「違う!お前が大事だから…!」


「もう良いよ」


香奈は隠し持っていた血塗れの包丁を取り出す


「じゃあ二人で一緒に行こう?これでさ」


「どこに…行くってんだよ?」


「さぁ?でも二人で一緒に死んだらきっと同じ場所に行けるよ」


「………」


狂ってる。既に考えが滅茶苦茶だ。死んだらもう終わりだってのに…


「ちょっと痛いかもしれないけど我慢してね?陽多君」


「………」


香奈が包丁を振り上げる。あれを降ろせば全てが終わる。

だというのに俺はかわそうとしなかった


(悪いのは俺だ。なら…香奈を一人で死なせるわけにはいかないよな…)


俺は監禁された時点で既にこうなることを予想していたのかもしれない


「じゃあ陽多君」


優里…巻き込んでごめん。全部俺が悪いんだ。

そして香奈。俺のせいでそんなことになったんだよな。本当にごめん。謝って済まされることじゃないことはわかってる。


だから


「……また会おうね」


せめて…ずっと一緒にいてやるからな


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