日曜日到来③
香奈Side
デパートから出た私達は次にゲームセンターに行くことにした
「陽多君、鼻血止まった?」
「とりあえずはな…」
そう言って鼻から真っ赤になったティッシュを取り出す
「こんなに鼻血を出して…可哀想に、誰がこんなことを…」
「お前だよっ!」
「違うよ、陽多君の鼻が悪いんだよ」
「まさかの責任転嫁か!?」
はぁ…このままじゃまずいよね。ちょっと抱きついただけで鼻血を出すようじゃ…
「少なくとも陽多君は私の身体には慣れてもらわないと」
「慣れるって…どうすりゃ良いんだよ?」
「普段から私が抱きつきまくるっていうのは?」
「ティッシュ何箱用意すれば良いんだ!?」
正直に言うとこれは私の願望だったりする
「まぁ、その事はそのうち話し合うことにしよっか」
「ああ…」
どこかでティッシュを大量に仕入れないと駄目かも
紗季Side
「さて、これからどうしよっか?」
「はぁはぁ…」
「どうしたの空君?息荒いよ?」
「紗季が……いきなり引っ張るから…はぁ…」
空君を引っ張って走ってみたものの、結局何をするのか決まらない
「それじゃ本屋にでも行く?」
「それも前行ったけど…もうどこでも良いか」
私の提案に空君が乗ってくれた
「でも欲しい本とかあるの?」
「特にはないよ」
「ふーん…まぁ行って探してみるか」
私達はようやく決まった目的地に向かって歩き始める
「二人っきりで歩くのも良いものだね~」
「ああ」
でもこうしてるとまるで…
「デートみたいだね」
「!?で、で、デート!?」
「う、うん」
空君がオーバーなリアクションをとる。
あれ、もしかして…
「……空君、私とのデートって、嫌?」
「ち、違うっ!絶対にそんなことないから!」
「そっか」
なら良かった。空君が嫌がってたら物凄く傷つくところだったよ
(でもいつかデートしてみたいなぁ…)
私はそんなことを夢見ながら彼と歩いていった
優里Side
「結局、特に買い物もなかったわね」
「そりゃお互い、買いたい物もなしにデパートに入るからだ」
私が適当に考えた行き先でもなにかやることがあると思ったのだけど…流石になかったわ
「仕方ないわね。次の行き先を考えるからあそこに座りましょ」
「他に決まってなかったのかよ…」
呆れ気味の賢也君と二人でベンチに座る
「だから初めから計画立てとけって言っただろうに。ったくお前は昔から…」
「ちょっと賢也君。せっかく行き先が思いつきそうだったのに貴方が騒ぐから思いつけなかったじゃない。あんまり騒がないで頂戴」
「俺が悪いのかよ!?」
……なんだか懐かしいわ、こういう感じ
「ふふっ」
「なに笑ってんだよ?」
「いえ…こういうやり取りって何年ぶりかしらね?」
「小学生の時以来だと思うぞ。中学からはお互い遠慮し始めてたし」
「本当に良かったわ。またこういう関係に戻れて」
私は賢也君の方を向き、微笑んだ
「ああ……ところで行き先は決まったか?」
「行き先ってなんだったかしら?」
「ボケたのかお前は!?」
「失礼ね。私はまだそんな年じゃないわよ」
「じゃあ早く考えてくれよ…」
とは言ってもねぇ…どこに行けば良いやら…
「最後の場所だけは決まってるんだけどね…」
「そこは絶対最後じゃないと駄目なのか?」
「駄目」
「ふむ……」
賢也君は腕を組んで少し考えると
「やっぱり二人でぶらつかね?よく考えればお前と二人で歩くこと自体久しぶりなんだしさ」
「そうねぇ……デートっぽくはないけど…良いかもね」
賢也君と一緒なら私は良いからね
「じゃあ行こうぜ」
「ええ」
というわけで私達はデート…というより散歩に行くことになった。
まぁ楽しいし…こういうデートも良いわよね




