ヤンデレって大変だな…
「……はこうなるとして…」
「ふあああ…」
なんとかあくびを堪えながら聞いていたがもう限界だ。授業だるい…。
ちなみに今は3時間目、つまりこれが終わってもまだ昼休みにはならない
(あーあ、早く終わんないかな)
ここで言っておくが俺は成績は悪い。中学の時も酷いもんでよく香奈に怒られていた。
だから授業は真面目に受けろって言われるんだが…無理だな
(……お、賢也のやつ、寝てるな)
俺の二つ前の席にいる賢也は居眠りを始めていた。
もうこうなったら俺も寝ますか…
(うっ!?なんだこの刺すような視線は!?)
突然感じた視線の先には……ニコニコしている香奈がいた。
するとアイコンタクトでなにか言ってきた
(ねえ陽多君?まさかとは思うけど授業中に居眠りしようとしてなかった?)
(はっはっは、なにを言ってるのかさっぱりだぜ。俺はそんなこと微塵も考えてないさ)
(なら良いけど。ただでさえ成績悪いんだから授業くらいはちゃんと聞いてよ?)
(はいよ)
ふう、これじゃ寝るのは無理だな。確実に怒られる
「ふあああ……眠いなぁ…」
「ほお、俺の授業はそんなにつまらなかったか?」
「はいとても……ってあれ?」
ふと前を見るとさっきまで授業を教えていた男の先生が目の前にいた…あれ?これって結構ヤバい状況?
「なら暇つぶしにあの問題を解いてこい」
「………」
あ、言ってなかったが今は数学の授業な。
で今目の前に広がるわけの分からない図形の問題を見て
「わかりません!」
「顔洗ってこいバカモンがぁ!!」
俺はそそくさと教室を出た
「ほら陽多君。真面目に聞かなかったから怒られちゃったじゃない」
「見たかったなぁ、ぐっすり寝てたから気づかなかったぜ」
「なんでお前は怒られないんだよ…」
休み時間、俺の席に集まってきた香奈と賢也は早速さっきの授業のことを話し出した
「もうっ!賢也君もずっと居眠りしてたでしょ!?駄目じゃない!」
「大丈夫大丈夫。俺は陽多ほど成績悪くないしな」
「そういう問題じゃないの!」
「真面目だねぇ」
「当たり前の事だよっ!」
その時点で充分真面目だけどな
「二人とも次は真面目に授業聞きなよ。良い?」
「「は~い」」
「返事は伸ばさないで短く!」
お前は先生なのか?
ついに4時間目が終わり、待ちに待った昼休みになる
「んじゃ食べますか」
「うん」
「そういえばお前らど……同棲してたんだよな?弁当は誰が作ってるんだ?」
賢也がわざわざ最後の方を声を小さくして聞いてきた。周りに聞かれると厄介だからかなり助かる
「ああ、香奈が作ってる」
「へえ、家事とか得意なんだな」
「得意ってほどじゃないけど…陽多君よりはマシだしね」
「さりげなく攻撃しないでくれ!」
確かに香奈よりは劣るけど俺だって人並みには家事できるっつーの
「とりあえず食べようぜ」
「「うん(おう)」」
俺達は飯にありついた。
そして食い終わり、三人で話していた時
「あ…あの…ちょっと良いですか…?」
控え目な声で話しかけてきたのはうちのクラスの女子だった。
黒髪を三つ編みにしてる地味な感じの女の子だ
「どうした?」
とりあえず俺が聞くと
「あの…組谷君…だよね?」
「ああ、そうだが」
「……お願いします。放課後体育館裏まで来てください!」
「………へ?」
その一言で俺達はフリーズした。
え?なに?体育館裏?まさか告白?俺に?ていうかなぜ今ここで言った?
「……ふふ、体育館裏ってことは…陽多君に告白をするのかな…?」
「やべっ!」
慌てて香奈の方を見ると既に目が濁っていた…ヤンデレモード発動!
「うふふふ、私の許可も取らないで告白なんて…随分良い度胸だね…」
「え…?い、いやあの違います!告白とかじゃ…」
「香奈、落ち着け!」
香奈に冷静になってもらおうと呼び掛けたが
「陽多君まで庇うんだ?なんだぁ……もう両想いなんだぁ……。出会ったばっかりなのにおかしい……ね!!」
「うおわ!?」
香奈がさっきまで使っていた箸で攻撃してきた!
俺はそれをなんとか交わしたが…冷静になってもらうまで頑張るしかないか
「おい陽多。状況が全く見えないぞ?香奈はどうしたんだよ?」
「そっか、賢也には言ってなかったな。香奈はたまにこうやってヤンデレモードになるんだよ」
「ヤンデレ?ってことは陽多のことを……って今は良いか。とにかく香奈を止めなきゃな」
「おう!あんたは逃げてな!」
「は…はい…!」
話しかけてきた女子を逃がして俺と賢也で香奈を止めに入った
「二人ともごめん!迷惑かけちゃって!」
「いや…良いよ…いつものことだし…」
「なんとか…冷静になってくれたな…」
しばらくして香奈は落ち着いた。その間俺達は香奈の攻撃を交わしながらクラスの連中にばれないように目立たない所に連れていき、落ち着くまで攻撃を交わし続けた
「しっかし凄かったな香奈のヤンデレ」
「俺はよく遭遇するから見慣れてるけど賢也は初めてだもんな」
「うう…なんとか直したいんだけど…」
「ヤンデレってリアルで見るの初めてだけど、大変なんだな」
まぁアニメのヤンデレも怖いが香奈のヤンデレも恐ろしいからな
「まぁ直そうと思って直せるもんじゃないしな、想いを遂げるまでは我慢するしかないのかもな」
「想い?」
「け、賢也君!」
「おっと悪い。こういうことは他人が口挟むことじゃないな」
なんのことなんだ?まさかとは思うけど……香奈が俺のことを好きだとでも?
いやいやないない。ありえないって。ヤンデレだからって。
え?ヤンデレってことは好きなんじゃないかって?いやそうとは限らないぜ。
ま、そういうことも含めてはっきりさせるためにも抜けている記憶を思い出したいな、あれが多分香奈がヤンデレになったきっかけだろうし…
「……つっ!」
「陽多君!?」
「おいどうした!?」
俺は頭痛のせいで頭を抑えて膝をついた。
しまった、下手に思い出そうとするのはまずいんだった
「まさか陽多君、記憶を思い出そうとしたの?」
「ああいや…ちょっと考えただけなんだが…」
「なんだ?記憶?どういうことだよ?」
わけが分からないって顔をした賢也が聞いてきた
「ああ実はな…」
あまり人に話すことではないのだが賢也なら信用できると思い話した
「そうか……複雑な事情があるんだな…」
「私が知ってれば良かったんだけど…陽多君の忘れてる記憶は私がいなかった時らしくて」
「うーん、でもちょっと考えただけで頭痛が起こるってことはかなりのトラウマになってるんだな。恐らく脳が思い出すのを拒んでるんだ」
「突然の博士キャラだなお前」
「まぁそれらしいこと言ってみたがこういう問題は難しいな。自分自身で解決するしかないからな」
「小学校の頃から続いてるんだけど…なかなかうまくいかないみたいなんだよ」
「今考えても仕方ないぜ。それより早く教室戻ろう…ぜ…」
そこで俺はできるなら気づきたくなかったことに気づいてしまった
「どうしたの?」
「なんか嫌なことに気づいたような顔だな」
「……もう授業始まってから10分経ってる」
「「え………?」」
こうして三人仲良く授業に遅刻することになりました