話し合い…?
陽多Side
翌朝、俺は目をさます
「ふぁ~…今日も学校か…」
めんどくせぇ…
「んぅ……」
「おっと」
そうだ、昨日は香奈と一緒に寝たんだ。だから…
「香奈は俺に抱きついてると…」
……鼻血は大丈夫…というよりいい加減慣れてきたのかもな
「とりあえず香奈を起こすか…」
と、そう思った時
(待てよ…このまま寝坊して二人して遅刻すれば…)
一時間目は受けなくても良いかもしれない!
それに今日は土曜日だから午前中に終わるんだ。なら一時間抜けばたったの三時間で終わりだ
(そうと決まれば……寝よう)
おやすみなさーい…
「陽多君?今起きてたよね?何で二度寝してるのかな?」
「!!」
計画失敗。原因は香奈が起きていることに気づかなかったためでした!
「もう、早く起きるよ」
「………ぐぅ…」
「しまいには寝たふりですか…」
起きたくない起きたくない起きたくない!
「……今起きたらキスしてあげようと思ったのに」
「おはよう香奈。良い朝だな」
「切り替え早っ」
男として当然だ
「ま、良いや。それじゃ…」
香奈が顔を近づけてくる
「おはよう、陽多君。チュ……」
「んっ……おはよう香奈」
そして俺達は着替えを済まして、リビングに向かった
学校到着。え?カットしすぎじゃないかって?そんなことはない!
「お、今日は大人しく来たな」
「まぁ土曜日だからな。どっちにしろ午前中に終わるし」
本当はサボりたかったんだけどな
「所で賢也と優里は昨日なにしてたんだ?用事があるって言ってたけど」
「ああ、優里に学校の中の説明をしてたんだ」
「おかげでいろいろ分かったわ」
ふーん、昨日の用事ってのはそれだったのか。
俺は次に紗季に聞く
「そういや結局昨日のラブレターの件はどうなったんだ?」
「ラブレター?なんだそれ」
「もしかして紗季ちゃんが貰ったのかしら」
賢也と優里が早速反応する
「うん、それでその後指定された場所に行ったら告白されたんだ」
「まぁ当然そうなるよな」
「でも断ったよ」
それも当然だろうな。こいつは空一筋だし
「……そういえば紗季の好きな人って誰なの?昨日は結局教えてくれなかったけど」
「内緒だよ♪」
「えぇ~?教えてよー」
紗季と空の会話を聞いて一言。何故お前ら付き合わない!?
「陽多と香奈は何事もなく帰れたのか?」
「いや、ちょっとしたいざこざがあった」
俺は昨日、香奈を殴ったやつを殴り返したことを皆に話した
「昨日のやつらがまた絡んできたのか…」
「私達も狙われる可能性が大きかったね」
空は話を聞いて、また昨日の連中だとわかり少し呆れていた
「でも大丈夫かしら?そういう輩って何度でも同じことするわよ」
「流石に三日連続はないと思うが…」
「いえ、やり方を変えて単純に陽多君に復讐しようとするかもしれないわ」
優里は少し考えると
「一応手は打っておくわ」
「どうするの?優里ちゃん」
「まぁできるだけ何もないと思いたいけど…一応ね」
それからは優里は何も答えなかった
優里Side
休み時間、私は教室を出る。
本当に…本当に念のために手を打っておくためである
(できるだけ穏便に済ましたいものだわ)
まずは目撃者探しから始める。校門の前の騒ぎを見てた人をとにかく探す。
そして
「あぁ昨日のあれか。俺見たぜ」
「最初にナンパしてた連中の特徴とか覚えてるかしら?」
「確か……先導してたのが田島だったな」
「田島?」
聞き覚えあるような…
「最近急に町の不良気取りだしたやつだ。ま、市川辰也も最近なりを潜めたからな。それでいい気になってんだろ」
おそらくその田島君が一昨日絡んできた一人ね。
さらに昨日、仲間を引き連れてきたのも
「おまけにあいつの親も結構良い会社で働いてるからな。怖いもの知らずなんだよ」
「へぇ…なんて会社?」
「ああ、確かな…」
私はここでかなり有力な情報を手にした。これは切り札に使えるわね
「わかったわ。いろいろありがとう」
「いやいや、んじゃな」
情報をくれた男子と別れ、次の行動に移る
(後は……田島君が連れていた人達に話を聞きましょうか)
まるで探偵になった気分だわ
陽多Side
その後、授業は全て終わり、放課後を迎えた
「結局優里は休み時間の間何をしてたんだ?」
「ちょっとね」
相変わらず優里は答えない
「まぁ良いや、とにかく帰ろうぜ」
その時だった
「組谷、ちょっと職員室まで来てくれ」
「え?」
岩田先生に呼び止められる
「大事な話なんだ」
「……わかりました」
俺は皆を待たせて職員室に向かった
そして職員室。話し合いができる場所まで通される。
そこで目にしたのは
(!こいつ…昨日の…?)
2日連続で絡んできた男がいた。
さらにその親と思える二人も一緒に
「そこに座れ」
俺は三人と向かい合う形で座る
「組谷、今回お前を呼んだ理由なんだがな。お前は昨日、この男子…田島を殴ったらしいな」
「……はい」
ここは嘘をついても仕方ない。俺は正直に答えた
「何故殴ったんだ?」
「香……俺の彼女が殴られたからです。それでかっとなって…」
「何を言ってるの!」
すると急に、田島の母親が騒ぎだした
「うちの子は殴ってなんかいないわよ!話しかけただけだって言ってるもの!」
「なっ!?」
そんなはずはない!
「嘘ですよ!俺の目の前で殴られたんですよ!?」
「ふん、むやみやたらに暴力を振るうような人の意見は信じられないな」
さらに父親までこの態度かよ…
「とにかく!こんな危険な生徒は退学させてください!」
「!!」
退学…?そんな…
優里Side
陽多君が職員室に連れていかれた。
もちろんそれを黙って見守る私達ではく、ちゃっかりと後をつけていった
「あ!あの男子、昨日の!」
話し合いを覗いた瞬間、香奈ちゃんが言った
「……嫌な予感がしてきたわ」
そんな私の予感は残念ながら見事に適中。
どうやら田島君が親に嘘を吹き込んだらしいわね。これも陽多君への復讐のつもりかしら?
「とにかく!こんな危険な生徒は退学させてください!」
「っ!!」
「待ちなさい香奈ちゃん」
飛び出そうとした香奈ちゃんを止める
「でもっ!このままじゃ…!」
「私に任せて」
香奈ちゃんに微笑み、私は見ているのをやめた
「まぁまぁお母さん、彼が嘘を言ってるかどうかまだわかりませんし…」
「そうですよ。結論を出すのは早すぎますわ」
「!?優里?」
岩田先生の言葉に便乗しながら、その場に入る。
陽多君が驚いた顔をする
「なによ貴女は!」
興奮気味の田島君の母親に答える
「私はそこの組谷君の友達です。私には彼が嘘を言ってるとは思えません。ですからどうか私もこの話し合いに参加させてください。お願いします」
そう言って頭を下げる
「……俺は構わんが…」
先生は田島君と両親に目を向ける
「構いませんよ。反論があるなら聞きたいものだ」
「どうせ嘘に決まってるわ…!」
「………」
強気な態度の父親。最初から自分が正しいと思い込んでいる母親。何も言わない息子。
随分と愉快な家族ねぇ。関わりたくはないけど
「ありがとうございます」
とにかくこれで私も話し合いの席に参加できることになった。
さて、これからが本番ね、反論開始といくわよ




