募る想い
紗季Side
本屋を見終わった後、私達はゲームセンターに来ていた。
そして着いて早々…
「今度こそ負けねえぞ空!」
「こっちも負けないよ!」
陽多君と空君がレースゲームで対戦していた。前回の戦いの続きをしてるみたいだね
「白熱してるね~」
「今回はどっちが勝つかな?」
私と香奈ちゃんはその様子を見ていた。
ちなみに賢也君と優里ちゃんはクレーンゲームに向かった
「ねぇ紗季ちゃん、今日は急に遊びに行くって言い出したけど…なにか理由があるの?」
「……鋭いね香奈ちゃん」
まぁ違和感丸出しだったよね、我ながら
「実はさ…」
私は香奈ちゃんに最近空君がなにか悩んでることを話した
「そっか、それで気分転換のつもりで提案したんだね」
「うん」
「それにしても空君が悩み事かぁ…」
香奈ちゃんは私の話を聞いて考え始めた
「紗季ちゃんは心当たりとかあるの?」
「えっと…」
……昨日の一件についてのことだから香奈ちゃんには話しにくいんだけどな…。
すると香奈ちゃんは微笑み
「そっか、昨日のことが原因だと思ってるんだね?」
「え!?」
なんでバレたの!?
「言いにくそうにしてたからね、私に言いにくいことってことは昨日の事件についてのことでしょ?」
「う…うん」
「大丈夫だよ、昨日のことは吹っ切れたつもりだから。でも空君が悩んでるのは別のことじゃないかな?」
「どうして?」
「空君はいつまでも引きずるような性格じゃないだろうからね」
そっか…確かにそうだよね…
「なんだか香奈ちゃんの方が空君について詳しいよね…私なんか全然…」
「なに言ってるの。紗季ちゃんだってちゃんと空君のために気分転換に連れていってあげたりしてるじゃん。空君のことを大事に思ってる証拠だよ」
「そ、そうかな?……うん、まだまだこれからだよね」
落ち込みかけたけど…香奈ちゃんのおかげで元気が出てきた!
「でも空君は私のこと大事に思ってるかな?」
「当たり前じゃな「ねぇ君達、今暇かな?」……何かしら?」
突然私達の話に割り込んできたのはチャラチャラした感じの男の人二人だった
「暇ならさ~俺達と遊ばね?」
「お金おごるからさ!どう?」
「悪いけど断らせてもらうわ」
どうやらナンパみたいだね。そうとわかった香奈ちゃんが早速口調も変わり敵対体制になる
「ごめんなさい、私達友達と一緒に来てるので…」
「え~良いじゃん。放っときなよ」
……なんでそこまでしなきゃいけないんだろう?
「貴方達のためにそこまでする義理がないんですけど?」
「そのとおりよ。早く消えてくれないかしら?」
ついに男達はキレ始めた
「生意気なやつらだな…こっちが下手に出てるからって調子に乗りやがって…!」
「こうなったら無理矢理にでも連れてって…」
と、そこまで言った時
「「おい」」
「「あ?」」
男達の肩にそれぞれ手が乗せられ、二人が振り向くと
「「歯、食い縛りやがれっ!!」」
「「ぐはあっ!?」」
後ろに立っていた陽多君と空君の一撃が顔面に炸裂した
「な、何しやがる!?」
「それはこっちの台詞だ、てめえら俺達の連れに何してやがる?」
「ちょ、ちょっと声をかけただけだ!」
「さっき無理矢理連れてくとか聞こえたんだけど?」
男達は二人の威圧感にすっかり怯えていた
「今回はこれで見逃すけどよぉ…次はねえからな?」
「ひいっ!わ、わかりましたっ!」
そして男達は逃げていった
「大丈夫!?二人とも!」
「うん、大丈夫だよ」
「まだなにもされてなかったからね」
空君はホッと胸を撫で下ろしていた
「そういえば二人ともゲームしてたのに良く気づいたね」
「なんか不穏な空気を感じたからな。放り投げてきたんだ」
「再戦はまた今度だね」
「そっか、試合を投げ出してまで来てくれたんだ」
「当たり前だよ!」
すると香奈ちゃんが耳元で話しかけてきた
「ね?空君はちゃんと紗季ちゃんのこと大事に思ってるでしょ?」
「……うん、そうだね」
ああ駄目だ、今回の一件でまた…
「そろそろ帰るか、日も暮れてきたし」
「そうだね」
また…私は…
「行こう!紗季!」
「うん!」
前よりも…空君のことを好きになった




