残された二人
「ふぁ~…朝か…昨日は大変だったな」
あの後勝手に病院を抜け出したことを謝りに行ったらめちゃくちゃ怒られたな…。
どうやら完全に行方不明扱いになってたらしい。心配かけちまったな
「さて起き……るか?」
ふと横を見ると…
「すぅ……」
「おいおいまたかよ…」
香奈が寝息をたてて眠っていた
「ったく仕方ねえな」
俺は眠っている香奈の頭を撫でる。
昨日の一件でお互い両想いだったことに気づき、今は実質付き合ってるようなものになっている
「ふあぁ…陽多君…?」
「おっと悪い、起こしちまったか?」
俺が手を離そうとすると
「離さなくて良いよ。もう少し続けて」
「はいよ」
というわけでその後もしばらく香奈の頭を撫でてやった
「はぁ…」
「どうしたの紗季ちゃん?ため息ついて」
いつものように紗季と空の二人と合流した俺達はそのまま学校に向かっていた
「なんか周りの皆が好きな人と結ばれていくのに私はいつになったら付き合えるのかなぁって…」
「紗季の好きな人ってどんな人?もし良かったら俺が手伝おうか?」
「はぁ~~~………」
「あれ!?何でさらに落ち込んでるの!?」
それはお前が元凶だからだ、空
その後、四人で駄弁ってる間に学校に到着。
教室に入る
「よう、おはよう四人共」
「おはよう皆」
先に来ていた賢也と優里に挨拶をする。
いやぁこいつら昨日の一件全然引きずってないわ。流石というかなんというか
「あら?紗季ちゃん元気がないけどどうしたの?」
「あはは…なんか取り残された気分でね…」
「取り残された?……ああなるほどね」
優里が納得した表情になる
「にしても実際、空は紗季のことどう思ってるんだろうな?」
「それが謎だよな…さりげなく聞いてみるか?」
「ああ、あくまで自然にだぞ」
念を押す賢也に手を振って答える。
そこで岩田先生が入ってきて朝のHRになった
HRが終わった後、隣の空に話しかける
「空は好きな相手とかいるのか?」
自然に聞いてみた
「え?う~ん…いないかな」
紗季に聞かれたらまたため息の量が増えそうな返事だ
「でも……」
「ん?」
「……いや、なんでもない」
「???」
何だったんだ?
「ほら、そろそろ授業だぞ」
「ああ」
俺は教科書を、空は教科書とゲーム機を用意する。いつも通りだ
「………」
空が考え事をしている以外は
(さっきのとなんか関係あるのか…?う~んわからん)
結局俺まで考え事をしてしまい次の授業の内容が全く頭に入らなかった
空Side
「陽多君さっきの授業ずっと上の空だったけどどうかしたの?」
「ああいや特には」
俺は香奈に怒られている陽多を横目で見ながらひたすら考え事をしていた
(好きな人…か…)
本当に俺は好きな相手がいないのか?気になる相手すらも?
「空君?何か考え事?」
うーん、陽多にはああ言ったけど…
「おーい、空君?」
やっぱり俺は…
「そ・ら・く・ん!!」
「うわぁ!!」
なに!?急に目の前に紗季の顔が!!
「無視は酷いよ~」
「あ、ああごめん」
しまった、考え事に夢中になりすぎた
「ど、どうしたの紗季?」
「空君か珍しく真剣な顔してたから気になってね」
「そっか、俺は大丈夫だよ」
「なら良いんだけどね」
あれ?まだ心臓がドキドキしてる?なんでだ?
「心配事があったら遠慮なく言ってよ。私で良ければ力になるから」
「うん、ありがとう」
でもこれは紗季には相談できないことだ。
そう、紗季に対するこの気持ちの正体についてなんて…紗季に聞けるわけない…




