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過去との決着

数分前 陽多Side


俺は夢を見ていた。

今立っているのはあの交差点。俺が今日倒れたあの交差点だ


「あれは……」


そしてそこには…子供の頃の俺と香奈の両親の姿があった


「……頭痛は起こらない。ついに思い出せるってわけか」


そう悟った瞬間


『!!陽多君!危ない!』


『くっ!まさかここまでやるなんて!』


『えっ…?うわあああああ!!』


俺に大型の車が迫ってきた。

轢かれる!そう思った。

だが


『あ…あ…おじさん…?おばさん…!?』


香奈の両親は俺を庇い轢かれてしまった。

そうだ…そうだったんだ…!


『大丈夫…かい…?陽多君…』


『無事…みたいね…良かった…』


俺は突然の出来事でどうすれば良いのかわからなくなった


『ごめんな…陽多君…、こんなことに巻き込んで……でもできるなら…最後に頼みたい…』


『そうね…陽多君なら任せられるわね…。お願い陽多君…あの娘と…香奈と…ずっと…』


俺はその時はっきりと答えた


『……はい!僕は…俺はあいつと…香奈と!ずっと一緒です!』


それを聞いた二人は安心したように微笑み…目を閉じた


『……おじさん?おばさん?ねえ!起きてよ!ねえ!!』


俺の必死な呼びかけにも答えられるはずもなく二人は息を引き取った


『うう…ああ…あああああああああ!!』


俺はその場で気を失った










「!!」


俺はその瞬間目を覚ました


「……ここは…病室…?そっか、俺倒れたんだっけ」


酷い目にあった…だが


「全部思い出したぞ、あの日のことを」


そうだ、目の前で香奈の両親が轢かれたショックで記憶を無くしたんだ


「………」


俺はベッドから立ち上がる


「なんか嫌な予感がするな…」


俺は勘を頼りに病院を出た。

後々面倒なことになるかもしれないが仕方ないな










俺はそのままあの交差点を目指した。嫌な予感が拭えないからな


「ん?あれは……皆?」


なにやってるんだと思っていると…俺は異変に気づいた


(香奈が…ナイフを自分に向けてる?)


普段なら果てしなく動揺したのだが何故か今は冷静にその様子を見ていた。

皆の話を聞いているうちに俺は確信した。

香奈も知ってたんだな。あの日のことを


(でもなんで自殺なんか…)


そう思った時だった


「でも…陽多君のためにも…これが一番なの…だから……さよなら」


俺の…ためだと…?




――ふざけんな


「おいおい勝手に決めんなよ」


俺は様子を見守るのをやめて皆に近づく


「ったく目覚めて早々事件とはな。呪いかよ」


「陽多…君…!」


香奈は俺の姿を見て両手を震わせていた


「香奈。お前のヤンデレの原因は俺への好意と殺意だったんだな」


「………」


俺はそのまま香奈に近づく


「来ないでっ!!」


必死にナイフを掴み、自分ではなく俺に向ける


「来ないで陽多君…今の私は危険だから…!陽多君に危害を加えるかもしれない…」


俺は答えた


「嫌だ」


「どうしてっ!!」


「お前の親と約束したからな。ずっと一緒にいてやるって」


「え……?」


だいたいそんな顔見て止まれるかよ。今にも泣きそうじゃねえか


「それに俺は…」


こんな状況で言いたくなかったが…今言わなきゃしょうがない


「お前が……楓実香奈のことが好きだ。ほっとけるわけねえだろ」


「!!」


俺達二人以外の四人は黙っている。空気を読んでくれたみたいだな、ありがとう


「私は…私は…どうすれば…」


香奈はついにナイフを落とした


「香奈」


「うう…」


俺は静かに香奈を抱きしめる


「香奈はまだ俺を殺したいのか?だとしたらお前は俺を殺す権利はある。俺はなにも文句は言わない」


「………」


「……でも、俺をまだ好いていてくれるなら返事をくれないか?」


「……私は…」


香奈は声を振り絞る


「私はっ!組谷陽多君が好きっ!!殺したくなんかない!」


「ありがとな香奈。もう泣いて良いぞ。苦しかっただろ?」


「う…うう…」


「今まで溜まってたもの全部吐き出しちまえ。楽になるからさ」


「うう……!うあああああああ!!」


俺は香奈が泣き止むまで抱きしめつづけていた










香奈が泣き止み、皆もこっちに来た


「もう大丈夫?香奈ちゃん」


「うん、ごめんね皆。心配かけて…」


「ううん、香奈ちゃんが無事なら良いんだよ」


さてと、一応聞かないとな


「皆、俺達の真実を知っちまったわけだが…どうする?まだ俺達の親友でいてくれるか?」


「皆……」


すると皆は当たり前のことを聞くなという感じで言った


「こんなことでお前らの親友やめるわけねえだろ。これからもよろしくな」


「私もよ。まだまだ二人の親友でいるに決まってるじゃない」


「そうだよ。今までもこれからも親友だよ」


「うん!俺達はずっと親友だ!」


皆の言葉に少し泣きそうになるが踏ん張り、笑顔で返す。

香奈も同じく


「ありがとな!賢也、優里、紗季、空。お前らと親友で本当に良かったぜ!」


「うん!皆、これからもよろしくね!」


こうして良い感じで今回の事件は終了し


「あ、ちょっと待って。念のため確認したいことがあるのよ」


……まだだった


「確認したいことって?」


「ええ、それはね……あっ!陽多君、後ろにとてつもない美少女がいるわよ!」


「マジで!?どこだ!?」


優里の言葉に振り返り周りを見渡す。だが人っ子一人いない


「なんだよいないじゃ「陽多君?今なにを期待したのかな?」……あ」


香奈を見ると既に両目は濁りきっていた。

やっちまった…


「告白の直後に…ふふ、良い根性してるね…」


「い、いやぁその……弁解の仕様もありません」


「……陽多君?カクゴハイイヨネ?」


香奈のポケットからコンパスとハサミが現れる


「で、優里、結局なにを確認したかったんだ?」


「ヤンデレモードについてよ。ちゃんと殺意が消えてるかの確認。……うん大丈夫。愛情だけでいっぱいみたいね。それに今までと比べて手加減もしているようだし」


「ヤンデレモードをなくすのは無理なのか?」


「ふふ、それは無理よ。あれは陽多君への好意の現れなのだから」


「そっか」


賢也と優里の話を聞いて、俺は助けを求める


「じゃあもう確認は済んだんだろ!?香奈を止めてくれよ!」


「駄目。香奈ちゃんがいるのに別の女の子に惹かれた陽多君には罰を与えないとね」


「マジかよっ!?」


「頑張れ~陽多君」


「捕まんないようにね~」


紗季と空は楽しそうにみてるし!


「陽多君~?話終わった~?じゃあモウイイヨネ?」


「勘弁してくれええええええええ!!」


俺は逃げ回りながらも実感していた。

事件が終わり、日常が戻ってきたことを











だが俺には一つだけ気になることがあった。

それは香奈のお母さんかあの時言った言葉


『まさかここまでやるなんて』


明らかに俺を狙ってきたような言い方だったよな、あれ。

つまり…この事件は事故じゃないわけだ。

犯人は轢き逃げをして逃げたままらしいが……いずれ見つけだしてやる。

そいつには借りが大量にできたんでな

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