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お嬢様とゲームセンター

一ヶ月振りの更新です! ……すみません、もっと早く更新できるように頑張ります!

陽多side


「もう少しで着くよ~」


 振り返りながら言った空は、紗季と一緒に俺達の少し前を歩く


「ゲームセンター……楽しみですわ、一体どんな所なのかしら」


 そう言って微笑む燐佳は、さっきの喫茶店を出てから再び白い帽子をかぶっていた。顔を隠す為にかぶっているんだろうけど、俺から見たら、その姿は白い帽子と燐佳のオーラが合わさって、上品なお嬢様にしか見えない

 

「あの、燐佳ちゃん? その格好で大丈夫なの? 身分がバレたりしない?」


「え? ほら、ちゃんと目立たない服装をしてますわよ?」


 俺と同じ事を思ったのであろう香奈が聞いたが、燐佳は不思議そうにするだけだった。そんな燐佳に優里がため息を吐きながら言う


「貴女の場合、生まれながらのお嬢様だからその程度の変装じゃ隠しきれないのよ。やっぱり車とかで移動した方が良かったんじゃないの?」


「それは嫌ですわ! 今日の私はお嬢様ではなく、普通の女の子でいたいのですから!」


「優雅なオーラを出してる時点で普通とは程遠いわよこのお馬鹿」


 悲しい事に優里の言う通りだ。燐佳を見て『普通の女の子』と思うやつが何人いるだろうか


「まぁ! 誰が馬鹿ですって!? 貴女は逆に全く気品を感じないのよ! それでもお嬢様なの!?」


「良いじゃない。今はお嬢様みたいに振る舞う必要もないし」


「そんな事言って、いざパーティーとかになると私に礼儀作法を教えてって泣きついてきたのはどこの誰だったかしら?」


「昔の話じゃない!」


 何やらお嬢様同士の言い争いが始まってしまった。紅真家と栗水家のお嬢様が言い争ってる場面なんて普通なら絶対に見れない光景だよな……


「陽多君、あの二人の言い争いのせいで周りの目が集まってきてるんだけど……」


「ま、目立つしな。容姿の良い二人が大声で喋ってるんだから」


 香奈と賢也が俺に言ってきた。本当だ、何か好奇の目が向けられてる気がする


「まぁあんな風に言い争ってる二人がお嬢様だなんて思うやつもそうそういないんじゃねえか?」


「そうかもしれんが、目立つのは良くないんじゃないか?」


「そうだな。じゃあ賢也、二人を止めてくるんだ」


「何で俺なんだよ!?」


 何を当たり前の事を


「彼女の暴走を止めるのは彼氏の役目だろうが!」


「……確かに、お前もいつも香奈の暴走を止めてるもんな」


「そうだぜ。彼女が壊れた時は何とかしないとな」


「そうだな、香奈みたいに壊れ果てるまでに何とか直さないとな」


「そういうことだ!」


「ねぇ二人とも酷くない!?」


 涙目の香奈が抗議してくる。残念ながら香奈が暴走するのは覆しようがない事実なんだよなぁ


「仕方ないな……」


 賢也は大きなため息を吐くと、言い争ってる二人に向き合う


「大体貴女は昔から!」


「燐佳ちゃん、貴女はもっと……」


「そこまでにしろ二人とも。滅茶苦茶注目されてるぞ」


 賢也が冷静な声で言うと、二人は我に帰る。そして、周りを見て顔を赤くした


「ご、ごめんなさい賢也君。つい熱くなりすぎちゃったわ」


「わ、私としたことがはしたない……」


 おおー、あっという間に収まったぞ。これなら初めから賢也が止めてれば良かったんじゃ……


「ったく、もう喧嘩するなよ馬鹿コンビ」


「「誰が馬鹿よ!?」」


「余計な事言うな馬鹿賢也ぁ!!」


「私は壊れてなんかないよぉ!!」


「香奈まで参戦するんじゃねぇー!!」


 結局、騒ぎまくる馬鹿三人と油を注いだ馬鹿一人を俺と紗季と空で必死に静かにさせるのだった。












 騒ぎも収まり、俺達は目的地のゲームセンターに到着した


「ここがゲームセンターですのね……」


 初めて見るのであろう光景に、燐佳は目を輝かせている


「燐佳はどんなゲームをやりたい?」


「そうですわね……私、こういう場所は初めてですから、皆さんにお任せしてもよろしいかしら?」


「うーん……じゃあ誰でも出来るクレーンゲームでもやってみる? 前に故障したけど、今は直ってるからさ」


 空が言うと、皆はクレーンゲームの目の前に向かっていく。

 俺と香奈を除いて


「あら? 陽多さんと香奈ちゃんはやらないんですの?」


 そんな俺達に燐佳が不思議そうに尋ねてきた


「ああ、俺達はそのゲームをプレイすることも、近付くことさえも出来ないんだよ」


「私達は少し離れた所から見守ってるよ」


 俺と香奈は笑顔で答えた。ははは、勿論笑顔が引きつってるなんてことはないぜ?


「……おい、まさかクレーンゲームを壊したのって……」


「さぁ! とりあえずやってみろよ!」


「燐佳ちゃん頑張って!」


 余計な勘繰りをする賢也の言葉を冷や汗を流しながら遮る。そんな俺達を見て、賢也もため息を一つ吐いて追及を止めた


「えっと、まずお金を入れて」


「こうですわね?」


「そうそう! で、このボタンでクレーンを動かして……」


 空と紗季が燐佳にゲームの説明をする。そして、説明が終わるといよいよ燐佳の人生初のクレーンゲームが始まった


「どれを狙えば良いのかしら」


「いきなり大きい物は無理だよ。小さいぬいぐるみから狙ってみたら?」


「じゃあ……あの猫のぬいぐるみを狙うことにしますわ」


 そう言うと、燐佳は手前にある小さな白猫のぬいぐるみの上までクレーンを向かわせる


「位置調整が難しいですわねっ……」


 苦労しながら、何とか狙った地点に到達する


「ここですわ!」


 燐佳の声と共に、クレーンが降下する。そして……


「やった! 掴みましたわっ!!」


「このまま落とさずにいけば成功ね」


 狙い通り、白猫のぬいぐるみを掴んだクレーンが再び上昇してくる。さぁ、ここから景品口まで戻ってこないと意味がない。家に帰るまでがクレーンゲームなのだから


「お願いしますわよ……」


「お……これは行ったか?」


 賢也が小さく声を漏らした。クレーンゲーム大得意のあいつがああ言ったってことは……


「っ!! やりましたわ! 取れました!」


 成功だ! 燐佳は手に入ったぬいぐるみを嬉しそうに抱き締める


「やったね燐佳ちゃん!いきなり成功なんて凄いよ!」


「うん! 燐佳、実はクレーンゲームの才能あるんじゃない?」


「ふふふっ、クレーンゲームって楽しいですわね!」


「でも、マジで上手かったぞ。一回目であの腕前ならすぐに大きい景品も狙えるようになるかもしれん」


「ふふ、燐佳ちゃんにはこんな才能もあったのね」


 燐佳は本当に嬉しそうに笑っている。普段は息の詰まる環境にいるみたいだし、こういう時間は本当に貴重なんだろうな。

 そんな大変な燐佳の手助けが出来て、俺達も嬉しい


「燐佳ちゃん、凄いね……」


「ああ、本当にな……」


 俺と香奈は、どこか遠くを見つめていた。うん、燐佳が嬉しいなら良いんだけど……良いんだけどさ……


「……ねぇ陽多君」


「……どうした香奈?」


「初プレイの燐佳ちゃんですら狙い通りの景品を取れたんだよね……なら、何回もやってる私達は何で……」


「言うな……それ以上は言わないでくれ香奈……」











 その後も、俺達はしばらくゲームセンターで遊んだ。

 俺と空が、レースゲームで対決したり、燐佳がスロットマシンで大当たりを出したり、賢也がクレーンゲームで景品を大量に手に入れたりして、皆で大いに盛り上がった


 ゲームセンターを出る頃には、日も暮れ始めていたし、そろそろ解散する事に……しなかった


「なぁ燐佳。最後にちょっと寄りたい場所があるんだけど、良いか?」


「ええ、良いですわよ。どこに行くんですの?」


 さて、いよいよ最後のイベントだ。燐佳を喜ばせる為に頑張らないとな

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