事件の後始末
陽多Side
俺、香奈、紗季、空、辰也の五人は紅真家の門で賢也と紅真を待っていた。
中で待っていても良かったんだが落ち着かなかったので外で待つことにした
「賢也君、うまくいったかな?」
「うまくいってると思うけどな」
「あいつ口説くのうまいのか?」
「それがわからないのが不安要素なんだよな…。そういう辰也は口説くのうまいのかよ?」
「全然駄目だ。一回も女の子と付き合ったことがない」
「うん、そういう顔してるもん辰也君は」
「どんな顔だよ…」
自分で聞いといてなんだけど俺もそんな顔だなと思ってた
「あ、戻ってきたよ」
空が戻って来る二人を発見した
「ただいま~」
「なんで賢也君が言うのよ…」
これはうまくいったな二人共
「いや~疲れたぜ……ん?お前確か昨日の不良達のリーダーじゃね?なんでここに?」
「ほら辰也、ついでだ。今回の事件について全部説明しちまえ」
「俺は説明係かよ…」
文句を言いながらも説明する辰也
「そうか…裏でそんなことになってたのか」
「確かにあの国川って人は怪しいと思ってたわ」
「説明ありがとな辰也、俺の名前陽多達から聞いたか?」
「名字は聞いてないな」
「木崎賢也だ。よろしくな」
「私も自己紹介しとくわ。紅真優里よ。よろしく」
「ああ、よろしくな」
三人が握手した所で
「んじゃ中に入るか」
紅真社長達に会いに行くことにする
社長室の前に到着した。俺はノックして入る
「(コンコン)失礼します」
「ああ優里、賢也君、戻ってきたんだね」
「お久しぶりですおじさん」
「ただいま、お父さん」
「優里、すまなかったね。僕がおかしな冗談を言ったせいで…」
「良いのよ。私も薄々冗談だってわかってたもの。だから家出したのは私の責任だわ」
「そうか…ところで二人共」
ここで紅真社長は本題を切り出す
「二人は付き合う気ないのかな?」
「もう付き合ってますよ」
「本当かい!?」
「さっき公園で賢也君に告白されたの。だから私達はもう付き合ってる状態よ」
社長は嬉しそうな表情になる。当然俺達も嬉しくなった。本当あの二人にはくっついてほしかったんだよな
「そういえばお父さん、後で頼みたいことがあるのよ」
「ん?今は言えないことなのかい?」
「ええ、今から賢也君のご両親に挨拶に行くから戻ってきたら話すわ」
「わかった」
そして、俺達は社長室を出て外に向かった
「でも良かったね!賢也君と紅真さん、お互い前から両想いだったんでしょ?」
「ああ、お互い気づいてなかったけどな」
賢也が苦笑しながら答えた
「ねぇ皆?皆も私のこと名前で呼んでくれないかしら?」
「お、良いのか?」
「ええ。もう私達友達じゃない。だから私も皆のこと名前で呼ぶわね」
「うん!そうしよう優里ちゃん!」
優里は嬉しそうに笑った
「あーっ!?」
「うお!?どうした辰也!突然大声出して」
「やべえ!親に遅くなるって連絡忘れてた!今何時だ!?」
「20時だな」
「20時10分くらいまでならまだなんとかなる…」
「走って辰也君!」
「おう!じゃあな皆!」
辰也は猛スピードで走って行った
「凄いスピード…俺でもあんな速さ出せないや」
「空はどっちかっていうと持久力の方があると思うが」
そうして話をしている間に、賢也の家に到着した
「それじゃ俺達は母さん達と話してくる」
「んじゃ俺達はここで解散で良いかな」
「そうだね。優里ちゃん、頑張ってね」
「ええ、行ってくるわ。皆、今日はありがとね」
俺達は賢也達を見送り、家の前で解散となった
賢也Side
「ただいま」
「お邪魔します」
俺と優里は家に入る。
そして母さんが玄関に来た
「あらおかえり。随分遅かったわねえ。……一緒にいるの、もしかして優里ちゃん?」
「はい。久しぶりです、おばさん」
「本当に久しぶりよねえ。最近全然会ってなかったもの。でもこんな時間にどうしたの?」
「実はおばさんとおじさんに報告が…」
それを聞いた瞬間母さんはダッシュで居間に行く
「お父さーん!やったわよ!賢也がついに…」
「おお!本当か!よし、すぐ行く!」
母さんが父さんを連れて戻ってきた
「さ!優里ちゃん!報告を!」
「は、はい…」
俺の両親のおかしなテンションに圧倒される優里。
まぁ俺は流石に慣れてるけどな
「あの、実は私と賢也君と付き合「息子をよろしく頼みます!」ええっ!?」
「答えるの早いなおい!」
俺のツッコミも無視し二人で話し出す
「やったぞお母さん!今夜は赤飯だ!」
「ええ!急いで炊いてこなきゃ!」
「それが良い!優里ちゃん、晩御飯はここで食べていきなよ」
「い、良いんですか?ご馳走になってしまって」
「良いの良いの!」
なんか妙な展開になってきやがったな…
「……ま、たまには良いか」
俺はそう思いながら、両親のテンションに押されるようにリビングに向かうのだった
陽多Side
「はぁ、明日から学校だな…」
「なんか濃い一日だったね」
こんなに疲れたのに明日も学校があるとか理不尽だぜ全く
「なんだか今回は私達が目立たなかったような気がしてきたよ」
「今度は紗季かよ…」
「俺もあんまり目立てなかったなぁ」
「空まで!」
何故必ず一人か二人こういう文句を言ってくるやつがいるんだろう
「まあまあ、二人は昨日充分目立ったじゃん」
「それもそうだね」
「聞き分け良いなおい」
なら初めから文句を言わなければ良いのにな。
そんなこんなでいつもの別れ道に到着した
「じゃあまた明日~」
「おう、じゃあな」
二人と別れ、香奈と二人で歩く
「最近いろんな出来事が起こるよな」
「うん、でもその度に友達が増えてるよね」
「ああ」
俺はこんな日常も悪くないと思いはじめていた
翌日、だるい体を引っ張って登校。ああ嫌だ
「ねえ、今日転校生が来るんだって」
「それ二日前にも聞いたんだが」
確かその時は今まで来てなかった空が登校してきたんだったな
というか毎回紗季はどこで聞いてきてるんだ?その情報
「いやいや今回は本当かもしれないって」
「なんでわかるの?」
「何人か職員室で見たことない女子を見たんだって」
「本当かよ」
「学校に行ってみたらわかるでしょ」
「ま、うちのクラスに来るかどうかもわからんしな」
俺達はそのまま他愛もない会話をしながら登校した
学校に着き、賢也に挨拶して、その後HRが始まる時間になる。
岩田先生が教室に入る
「ではHRを始める前に転校生を紹介する」
おお!今回はマジな情報だったのか!
「転校生って…今の時期にかよ」
「確かに珍しいわな」
賢也が不思議そうに呟いてたので返してみた
「じゃあ入ってこい」
扉が開き一人の女子が入ってきたが…見た瞬間硬直した。
特に驚いてるのは前に座っている賢也だろう。少し後ろから見てもわかる
「じゃあ自己紹介してくれ」
「はい」
そう、転校生とは…
「紅真優里です。よろしくお願いします」
……優里だったから
「な、なんで優里がここに…」
賢也が硬直から解放されて呟いた
(そっか、昨日紅真社長に頼むことがあるっていってたけどこれのことか)
要するに転校させてくれって頼んだんだな
「じゃあ紅真、空いてる席に座ってくれ」
「はい」
俺はこの時奇跡的って本当にあるんだなって思った。
なんという偶然か、賢也の隣の席しか空いてなかったのだ
「よろしくね、賢也君」
「もうどうにでもなれ」
賢也が諦めたように言う。
さーて、質問タイムはHRが終わってからだな




