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絶対勝つ!

最早完全にシリアスムードです。


コメディはどこにいったんだ……

NO side


 月曜日。いつもの彼女ならば、また長い一週間が始まる、と憂鬱な気分になっていただろう。


 しかし、その日は違った。目を覚ました彼女は、目を擦る事も、寝惚ける事もなかった


「………」


 何も言わず、黙々と制服に着替え、髪を整えた。


 そして、鏡の中に映る自分の顔を見て呟いた


「……行きますか」


 彼女は……市川 蜜柑はそう言うと、自分の部屋から出ていった











 家を出た蜜柑は、いつもの集合場所で瑠美達と合流して学校に向かう


「選挙は今日の放課後なのよね?」


「うん……その場で投票して、結果が決まる」


 生徒会長を決める選挙は、今日の放課後に行われる。そこで決着が着くことになるのだ


「蜜柑ちゃん、大丈夫?」


 菜由華が心配そうに蜜柑に声をかける


「大丈夫ですよ。心配してくれてありがとうございます」


「無理はするんじゃないわよ、オレンジ。辛かったらいつでも言いなさい」


「……無理は禁物だから……ね」


「二人もありがとう。でも本当に大丈夫だから……」


 蜜柑は皆に心配させないように笑顔で答える。

 しかし、瑠美は彼女がいつもと達に違うことに気づいていた


(オレンジ……今いつもの敬語口調が抜けたわ。余裕が無いのね……)


 だが、それを指摘したら蜜柑がどうなるか分からない。

 だから


「ん、分かったわ。今日は一緒に頑張りましょうね、オレンジ」


 気づかない振りをして、蜜柑に答えた












 学校に着き、森姫と別れた蜜柑達は自分達の教室に入った


「………」


「あっ……蜜柑ちゃん……」


 真っ直ぐに自分の席に向かう蜜柑。その隣には――既に黒川 歩夢が座っていた


「………」


「………」


 いつもなら朝の挨拶を交わし、話を始めるのだが、今の二人は視線も合わせずに座っていた


(うわ……何て重い空気なの……)


 遠くから様子を伺っていた瑠美ですら顔をしかめる程の重い空気が二人の間に流れていた


(る、瑠美ちゃん。今日一日中あの空気を感じてないといけないの!?)


(仕方ないわよ……私も嫌だけど、とても話しかけられる雰囲気じゃないわね……)


 二人の想像通り、蜜柑達のクラスでは朝のHRから最後の授業まで、後ろの席から重い空気が絶えず流れる事になるのだった










 放課後の体育館、そこに沢山の生徒が集まっていた。


 もうすぐ行われる生徒会長を決める選挙が、ここで行われるからだ


「倉田君、彼女には作戦を伝えた?」


「ああ、ちゃんと仲野 桐花のアピールを妨害するように伝えたぜ」


 選挙前の最後の打ち合わせするために、歩夢と倉田は二人で集まっていた


「その娘が昨日のデートを一番楽しんでくれたんだよね?」


「おう、ゲームセンターに行った時とか大変だったぜ。クレーンゲームやらプリクラやら色んなのやらされてよぉ、こっちは一日で四人と同じ場所回ったから疲れちまったよ」


「あはは、モテる男は大変だね」


「本当だぜ。ったくよ……ま、今回の選挙で生徒会長になっちまえば好き勝手出来るからな。楽しみだぜ」


「そうだね。作戦は完璧だもんね」


 倉田は、心底楽しそうに笑う


「くくっ、本当楽しみだ。こんな選挙さっさと終わらせて俺が会長になってやるぜ」


 そんな倉田の姿を見て、歩夢も楽しそうに笑うのだった












 一方、同じ頃に桐花達も別の場所で集まっていた


「ついにこの時が来たわね。花ちゃん、準備は良いわね?」


「うん、私は玉樹君を信じて勝つよ」


「だってさ、タマ! あんたのアピール、期待してるわよ」


「ああ、任せとけって!」


 瑠美が桐花と玉樹に激励の言葉を送る。

 それに続いて、残りの三人もそれぞれ声をかける


「会長……玉樹くん……頑張って。絶対に勝ってきて」


「二人なら大丈夫だよ! リラックスして頑張ってきてね!」


「私も応援してます。負けないでください、桐花ちゃん、原中君」


 三人の激励にも、二人は力強く頷いた。


 そして――選挙開始の時間が近づいてきた


「んじゃ! 行ってくるぜ!」


「頑張ってくるよ!」


 手を振りながら、玉樹と桐花は体育館の舞台に向かっていく。


 そんな二人に、瑠美が最後にこう言った


「二人とも! 絶対勝ってくるのよっ!!」




 二人はその言葉を受け取って……戦いの舞台に上がっていった

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