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約束

NoSide


「紅真優里に変わった動きはないか?」


「はい。ベンチに座ったまま動きません」


「そうか」


国川とその仲間は紅真優里を見張りつづけている。未だに動く様子はない


「まだやつは来ていないのか?」


「はい…そろそろ到着しても良いと思うんですが」


「ちっ、何故現れない…」


「そりゃ現れないわな」


「!!誰だ!?」


突然の声に驚きながら国川は振り向く。するとそこには…


「俺は組谷陽多ってもんだ。悪いがあんたらの計画は失敗だ」


「なにぃ?」


「あんたらの計画は紅真と賢也を捕まえて紅真社長を脅して社長の座を手に入れることだろ。で、今は賢也の到着を待っている」


「………」


国川は黙ったまま動かない


「聞けばあんたら結構昔から企業にいたんだろ?それであの二人が幼馴染みだってのも知ってる。だからこの公園なら賢也は絶対に来るだろうと思った。そう、あの二人がよく遊んでたこの公園ならな」


「ふっ、ははは!なかなかの推理力だな」


「まぁほとんどは紅真社長と賢也に聞いたことなんだが」


しかし国川は笑ったままだ


「全てわかっているのならもう良い。貴様も脅しの材料にするまでだ」


国川が言った瞬間、連中が陽多を取り囲む


「ふぅ…俺は別にこのまま喧嘩でも良いけど。もうなにやっても無駄だってことを教えてやるよ」


「なにを言っ……なっ!?」


陽多の言葉と同時に後ろから多くの人が現れる。

紅真社長と企業のメンバー、辰也とその仲間達、さらに空、紗季、香奈。

国川は社長を見て真っ青になる


「しゃ、社長…!?」


「国川君、君は優里だけでなく企業に関係のない賢也君まで巻き込もうとした。その行いは断じて許すわけにはいかない」


「く…ここまでか…!」


陽多を取り囲んだ連中と国川はついに諦め降伏した


「ふぅ、これでこっちは解決か」


「今回の陽多の推理は凄かったよ!」


「うん、普段動かしてない脳が一気に動いたって感じ」


「やかましい!」


そして陽多は次の行動へと移す


「さて、後はお前だけだぜ、賢也」










賢也Side


俺はひたすら陽多からの連絡を待っている。

すぐ目の前に噴水公園はある。でもまだ入れない










数分前、突然陽多から電話がかかってきた。

俺は走りながらでる


「なんだ?」


『賢也、お前今どこにいる?』


「噴水公園の近くだ。もしかしたらそこに優里…紅真がいるかもしれない」


『悪いんだが公園の手前で少し待っててくれないか?』


「なに言ってんだよ!?優里がいるかもしれないってのに!」


『落ち着いて聞け。こっちもちょっと面倒事に巻き込まれててさ。お前が今公園に入るとお前と紅真の身が危ないんだ』


「どういうことだよ?」


『説明は後でする。とにかく今は俺を信じてくれないか?』


「……わかった」


『すまんな。入っても大丈夫になったらまた連絡する』


「ああ」










で今に至るわけだが


(連絡はまだか…)


そしてついに携帯が鳴った。

予想通り陽多からだった


「もしもし?」


『賢也、待たせたな。もう入っても大丈夫だ』


「了解」


陽多からの電話を切ると俺は急いで公園に走った










陽多Side


「うお、急に切れた」


賢也への連絡を済ませ、皆に言う


「んじゃ移動しようか。賢也達の邪魔になるだろうし」


「紅真社長達はもう紅真家のお屋敷に戻ったよ。そこに行く?」


「ああそうだな」


「辰也達はどうする?一緒に行く?」


空が聞いた


「ああ。ここまで来たら最後まで見届けたいしな」


「よし、じゃあ行くぞ」


俺達は静かにその場を後にした










賢也Side


「はぁ…はぁ…優里っ!」


「……賢…木崎君」


公園のベンチに優里は座っていた。

悲しそうな顔でこっちを見てくる


「捜したぜ、ったく」


俺は優里の隣に腰掛ける。はぁ疲れた


「どうして…」


「ん?」


「どうして私の居場所がわかったの?」


「ここは俺とお前の思い出の場所だからな」


俺は噴水を指差す


「確かあの噴水の手前だったよな。子供の時に俺とお前で結婚の約束したの」


「………」


あの時は子供心でなにも考えないで約束した。でも今は…


「俺、今でもあの約束を信じて優里以外を恋愛で好きになったことないんだよな」


「え…?」


「悪い、帰り道でお前に言ったの全部本心じゃないんだ。俺の本心はさっき言った通りだ」


「………」


俺は優里を見ながら話す


「信じられないとは思ったけどさ、お前もあの約束をずっと信じてくれてるんじゃないかと思ってな。俺の言葉で傷ついていなくなったんならここに来るだろうと思ったんだよ。お前、人の心をどうにかするのは得意だけど自分になるとさっぱりだからな」


「そうね…自分の心は簡単には操れないもの」


「……優里」


俺はもう身分の違いなんてものに屈しない。優里を名字で呼ぶこともしない。

ここで…俺の気持ちを伝える


「好きだ。俺と付き合ってくれ」


「………」


俺は優里に頭を下げて言った。そして次の言葉を待つ。

断られたとしても後悔はない


「賢也君…(ギュッ)」


「うお!?」


突然優里に抱きしめられた。

お、落ち着け俺!陽多じゃあるまいしまだ鼻血は出ない!


「私も…ずっと待ってたのよ、その言葉を…。本当に私で良いの?」


「……ああ、さっきも言ったろ?お前以外考えられない」


「じゃあよろしくね!賢也君」


「ああ!」


うまく行ったんだ!俺、やっと想いを伝えられたんだ!


「賢也君、ちょっと目を閉じて」


「あ、ああ」


目を閉じて少しして唇に柔らかい感触を感じた。

この公園にまた思い出が増えた

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