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急展開すぎてついていけん!

数分前 賢也Side


「それで私を百合にするなんて言うのよ?おかしいと思わない?」


「おいおい…おじさんも余計なことを言ったもんだな…」


俺は紅真が家出したわけを聞きながら紅真社長の言った一言が冗談だと気づいた。

だが紅真は本気だと思い込んでるみたいだ


「まぁ紅真は普通に男と恋愛したいよな?」


「……ええそうね」


「そういえばお前、昔から男子の告白とか全部断ってたな」


「えっと…それは…」


「ま、俺みたいなやつじゃなくてもっとちゃんとしたやつと恋愛しろよ」


「………」


全く、俺は馬鹿だ。こんなことを言ったら優…紅真と恋仲になるなんてもう不可能だろうに…。

でも身分があるしな。やっぱり紅真はちゃんとしたやつと恋愛しないと駄目だ


「俺の言えることはそれくらい……紅真?」


返事がなくなったので隣を見る


「……いない?」


慌てて辺りを見回すが既に近くにはいないようだった


「紅真!?どこだ!?」


呼んでみても姿を現さない。これは…ヤバい…!

俺は急いで陽多の携帯に連絡する


『もしもし?』


「陽多!大変だ!」


『賢也?どうしたんだ?』


「紅真がいなくなった!」


『!!どういうことだよ?』


「一緒に家に歩いてたのに…気がついたらいなくなってたんだ…すまん…!」


『お前が謝ることじゃないさ。とにかくわかった。こっちも捜すの手伝うぜ』


「ああ。頼む」


電話を切り、走り出す。


「くそ…どこだ?どこにいるんだ…!」


思い当たる場所は…多すぎる!










香奈Side


「あ、すいませんちょっと失礼します」


陽多君が電話に出る。どうやら相手は賢也君のようだ。

でもなんだかとても驚いてる。それに捜すって…?

嫌な予感がする中陽多君が電話を切った


「なんの電話だったの?」


恐る恐る聞いた


「紅真が行方不明になった」


『!!』


この場にいる全員に衝撃が走った


「優里は賢也君と一緒じゃなかったのかい?」


「それが歩いてる途中で姿をくらましたみたいです」


「ということは優里が自分の意志でいなくなったんだね」


その時ノックの音がしてスーツ姿の男の人が入ってきた


「失礼します。社長、どうやら国川が怪しい動きを始めたようです」


「くっ、こんな時に…!」


国川って誰だろう?


「紅真社長?なにかあったんですか?」


「ああ…恥ずかしい話なのだがうちの企業の中に反乱を企てる者がいてね。僕を社長から引きずり降ろそうとしてるんだよ」


「なるほど。その反乱しようとしてる連中のリーダーがその国川って人なんですね?」


「ああ」


陽多君が話を聞いて苦い顔になる


「どうやらこの一件、一筋縄じゃいかないみたいだな」


「どういうこと?」


私の質問に陽多君は答える


「タイミングが明らかに良すぎる。もしかしたら国川の部下が話を盗み聞きしたのかもしれない」


「それって!」


「ああ、紅真を捕らえて人質にでもして脅してくる可能性が出てきたってわけだ」


本日二度目の衝撃。紅真社長は青ざめた顔で言う


「なんてことだ…僕が余計なことを言ったばかりに優里が…」


そんな社長に


「社長。嘆いてもなにも変わりません。嘆くより次に行動を移しましょう」


「……ああそうだね。嘆いても仕方ない」


陽多君の言葉に社長の目に希望が戻る


「しかし流石だね。その切り替えの早さは君の両親に似ている」


「そうですかね…?」


「さて、ではこれからどうするかだが…」


そう言って紅真社長…いや私達全員は陽多君に目を向ける


「……え?なにこれ?まるで俺に決めてもらいたいみたいじゃん?」


「いやその通りなんだけど」


「うええええええ!?」


今更なにを驚いてるんだろう?


「いやいや、紅真企業の命運がかかってるかもしれないんですよ?それを俺みたいなやつに任せるなんて…」


「いや、組谷君だからこそ頼みたいんだよ。他の皆も同じ気持ちのはずだ」


「み、皆?」


私達に視線を送る陽多君。よし、ちゃんと答えてあげよう


「もちろん私達も陽多君に決めてもらいたいに決まってるじゃん」


「こういう時に頼りになってくれそうだしね~」


「俺も陽多を信じてるもん!」


「はぁ…お前らなぁ…」


陽多君はついに観念した


「わかったよ!わかりました!そのかわり失敗しても文句は言わないでくれよ!?」


「作戦前から失敗とか言わない」


「ったく、じゃあまずは…」


そう言って陽多君は考えはじめる。

普段成績が悪いのにこういう時には凄く働くんだよね、陽多君の頭脳


「そうだな…紅真捜しは賢也に任せるとして…俺達は国川とその仲間の連中を止めたほうが良いと思うな」


「優里を捜しに行くのは賢也君だけで良いのかい?」


「ええ。俺の勘だと今の紅真を連れ戻せるのは賢也だけだと思うので。下手に接触して逃げられたら余計に捜すのに時間がかかります」


やっぱり賢也君が無意識になにか紅真さんを傷つけるようなことを言ったのかな?


「というわけでまずは国川の動きですね。今の様子はわかりますか?」


さっき入ってきた男の人に聞いた


「今のところ無断で企業の会社から抜け出して行動していることしかわかっていません」


「………」


「なにかわかりそう?陽多」


空君が不安そうに聞く


「やっぱり俺達の会話を聞いてたとしか思えないな」


「今は国川達は行方をくらましているようです」


「くそ…まずいな…先に紅真が見つかったらアウトだ」


「どうするの?陽多君」


「時間が惜しいな。今から何人かに別れて連中を捜しだそう。途中で偶然紅真を見つけても接触は避けて見張ること」


陽多君の提案に全員が頷いた


「紅真企業の皆さんはそれぞれ別れて捜索をお願いします。俺達は紗季と空、俺と香奈で別れて捜索しよう」


テキパキと指示を出す陽多君。こういう所は陽多君のお父さんとお母さんの影響だね


「陽多君別人みたいだね。凄いカリスマ」


「カリスマなんかじゃねえって。皆にやれって言われたからやってるだけだっつーの。それに…」


「それに?」


「約束したからな。賢也の告白を手伝ってやるって」


陽多君の言葉で思い出す。

入学初日に賢也君の好きな人の話を聞いて告白を手伝うって約束したんだ


「私も約束したよ?」


「お前忘れてなかったか?」


「ソンナコトナイヨ?」


「うおい。マジで忘れてやがったな」


陽多君はそこで社長と男の人に向き直る


「じゃあそれぞれ怪しいやつを発見したら確保をお願いします」


「わかった。君達はくれぐれも無茶はしないようにね」


「はい。わかってます」


二人は部屋を出た。企業の人に連絡をしにいったんだろう


「んじゃ俺達も行こう」


「いや~まさかこんな展開になるとは思わなかったね」


「全くね」


紗季ちゃんの言葉に皆が頷く


「でも紅真を助けないとな!大事な友達なんだから!」


「ああ!」


私達も気合いを入れて部屋から出た










空Side


陽多達と別れて国川とその仲間を紗季と捜す


「二日連続で夜遅くまで忙しいことになるとはね」


「うん。まぁ昨日は走ったからもっときつかったけど」


「あはは、ありがとね」


そう考えるとまだまだ体力はあるし!絶対に見つけてやる!

その時だった


「あれ?あの人達…」


「え?……あ!あいつら昨日の!」


向こうに見えたのは昨日紗季を誘拐した連中だった。なんでこんなところにいるんだろう?

すると向こうも気づいたようでこっちに近づいてきた


「どうする空君?」


「……とりあえず様子見。なんか昨日とは雰囲気が違うみたいだ」


そして男達は俺達の前に来た


「…あんたらまたなにか用が「すんませんでした!!」……え?」


突然リーダーの男に謝られ反応が返せなくなる


「えっと…昨日の事で謝ってるんだよな?」


「ああ!本当に迷惑をかけた!すまなかった!」


「過ぎた事だよ。でも急にどうしたの?」


紗季が言うとリーダーは答えた


「……昨日あんた達にやられた後家に帰ったんだ。まぁめちゃくちゃ怒られると思ったんだが…いきなり泣かれた」


「心配してくれたんだね」


「それで殴られた所に絆創膏まではられた。こんなの少ししたら治るだろうに」


本当だ。昨日俺が殴った所に絆創膏がついてる


「んで思ったんだ。なんで今までこんな良い親に逆らって不良なんかやってるんだってな。だからグループも解散させようと思ったんだ。だが…」


リーダーは男達の方を見る


「こいつらも似たような心境になったらしくてさ。不良は止めようってことになった。だからまずは昨日迷惑をかけたあんた達に謝ろうと」


「じゃあさっきまで俺達を捜してたの?」


「いや、時間も時間だしそろそろ帰ろうかと思ってたんだが空き缶が捨ててあったからごみ箱に持ってこうかと」


「偉いな!」


「とにかく私はもう気にしてないから。大丈夫だよ」


「ありがとう…君みたいな娘を誘拐なんて本当にどうかしてたな」


人ってやっぱり変われるんだな。たった一日でこんなにも


「そういえばあんた達はなにをやってたんだ?こんな時間に」


「ああうん。ちょっと問題が起こってね」


「せっかくだから協力してもらおっか?」


確かに人数は多い方が良いよね


「問題?なにかあったのか?」


「実はさ…」


手早く説明を済ます


「じゃあその国川ってやつとその仲間を捜せば良いんだな?」


「流石に無理強いはしないよ?手伝ってくれなくても…」


「いややらせてくれ!罪滅ぼしとかじゃなくて純粋にやりたい!」


「それ楽しんでるだけじゃないか!?」


まぁ、協力者は多い方が良いか


「あ、そういえば肝心なことを忘れてた。俺は海風空、こっちが種宮紗季。あんたの名前は?」


「そういや自己紹介忘れてたな。俺は市川いちかわ辰也たつやだ」


「じゃあよろしく!辰也!」


「おう!んじゃ皆!連中を捜しに行くぞ!」


『おう!』


「あ、連絡先交換しとこう。怪しい人とか見かけたら連絡して」


「わかった!」


そう言って辰也達は走り出して行った


「良かった~、これでまた見つける確率が上がったね」


「うん!陽多達にも連絡しておこう」


俺は携帯を取り出して陽多の携帯にかける










陽多Side


『……というわけで辰也達も捜してくれることになったから』


「へぇ、あいつらが…。了解だ、またなにかあったら連絡してくれ」


空からの電話を切る


「なんだったの?」


「おう、昨日の連中も捜索を手伝ってくれるみたいだぜ」


「いろいろはしょりすぎて全然わかんないんだけど!?」


俺説明中…


「良い親持ってたんだね。それで改心したんだ、良い事だよ」


「ま、これで見つかりやすくなったわけだな」


正直人が増えるのは困らないからありがたい


「しっかしさっきから急展開が多いな」


「次はどんな展開が待ってるんだろうね」










賢也Side


「はぁ…はぁ…ここも違う…!」


俺は子供の頃の記憶をたどり紅真がいそうな場所を捜す


「どこだ…!他に当ては…」


くそっ!わからねえ…!でも…


「もしもあの俺の一言があいつを怒らせたのだとしたら…」


当てはあそこしかない!


「くっ…!優里…」


俺はうっかりあいつを名前で呼んでいたがそれすらも気にならないほどに焦っていた


「優里っ!どこだっ!?」


俺はさらに速さを上げて走った










空Side


「国川って人達見つからないね」


「どこにいるんだ?」


とにかくいろんな場所を走り回ったけど連中は見つからない

その時だった


「あ、電話…辰也からだ」


すぐに出る


「もしもし?」


『おう空!なんだか怪しい連中を見つけたぞ。こんな時間にスーツ姿でどっかに向かってるみたいだ』


「場所はどこ?」


『噴水公園の近くだ!』


「わかった!今すぐ向かう!」


電話を切り紗季に急いで状況説明する


「じゃあ噴水公園の方に行くんだね。急ごうか」


「ああ!」


若干距離があるけど走って行けばなんとかなるよね!

あっと、陽多達にも連絡しないと










陽多Side


「お、なんか怪しいなあいつら」


「うん。こんな時間に集団で…」


見るからに怪しい連中を発見したので尾行を続ける。

すると同じことをしてるやつらが…あれって…


「おーい、あんたら」


「ん?誰…って組谷?組谷だよなお前?」


「おう、昨日ぶりだな…えっと、辰也?」


空が言ってた通りこいつらも協力してくれてたんだな


「ああ、昨日は悪かったな」


「水に流すぜ」


「すまん」


「それであの人達はどこに向かってるのかな?」


香奈が集団を見ながら言う


「多分噴水公園だと思うんだよな」


「あー、あそこか」


噴水公園はその名の通り噴水がシンボルにもなっている公園で結構昔からある公園だ。

でもなんでそんな所に……


「!!まさか…」


「どうしたの陽多君?」


「あいつら…紅真の居場所を既に突き止めてるのかも…」


「えっ!?それじゃ紅真さんはもう…」


「いやそれはない。もう捕まえたんならあんな集団で動く理由がない」


「あ、そっか」


「だがわからないのは何故紅真の居場所がわかっているのに接触しないかってことだ」


その時携帯が鳴った。空からか


「もしもし?」


『陽多?怪しい集団を噴水公園の近くで見かけたって情報が入ったから急いで向かって!』


「いや、もう着いてるから安心しろ」


『ええっ!?辰也達もいるの!?』


「ああ合流してる」


『じゃあ俺達も急がないと!すぐにそっちに行くから!』


「はいよ」


電話を切る。すると辰也が話し掛けてきた


「そういやそっちの娘の名前を知らないんだが」


「そういえばそうだったね。私は楓実香奈だよ。よろしくね辰也君」


「おう、俺は市川辰也だ。てか知ってたか?」


「空から下の名前だけ聞いてたから名字は知らなかった。まぁよろしくな、辰也」


「だったらこっちも下の名前で呼んで良いよな?よろしくな、陽多、香奈」


さて、次は紅真企業の人達にも連絡しないとな。

俺は教えられた番号に連絡する


『もしもし?』


「社長!?え!?ってことはこの番号社長の電話に繋がる番号!?」


『ああ言ってなかったかい?驚かせてごめんね』


「い、いえ。それより社長、怪しい集団を見つけました。今尾行してる所です」


『本当かい!?場所は?』


「噴水公園の近くです」


『わかった!今すぐ向かうよ!』


「お願いします」


電話を切って一息つく。まさか社長にかかるとは思わなかった


「おい陽多!あいつら公園の近くで止まったぞ!」


「見張ってた仲間と合流したみたいだな。ってことはやっぱりあそこに紅真が…」


「どうする?」


「………」


俺の考えが正しいなら…


「あいつらを押さえるのは全員が集まってからだ」


「でも紅真さんが捕まったりしたら!」


「いや、俺の予想だとあいつらはまだ動かない」


「え?」


とりあえず俺は再びあるやつに電話をかける。

そして皆に俺の考えを聞かせる


「そっか、だからあそこで紅真さんを捕まえないで待ってるんだね」


「でも今回はちょっと欲張りすぎみたいだな。早く紅真を捕まえとけば良いものを」


香奈と辰也が言った。二人の言う通りだな


「さてと…集まったら一気に攻めるぞ?良いな?」


『了解!』


欲張りすぎは良くないってことをあいつらに教えてやるぜ

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