連載二周年記念! 皆の名場面
今回は、連載二周年記念の話になります!と、言ってもいつもと変わらず駄文ですが……。
しかも、今回は何と10000字超えしちゃいました!一気に読むと疲れるかもしれませんね……何しろ駄文ですので!
こんな小説もどきが、二年も続けられたのは読者の皆様のお陰です!本当にありがとうございます!
突然だが、ここは今や大きな企業となった、紅真企業の社長とその娘が住むお屋敷。
そんなお屋敷のとある応接室。そこが今回の舞台となる部屋である。
その部屋のソファに、一人の少女が座っていた。美しい容姿を持つ、青い髪の少女は目の前のテーブルに置いてある紅茶の入ったティーカップを、優雅に一口飲んだ後、微笑みながら言った
「皆様、ごきげんよう。司会進行の紅真 優里ですわ。今日はお忙しい中、こんな企画を見に来てくれてありがとうございます」
少女――紅真 優里は頭を下げる
「今回は、私の個性豊かな知り合い達に、今までで一番印象に残った出来事を聞いていこうと思います。
彼らはある時は巻き込まれて、またある時は自分から事件に介入してきましたからね。どれが印象に残ったのか、気になる所です。どうぞ、お楽しみに」
そこまで言い切って、優里は再び優雅に微笑んだ
「――では、一旦CMです」
「何の番組なんだよ!!」
そんな優里のノリに、応接室の扉を勢いよく開けて入ってきた賢也がツッコミを入れる
「何よ賢也君。貴方の出番はまだ後よ。引っ込んでなさい」
「俺だって引っ込んでたかったわ!でももう我慢できないんだよ!何でさっきからテレビ番組みたいなノリで企画を進めてんだよ!?」
「良いじゃないの。そういう気分なのよ」
「どんな気分だよ!ていうかCMって何だよ!スポンサーとかいねーからな!」
賢也の必死なツッコミを見て、優里は言った
「はい、賢也君がうるさいから早く企画を進めるわね」
「誰のせいでうるさくなってると思ってんだよ……」
「はいはい、良いから退出しなさい。貴方の相手は後でたっぷりしてあげるから」
優里に言われて、納得できないと思いつつも、賢也は部屋を出ていった
「さて、と。じゃあまずは一人目ね。入って良いわよ」
「は、はーい……」
少し緊張しながら入ってきたのは――種宮 紗季だった
「じゃあそこに座って頂戴」
「失礼します……」
優里の目の前のソファに座る紗季。テーブルを挟んで、優里と対面する形になる
「そんなに緊張しなくて良いわよ、紗季ちゃん」
「うう……それはそうなんだけど、何だか学校の面談を思い出しちゃって……」
「ふふ、面談は確かに緊張するものね。何か欲しい飲み物とかあるかしら?出してあげるわよ」
「じゃ、じゃあオレンジジュースを……」
紗季に言われて、優里は用意しておいたコップにオレンジジュースを注ぐ。
紗季はお礼を言ってからそれを飲む
「どう?落ち着いたかしら?」
「うん、ありがとう優里ちゃん」
「それは良かったわ。じゃあ企画に入っていきましょうかね」
そう言うと、優里は紙を取り出して、それを読み始めた
「というわけで、一人目は『地味っ娘から美少女に大変身!何気に二次創作時代から活躍してた一番古いオリキャラ!』で有名な種宮 紗季ちゃんです」
「ど、どうも~……って!何そのキャッチフレーズ!?」
「私もよく知らないのよ。いきなりこのカンペを渡されただけだから」
優里が持っていた紙をヒラヒラと振って見せる
「に、二次創作って何?オリキャラって何なの……?」
「まぁあんまり気にしない方が良いわよ。じゃあ早速質問に入るわね」
混乱する紗季に、優里が言う
「紗季ちゃんが今までで一番印象に残ってる出来事って何かしら?」
「印象に残ってる出来事かぁ……やっぱり、空君に助けてもらった時かな」
「それはいつ頃の話なのかしら」
「えっとね、空君が転校してきてすぐだね。辰也君に誘拐されてね、怖かった時に空君が助けに来てくれたんだよ」
「その頃は私はまだいなかったわね」
「あの時の空君、カッコ良かったなぁ」
紗季はとても嬉しそうに、その時の話を語ってくれた。
話を聞いていた優里も、思わず顔を綻ばせる
(きっと、この時に空君に好意を持ったのね)
優里の予想は概ね当たっていた
「そう。紗季ちゃんはやっぱり空君関連の事が印象に残ってるのね」
「ま、まぁね」
「ありがとう、良い話を聞けたわ。もう戻って大丈夫よ」
「うん、こちらこそありがとう。って、オレンジジュース、結局全部飲めなかったね」
紗季の言う通り、コップにはまだジュースが残っていた
「良いわよ。後で片付けておくから」
「ごめん、色々とありがとね」
そう言って、紗季は部屋を出ていった
「……ふふ、紗季ちゃんの想い、早く通じると良いわね」
優里は静かに言うと、次の相手を呼ぶことにした
「さて、次ね。入って頂戴」
「うん、じゃあ入るよ」
次の相手は元気良く答えて、部屋に入ってきた。
そしてそのまま、彼は優里の前のソファに座った。
それを確認した優里は、再びカンペを見る
「えっと、次は……『ツンツン頭の転校生!いつでも前向きそれが俺だ!』でお馴染みの海風 空君に来てもらいました」
「うん、確かに前向きだよ、俺」
彼――海風 空は自分のキャッチフレーズを否定しなかった
「じゃあ空君に質問するわね。貴方が印象に残った出来事は何かしら?」
「うーん……そうだなぁ……」
空は少し悩んだ後、答え始めた
「俺さ、今までに二回程、廃墟の中を走ったことがあるんだ」
「へぇ、二回も?」
「うん、一回目は紗季が捕まった時なんだけどね」
(ああ、さっきの話ね)
優里は紗季の話を思い出しながら、空の話に耳を傾ける
「二回目は蜜柑を助ける為に、辰也と一緒に走ったんだよね」
「ああ……あの時ね」
辰也が不良だった頃から彼を倒したいと思っていた人物により、彼の妹の蜜柑が誘拐されてしまった事件。
確かに、その事件の舞台は廃墟だった。辰也に協力する為に、優里達もそこに向かったのだ
(まぁ、実際に突入したのは空君達だけだったけどね)
優里は、その事件を思い出しながら紅茶を飲む
「それでね、一回目は一人で突っ走って辰也を倒したんだけど、二回目はその辰也と一緒に走ることになったんだ。何だか不思議な感じだったよ」
「確かにそうね。最初に敵だった人物と、次は同じような建物を共に進むなんて……面白い偶然ね」
優里の言葉に同意するように、空は頷いた
「また廃墟を走ることがあったら、次はどんな偶然があるのかしらね?」
「あはは、そう考えると廃墟を走るのが楽しみになっちゃうね」
実に空らしい考え方に、優里は楽しそうに笑った。
と、その時だった
「ふ~、一杯喋ったら喉渇いちゃった……あ!オレンジジュースがある!ちょっと飲むね」
「あっ!ちょっと待っ……」
優里が止めたが一足遅く、空はオレンジジュースを全部飲んでしまった。
……紗季が、さっきまで飲んでいたジュースを
「あ~!美味しかった!……ん?どうしたの優里?」
空は、固まってしまった優里を見て不思議そうに声をかける
「……いえ、何でもないわ。ありがとう空君。話も聞けたし、もう大丈夫よ」
「そう?じゃあまた後でね!」
空はそう言って、部屋を出ていった。
残った優里はため息を一つ吐き……
「……よし、忘れましょう!」
盛大に見なかったふりをすることにした。
優里は空になったコップを片付けた後
「はい、次どうぞ」
「はいっす」
そう言って入ってきたのは、小柄で童顔の……
「よく来たわね、待ってたわよ原中ちゃん」
「ちゃんって何すか!?オレは男っすよ!!」
「まぁまぁ。とりあえず座ったらどうかしら?立ったままじゃ辛いでしょうし」
「あんたのせいだからな!座れなかったの!」
優里の言葉に怒りながら、原中 玉樹はソファに座った
「さてと、次は『可愛らしさは誰にも負けない!しかし中身は残念少年!』でお馴染みの原中 玉樹君が相手ね」
「待て待て待てぇ!!そのキャッチフレーズは何だよ!?誰が残念少年だこらぁ!!」
「はい、じゃあ質問に入るわ」
「無視っすか!?」
玉樹の言葉を聞き流して、優里は質問する
「じゃあ、原中君の印象に残った出来事を聞かせて頂戴」
「印象に残った出来事ねぇ……なら、やっぱりこの間の事件の事っすかね」
「あのカツアゲ事件の事ね」
優里に言われて、玉樹は頷いた
「そうっす。あの事件は色々とありましたからね」
「その中でも、特に印象に残ってる出来事ってないかしら」
「んー……そうっすねぇ……」
玉樹は少し考えてから
「やっぱり、先輩方が助けに来てくれた時っすかね」
「助けに……もしかして、副会長達に殴られてた時かしら?」
「そうそう。あの時は本当にヤバかったですよ」
優里もあの時の事を思い出す。
ボロボロになっていた玉樹と、一緒にいた桐花を見て、内心焦りながら賢也達に指示を飛ばしたのだ
「先輩方が来てくれた時、本当に安心したんすよ。この人達なら大丈夫だって」
「そうね。陽多君達は腕っぷしが強いから……」
「紅真先輩もっすよ。来てくれて、嬉しかったです。凄く頼りになりましたしね」
「ふふ、ありがとう」
「いえ、こちらこそ、ありがとうございました!」
お互いにお礼を言って、笑いあう
「それにしてもちょっと意外だわ。原中君は会長さんとの思い出が印象に残ってると思ったのに」
「な、何でですか!!」
「会長さんの話も聞きたかったけど、今日は呼んでないのよね」
「あ、そうなんだ……」
優里は、玉樹が少しガッカリしたのを見逃さなかった
「やっぱり気になるのね?会長さんの事が」
「なぁ!?き、気にならねーよ!」
「そんなに恥ずかしがらなくても良いじゃないの。自分の気持ちに正直になってみたら?」
「だから違いますってば!も、もう!話は終わったし、オレそろそろ失礼します!」
顔を真っ赤にしながら、玉樹は部屋を慌てて出ていった
「ふふ、まぁ頑張りなさいな」
優里は、その後ろ姿を優しく見送った
(さて、これで三人ね。後何人だったかしら……というか、何で私が質問する担当なのよ)
優里はそんな事を考えながらも、自分のティーカップに紅茶を淹れる
「ふぅ……じゃあ次の人、入って良いわよ」
「はーい」
優里が声をかけると、中に少女が入ってきた
「じゃあ座って頂戴、菜由華ちゃん」
「ありがとうございます」
少女――西原 菜由華は笑顔で返事をしてソファに座った
「さて、次のお相手の紹介ね。『徹夜なんて当たり前!ゲームで始まりゲームで終わる暴走少女!』でお馴染みの西原 菜由華ちゃんです」
「ゲームこそっ!人間の知恵が生んだ最高の娯楽である!」
謎のポーズを決めながら、菜由華は言い放った
「……今更だけど、貴女って学校では大人しいのかしら?」
「え?そうですね……回りが賑やかな人ばっかりですからね。大人しい方だと思われてるかも」
「私、初対面の時に見たのが貴女が暴走してた姿だったから、大人しいってイメージは皆無なんだけど」
「あ、あはは……暴走してなければ大人しいですよ?多分」
「まぁ、ゲームが絡まなければ大人しいかもね……」
気を取り直して、優里は質問に入ることにした
「菜由華ちゃんは今までで印象に残った出来事とかないかしら?」
「ありますよ!蜜柑ちゃんにRPGの良さを伝えられた時です!」
「あの時ね……」
菜由華が暴走して、蜜柑を追いかけ回したあの騒動を思い出した優里は、一つ気になる事を思い出した
「そういえば、結局蜜柑ちゃんはあの後RPGを買ったのかしら?」
「買いましたよ。私が進めたやつを今プレイ中です。楽しく遊べてるみたいで良かったです」
「そうなの。それは良かったわ」
(これで、あの日の苦労も少しは報われた……かしら?)
とりあえず、報われたという事にしておこうと思うことにした優里であった
「まぁ色々あったけど、最後は仲直りできて良かったわね」
「はい!蜜柑ちゃんは親友ですからね!」
菜由華の満面の笑みを見て、優里も微笑む
「ところで優里さん。優里さんはゲームとかしないんですか?」
「えっ?まぁ幾つかやったことあるわよ」
それを聞くと、菜由華は目を輝かせる
「どんなのをやってるんですか?」
「そうね……まぁジャンルを問わずやってるけど」
「へぇ~!優里さんのやってるゲームって興味ある!ちょっと教えてくださいよ!」
優里は気づいた。このままだと話が終わらないと
「まぁその話はこの企画が終わったらたっぷりしましょう」
「あ……そうですね。じゃあまた後でにしましょうか!」
「ええ、そうね。菜由華ちゃん、話を聞かせてくれてありがとう」
「いえいえ、それじゃあ失礼しますね」
菜由華はお辞儀をしてから部屋を出ていった
「ふぅ……やっぱり大人しいって感じは皆無だわ、あの娘……」
これで四人の知り合いへの質問が終わった。
優里は少し休憩してから次の人を呼ぶことにした
「ふぅ……待たせたわね。次の人、入って良いわよ」
紅茶を一杯飲み終えた後、優里は次の相手を呼ぶ事にする
「……失礼します」
ドアを静かに開け、ひょっこりと姿を現した無表情な少女。
優里はその少女を笑顔で招き入れる
「どうぞ、そこに座って頂戴。森姫ちゃん」
「……うん」
少女――羽塚 森姫は優里に言われた通りに座る
「えっと……次の相手は、『シュークリーム大好き少女!無表情だけどお人好し!』でお馴染み、羽塚 森姫ちゃんですわ」
「別にお人好しじゃない……よ」
森姫は少し顔を赤くしてそっぽを向く
(ふふ、照れてるのね)
優里はそんな彼女を微笑ましく思いながら、質問に入る
「じゃあ森姫ちゃんに質問よ。貴女の印象に残った出来事を教えて頂戴」
「ん……ちょっと待って……」
森姫はそう言うと、何かを取り出した。
それは……
「あの、森姫ちゃん?」
「ん?」
「何でここでシュークリームを取り出したのか教えてくれるかしら?」
そう、何故か森姫は突然シュークリームを取りだし、食べ始めたのだ。
優里も疑問しか浮かばない行動だったので、聞いてみると
「あむっ……この方が……色々と思い出すから」
「そ、そうなの……変わってるわね」
しかし、嘘は言ってないようで、森姫はシュークリームを食べながらも何かを考えているようだった。
優里がその姿を見守る事数分、森姫はシュークリームを食べ終わった
「……ご馳走さま。美味しかった」
「それは良かったわね。それで?何か印象に残った事は思い出せたかしら?」
「うん……初めから思いついてたけど」
「ならシュークリーム食べる必要無かったじゃない!」
優里のツッコミを華麗に聞き流して、森姫は話し始めた
「……わたしの印象に残った出来事はね。皆と……初めて連絡先を交換した事だよ」
「それって、私達と初めて会った時よね?」
「うん」
カツアゲ事件の調査をしていた時、森姫と出会って仲良くなったのだ。
そこで、森姫と連絡先を交換した。その時の森姫が少し嬉しそうな表情になったのを優里は覚えている
「そう……森姫ちゃんにとっては凄く嬉しい出来事だったものね」
「うん……友達がいきなり沢山出来て、嬉しかった」
「そういえばあの後、原中君とも連絡先を交換するって言ってたわよね?あれはどうなったのかしら?」
「ちゃんと交換したよ。その後……会長とも交換した」
森姫は無表情のまま……しかし、少し嬉しそうにしながら話してくれた
「良かったわね、森姫ちゃん。沢山友達が出来て」
「うん……これからも、仲良くして……ね」
「当然じゃない」
優里が言うと、森姫の表情が少しだけ変わった
「ありがとう」
(あらあら……とても可愛い笑顔じゃないの)
最初の頃と比べて、色々な表情を見せてくれるようになった森姫に、優里は笑顔で返した
「……それはそうと、シュークリーム食べたい」
「さっき食べたでしょ!?」
笑顔は、一瞬で消え去った
「もう……後で買ってあげるから、とりあえず戻って頂戴」
「……分かった」
森姫はそう言うと、入ってきた時と同じように静かに部屋を出ていった
「何でこう……疲れる相手が多いのかしらね、とあ中の女子は……」
まぁ嫌いじゃないけど、と思いつつ優里は次の相手にいくことにした
「じゃあ次の方、入ってきてくれるかしら」
「失礼しまーす」
元気に返事して入ってくる黄色い髪の少女。
少女はそのまま、ソファに座った
「おお~!フカフカですね~!」
……この時点でお気づきかもしれないが、この少女の名は……
「うふふ、フカフカを楽しむのも良いけど、壊したら弁償よ?瑠美ちゃん」
「べ、弁償は勘弁してくださいっ!」
ソファで遊んでいた少女――暁 瑠美は慌てて姿勢を正す
「冗談よ。さて、次のお相手は『友達を思う心は誰にも負けない!しかし、数学の神様には見放されてます!』でお馴染みの暁 瑠美ちゃんです」
「まだ見放されてないわぁ!!」
ピッタリのキャッチフレーズだったが、瑠美は不満そうに声を上げる
「まぁ良いじゃない。質問にいくわよ」
「いやいや!良くないですからね!私、これから先もずっと数学の点数が悪いままみたいじゃないですか!」
「え?違うのかしら?」
「違うわ!!……多分」
瑠美ははっきりと、しかし自信無さげに言った
「とにかく質問ね。瑠美ちゃんの印象に残った出来事は?」
「そうですね~、色々ありますけど、一番って言ったら……」
瑠美は少しだけ考えてから話を始めた
「オレンジが本気で私に怒ってくれた事かな?」
「え!?蜜柑ちゃんを本気で怒らせたってことなの?何したのよ瑠美ちゃん」
「えっと、全部話すと長くなるんで簡潔に話しますね。私、ちょっと前に私を恨んでた子達に誘拐されたんですよ」
「そんな事があったの!?」
優里が驚きながら聞くと、瑠美は苦笑しながら答えた
「ええ、まぁ……全部私のせいなんですけどね」
「そう……」
正直、色々と聞いてみたかったが、優里は空気を読んで我慢することにした
「私、最初はどんな事をされても受け入れるつもりだったんですよ。自分が悪いって事は分かってますから」
「瑠美ちゃん……」
「……でも、皆が助けに来てくれた」
その時の事を思い出した瑠美は、笑顔で話す
「正直、嫌われてると思いました。私の過去を知られてるし、もう友達でいられないって……。そう言ったら、オレンジにひっ叩かれましたけどね」
「その時に……蜜柑ちゃんが本気で怒ったのね?」
「はい、いつもの敬語口調も無くなって、本気で私を怒ってくれたんです。私達の絆は永遠だって」
その絆があるなら、瑠美達はこれからもずっと親友でいられるだろうと優里は思った
「良い友達を持ったわね、瑠美ちゃん。本当に信頼できる人がいるのは素晴らしい事だわ」
「はい!……って、優里さん達のことも信頼してますよ!まだ私の過去は話せてないけど……」
「ふふ、無理に話さなくても良いのよ。私達だって、貴女の事を信頼してるんだから」
「優里さん……ありがとうございます!」
優里は瑠美の過去を無理矢理聞き出す気は全く無かった。
そんなことをしなくても、瑠美の事を信じることが出来るのだから
「ちょっと長くなっちゃったわね。ありがとう、良い話を聞かせてくれて」
「いえいえ、じゃあまた後で!」
瑠美はそう言って部屋から出ていった
「……瑠美ちゃん達は、これからも仲良しでいられるわね。絶対に」
優里はそんなことを思いながらも、次の相手を呼ぶことにする
「じゃあ次の人、入って頂戴」
「……入るぞ」
次に入ってきたのは、優里にとっては一番馴染みのある人物だった。
緑色の髪をした少年、彼の顔を見て、優里は笑顔で言った
「何だ、次は賢也君だったのね」
「俺で悪かったなこの野郎」
少年――木崎 賢也はソファに座った
「悪くはないわよ。私にとっては一番弄りやすい相手だし」
「……疲れそうな面談になりそうだ……」
頭を抱える賢也を見ながら、優里はいつも通りカンペを……持たずに言う
「はい、じゃあ次は『特に目立った個性は無し!最近再び地味キャラになってきてる!?』という有り様の木崎 賢也君です」
「個性無くて悪かったな!ていうか地味って言うな!誰だこんなキャッチフレーズを付けた奴は!!」
「私よ」
「お前かよ!?そのカンペに書いてあるんじゃないのかよ!?」
その質問に優里はカンペをヒラヒラさせながら答える
「何故か賢也君のフレーズだけ無かったのよ。だから私が考えてあげたのよ」
「何で俺のだけ無いんだよ!そのカンペ作った奴、絶対初めからこいつに俺のフレーズを作らせる気だっただろ!」
「まぁ良いじゃない」
「良くねえよ!良くねえけど……もう疲れたから良いや……」
賢也は大きくため息を吐いた
「じゃあもうお決まりになってきちゃったけど質問よ。賢也君の印象に残ってる出来事は何?」
「……言わなくても分かるんじゃないか?」
「ええ、予想は出来てるわ。それに、多分私も同じ答えだと思うわよ」
そう言うと、賢也と優里は同時に答え始めた
「俺の印象に残ってる出来事は……」
「私の印象に残ってる出来事、それは……」
「「お前(貴方)とのファーストキスだ(よ)」」
予想通り、二人は同じ答えだった
「良かった、違う出来事だったらどうしようと思ったわ」
「今でも覚えてる。あの時、俺はやっとお前に想いを伝えられたんだよな」
とある原因で、優里が家出をしてしまった事件。
少し苦い思い出だけど、とても大切な思い出。身分の違いという壁を乗り越えて、二人の想いが通じあった大切な一日になったのだ
「何だか懐かしいわね。まだあれから数ヵ月しか経ってないけど……」
「まぁあの後も色々とあったからな」
改めて、事件に巻き込まれる確率が高いと二人は思った
「賢也君への想いは、これからも変わらないわ。ずっと、貴方の事が好きだから」
「ああ……俺も変わらないさ」
「ふふっ、貴方には似合わないわね、そういう台詞は」
「放っとけっつーの」
まるで、お互いに顔が赤くなっているのを誤魔化すように軽口を叩きあう二人
「ふぅ……長くなりすぎるといけないわね。というわけで賢也君、さようなら」
「唐突だなおい!」
「あら、もう少し一緒にいたいのかしら?」
「そ、それは……ふん、悪いかよ」
そっぽを向く賢也を見て、微笑みながら優里は言う
「ふふ、後でまた一緒にいてあげるわよ。勿論、貴方が嫌と言ってもね」
「……言うわけないだろ。じゃあ俺は戻るからな、ふざけないでちゃんと質問係をしろよ?」
「大丈夫よ。ここまでふざけたのは貴方だけだから」
「俺にだけふざけたのかよ!ったく、それじゃあな」
最後までツッコミを入れ、賢也は部屋を去っていった
「ふふ、愛してるわ、賢也君」
優里は少し頬を赤く染めながら呟いた
「さて、と。残り三人ね……ちょっと休憩してから呼びましょうか」
ここまで7人の相手をしてきた優里。最後の三人の前に一息入れようと思い、再び紅茶を淹れる事にした
淹れた紅茶を飲み終え、優里は質問タイムを再開することにした
「お待たせ。次の人、入って良いわよ」
「はい、失礼します」
応接室のドアを開けて、丁寧に一礼してから部屋に入ってくる赤髪ツインテールの少女。
優里は彼女を目の前のソファに誘う
「それじゃあそこに座ってくれるかしら、蜜柑ちゃん」
「ありがとうございます」
そう言って、少女――市川 蜜柑はソファに座った
「というわけで。次の相手は『最近、準主人公に昇格!巨乳には巨乳の悩みがある!』と噂の市川 蜜柑ちゃんです」
「どうも皆さん、準主人公ですよ~。……どういう意味かは分かりませんけど」
とりあえず手を振ってみる蜜柑であった
「しかし、巨乳の悩みねぇ……確かに貴女、中学生にしては発育良いわね」
「良いことなんてありませんよ。肩凝りますし、胸が大きいだけでナンパされたりしますし」
(ナンパされるのは蜜柑ちゃんが可愛いっていうのもあると思うけどね)
相変わらず自分の魅力に全く気づいていない蜜柑に優里は内心、ため息を吐く
「まぁそれはさておき。質問に入って良いかしら?」
「あ、はい。大丈夫ですよ」
「じゃあ聞くけど、蜜柑ちゃんの印象に残った出来事は何かしら?」
優里が聞くと、蜜柑は首を傾けた
「印象に残った出来事……それって一つに絞らないと駄目なんですか?」
「そうね。一番印象に残った物を教えてほしいのよ」
「うーん……」
蜜柑は困ったように唸り声を上げた
「一番って言うと難しいです。印象に残ってる出来事が多すぎますから……」
「あら、決めるのは難しいかしら?」
「はい……。ちょっと上げるだけでも、お兄ちゃんが不良を止めた日の事、陽多さん達に助けてもらった事、瑠美ちゃんを助けに行った事もありました。最近だと桐花ちゃんの為に頑張った事も……」
「す、ストップよ!本当に一杯印象に残ってるのね……」
恐らく、あのまま喋らせてたらまだまだ話が続いていただろう。後の二人の話を聞く時間が無くなってしまう程に
「そういえば蜜柑ちゃん。辰也君が今日来れないって言ってたんだけど何か用事でもあったの?」
辰也の妹である蜜柑なら知ってると思い、優里は聞いてみた
「ああ、お兄ちゃんは今日唯花さんと出かける約束があったんですよ。前から約束してたみたいなので、そっちを優先したんですよ」
「そうだったの。呼べなかったのはちょっと残念だけど、それなら仕方ないわね」
まぁこんな謎の企画よりも、そっちを優先した方が良いだろう、と思う優里であった
「そういえば蜜柑ちゃん。新しく男の子のお友達が増えたって聞いたんだけど本当なの?」
「ああ、はい。歩夢君の事ですね」
(へぇ、既に名前呼びなのね……)
好奇心を刺激された優里は、更に聞いてみることにした
「その子とは仲良くやれてるのかしら?」
「はい、勿論です。まだ出会ってからそんなに経ってませんけど、凄く仲良くなれました」
「ふーん、そうなの。異性の友達とそんなに早く仲良くなれるのは珍しいわね」
「そうですよね。私と相性が良かったのかもしれません」
これは、恋愛の予感か?優里は少し大胆な質問をしてみた
「それで、蜜柑ちゃん?貴女はその男の子の事は好きなのかしら?」
さて、どう返してくるか?期待して待っていると……
「ええ、勿論好きですよ」
(即答!?)
これは本当に脈ありかもしれない……と、思っていたのだが
「歩夢君は大切な友達ですからね。嫌いな筈がありませんよ」
「あ、ああ……友達として、ね」
前言撤回、今のところ脈なしである
「その子との出会いは印象に残ってるのかしら?」
「はい、残ってますよ。隣の席にならなかったら、彼とは出会わなかったかもしれません」
「なかなか運命的な出会いじゃない。席替えで偶然知り合った、っていうのも良いわね」
「そうですね。うーん……やっぱり印象に残った出来事が多すぎますね……」
「そうねぇ、一番を決めるのはまだ難しそうね」
悩む蜜柑を見て、優里は決めるのは無理だと判断した
「うん、分かったわ。蜜柑ちゃんにとっては、全部の出来事が印象に残ってるって事なのね。なら、それで良いじゃない」
「でも、一番を決めないといけないんじゃ……」
「全部一番で良いじゃない」
「子供の運動会ですか!?」
「まぁ、これから先も色々あるわよ。だから、一番を決めるのはまだ先で良いと思うわ」
優里の言葉に、蜜柑は少し考えてから頷いた
「分かりました。なら、今は全部印象に残ってる、ということでお願いしますね」
「良いわよ。色々と聞かせてくれてありがとね、蜜柑ちゃん」
「いえいえ、それでは失礼しますね」
蜜柑はまた一礼してから部屋を出ていった
「準主人公、ね。あの娘はこれから先も事件に巻き込まれそうだわ。私達も、協力していかないとね」
優里はそう決心した後、部屋の時計を見る
「残り二人……後、どれくらいかかるのかしらねぇ、全く大変だわ」
口ではそう言いながらも、優里は楽しそうだった
「じゃあ次の人、入って頂戴」
「うん、失礼します」
入って来たのは、薄い金髪の少女。
いつもと変わらないその少女を、優里は微笑みながら歓迎する
「いらっしゃい、香奈ちゃん。とりあえず、そこに座って頂戴な」
「ありがとう、優里ちゃん」
少女――楓実 香奈はソファに座る
「はい、というわけで。次のお相手は『コンパスを持ち歩かない日は無い!ヤンデレ幼馴染み!』でお馴染みの楓実 香奈ちゃんです」
「どうも~、皆は私みたいにコンパスを持ち歩いちゃ駄目だよ?」
「貴女が言うと説得力が全く無いわね」
今日もどこかにコンパスを隠し持っているであろう香奈を見ながら、優里は質問に入る
「さて、香奈ちゃん。貴女の印象に残ってる場面は何かしら?」
「印象に残ってる場面かぁ……一杯あるけど一番は……」
そこで少し区切り、香奈は言った
「……陽多君への恨みを完全に断ち切った、あの出来事かな」
「陽多君が記憶を取り戻したあの日の事ね。私もよく覚えてるわ」
大好きな陽多のせいで、自分の両親が死んだと思い、無意識に彼に殺意を向けていた香奈。
そんな自分に耐えられず、自殺しようと思った香奈だったが、それを救ったのは、他ならぬ陽多だったのだ
「あの時、陽多君が来てくれたから、私はここにいるんだよね」
「そうね、貴女達が想いを通わせたのもあの時だったわよね」
「うん。あの時から、私の想いは変わってないよ」
陽多への愛情で一杯の今の香奈。優里は、彼女を救えて本当に良かったと思っている。
しかし、優里は気になっている事があった
「そういえば香奈ちゃん。最近ヤンデレモードになってないわね」
「あー……そういえばそうだね」
そう、最近香奈がコンパスを持って陽多を追いかけ回す姿を見かけていないのだ。ヤンデレは治ったのだろうか?
「最近は陽多君が他の女の子にデレデレしてないからね。ヤンデレモードになることもないんだよ」
香奈がそう言うと、優里はため息を吐いた
「ふーん……つまらないわね」
「えぇ!?」
「貴女のヤンデレキャラはどこに行ったのよ?折角の個性を潰す気かしら?」
優里の言葉に、香奈は慌てて言う
「いやいや!キャラとか言わないでよ!それに仕方ないじゃない、最近は本当に何も……」
「あ、そういえばさっき、陽多君が外で知らない女の子のスカートを覗いたって言ってたわね」
「優里ちゃん、ごめん。ちょっと用事出来たからサキニモドルネ」
香奈は目だけ笑っていない笑顔で、部屋を出ていった。
……しばらくして
『ぎゃあああ!!待て!待ってくれ香奈っ!話を聞いてくれぇ!!』
『ウフフフ、分かったよ、向こうでたっぷり聞いてあげるよ。だからオイデ?ヨウタクン……』
『う、うぎゃあああああ!!』
部屋の外から盛大な悲鳴が聞こえてきた
「さて、と。まだ時間がかかりそうだし、一休みしましょうか」
優里は、そんな喧騒の声を聞きながら優雅に紅茶を飲むのだった
一休みして、そろそろ最後の相手を呼ぼうと思った時
「優里ぃ!!お前の仕業だったかぁ!!」
ボロボロになった黒髪の少年が入ってきた
「あら?呼ばずに来てくれるなんて気が利くじゃない?陽多君」
「気が利くじゃない?じゃねええーっ!!」
ボロボロの少年――組谷 陽多は優里に詰め寄る
「お前のせいで俺は……!」
「何を言ってるのよ陽多君。私は本当の事しか言ってないわよ」
「本当の事?」
「貴方、私の家に来て最初に私に言ったじゃない?忘れたの?」
「な、何も言ってねえだろ?」
忘れている陽多に、優里は思い出させる事にした
「ほら、『今日は風が強くて、女の子のスカートが覗き放題だったぜ♪』って、今日は香奈ちゃんと一緒に来なかったから覗けたのねって私言ったじゃない」
「な、何の事やら……」
「えっと?今日は何人覗けたって言ってたかしらね?三人?」
「五人だよ!……はっ!?」
「ほら見なさい」
どうやら、陽多は初めから覚えていたようだった
「だ、だがよ!何で香奈に話したんだよ!」
「口止めされてなかったからよ」
「畜生!口止めしておくんだった!」
「ま、とにかく座りなさいな」
「うう……畜生……」
優里に口で勝てる筈もなく、陽多は諦めたように座った
「さて、いよいよ最後の一人になりました。最後は、『そのお人好しは永遠に変わらない!言わずと知れた主人公!』で有名な、組谷 陽多君が相手です」
「最後はやっぱり主人公だよな!……何の主人公かは知らんが」
さっきまでボロボロだった陽多は、いつの間にか元気になっていた
「この質問もいよいよ最後ね。じゃあいくわよ」
「おう」
「陽多君の印象に残ってる出来事を教えて頂戴」
優里が聞くと、陽多は悩み始めた
「印象に残ってる出来事……多すぎるぜ……」
「あ、ちなみに全部が印象に残ってるっていうのは無しね。二回目は無しだから」
「二回目って……誰か一回やったのか?」
「準主人公がやったわ」
「誰だよ!?」
「まぁ、良いから考えなさいな」
「うーん……」
陽多は必死に考え、答えを出す
「そうだなぁ、ギリギリまで絞るなら皆に出会った時かな」
「皆って……今まで知り合った全員?」
「ああ。ちゃんと一人一人、何時どこで出会ったか覚えてるぜ」
「結局、一つには絞れないわけね」
優里が少し呆れて言う
「仕方ねえだろ?これでも厳選したつもりなんだよ」
「んー……そうねぇ」
優里は少し考えて、提案する
「じゃあ本当に全員覚えてるかテストするわ。ちゃんと答えられたら陽多君の答えはそれで良いわ」
「ああ、良いぜ。ちゃんと覚えてるからな」
「じゃあまずは……とあ中の皆から答えてくれる?」
優里が問題を出す。とあ中のメンバーで、陽多が現在知りあっている人数は七人である
「蜜柑はナンパされてる所を助けたんだよな。んで、瑠美と菜由華は蜜柑が逃亡してる最中に知り合ったんだ」
「うん、今の所正解よ」
「次に、カツアゲ事件の調査中に森姫と原中に会って……その後に会長と知り合ったんだ」
「正解。これで全員かしら?」
「いや、最近黒川ってやつにも会ったな」
「あら、もう一人いたのね。私は会ってなかったから知らなかったわ」
「ま、これで全員だな」
余裕だぜ、と笑う陽多
「じゃあ次ね。辰也君と古村さんはどうかしら?」
「辰也は初めて会ったのは紗季が拐われた時だな。仲良くなったのは優里の家出騒動の時だったが」
「そ、その話はあまり出さないでほしいわ……」
「古村は学校に行く前に知り会ったんだよな。辰也とあまりにも仲良さそうだったからカップルと勘違いしちまったんだぜ」
これで、二人も正解である。
最後に残ったのは……
「そこまで覚えてるならもう聞く必要は無いかもしれないけど……最後よ。星雲学園の一年三組の知り合い、つまり私達との出会いはどうかしら?」
優里の問いに、陽多は変わらず余裕そうに口を開いた
「学校で初めて会ったのは賢也だったな。次に、紗季と知り合ったんだ。んで、空が学校に来て仲良くなって、その次に優里とゲームセンターで知り合ったんだよな」
「本当によく覚えてるわね。じゃあ後一人は?」
最後の一人……陽多にとって一番大切な少女。
その名は……
「楓実 香奈。あいつとの出会いはもうずっと前だ。幼稚園の頃からの付き合いだからな。出会いの話は長くなるから、また別の機会にするぜ」
「そう……何はともあれ、これで全員ね。おめでとう、ちゃんと覚えてるみたいね」
「当たり前だぜ」
得意気に笑う陽多を見て、優里も微笑む
「じゃあ陽多君の回答は、私達との出会いが印象に残ってる、ということで決定ね」
「ああ、それでオッケーだぜ」
「じゃあ、これで終わりね。ふわぁ……疲れたわ……」
全員の質問が終わり、優里は大きな欠伸をした
「お疲れさん。唐突にこんな企画が始まって大変だったな」
「本当よ。このカンペもいつの間にかあったし……誰がこんな企画考えたのかしら」
最早疲れを隠そうとしない優里は、思いっきり身体を伸ばした
「はぁ、もうこんな時間なのね」
最初の質問を始めたのがお昼頃。しかし、今の時間は既に夕方を過ぎて、夜に入ろうとしていた
「皆はまだいるの?」
「ああ、いるぜ。帰っても暇だろうしな」
どうやら、質問が終わった皆は、まだ残っているらしい。
ちょうど良い、優里はそう思った
「なら、盛大にパーティでもしましょうか」
「お!良いのか?」
「大丈夫よ。食材は一杯あるから」
実はこうなることを予想して、一杯用意しておいたというのは内緒の話である
「よっしゃ!んじゃ早く行こうぜ!」
「ええ、行きましょうか」
陽多は、勢い良くドアを開けて、部屋を飛び出して行った。
そんな陽多を見送ってから、優里は席を立った
「……さてと。こんな企画でも、誰か見てくれてたりするのかしらね」
そんな独り言を呟きながら、応接室のドアに向かって歩いていく
「まぁ良いわ。もしも見てくれてる人がいるのなら……それはとても嬉しい事ね。少しでも楽しんでくれたら幸いだわ」
誰に言うでもなく、優里はドアの前に立った
「――それでは皆様。ごきげんよう」
彼女は、最初と変わらない優雅な微笑みを見せてから……
静かに、応接室を後にした
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