休日の前の日
桐花side
どうも皆さんこんにちは。現在停学中の仲野桐花です、どうぞよろしく……ああ、堅苦しい挨拶はいらないよね、ごめんなさい。
さて、今私の前には二人の友達がいる。西原 菜由華ちゃんと、羽塚 森姫ちゃんの二人だ。
二人は停学中の私の為に、今日の授業の内容をまとめたノートを持ってきてくれた。二人が私の為にまとめてくれた大切なノートだ。これがあれば、授業に遅れる事もないだろう。
その後、私達は適当に駄弁ることにしたんだけど、二人から気になる話を聞いて、今はその話題で盛り上がっている所なの。
その話題っていうのは……
「へぇ~!蜜柑ちゃんにボーイフレンドが出来たんだ~」
「そうなんだよ!これは恋の予感だよね!」
「……恋に発展するかは……あむっ……まだ分からないよ」
何と、今日蜜柑ちゃんに男の子の友達が出来たらしい。こういう話は気になっちゃうよね。
菜由華ちゃんは恋愛話が大好きなようで、さっきからテンションが上がりっぱなしだ。
一方で、森姫ちゃんは鞄から取り出したシュークリームを食べながら私達の話を聞いている。この娘は相変わらずマイペースだね……
「私としては恋愛まで発展してほしいんだけどな~、今日も二人っきりで帰ったみたいだし、何か起こってないかな?」
「どうだろうね、まぁ恋愛はともかく、二人の関係が進展するような事が起こってると良いけどね」
「……友達とは仲良くしないと、ね」
私も会ってみたいな、黒川君ってどんな人なんだろう
「それにしても一週間って案外長いよね。やっぱり桐花ちゃん達がいないと寂しいよ」
「皆……会長の事を心配してるよ」
「え……?」
何で……?私はカツアゲの犯人を庇ったから停学になったって事は皆知らされてるはずだよね。
それなのに……何で心配なんか……
「あのね、会長」
私が考えていると、菜由華ちゃんが少し微笑みながら言ってきた
「皆知ってるんだよ。桐花ちゃんが進んでカツアゲ犯を庇ったりしないって事くらい」
「ど、どうして……」
「……だって、普段から会長は面倒事に首を突っ込んでるもの。損得関係なく……ね」
「桐花ちゃんが悪い娘じゃないって事は皆分かってる。だから皆心配してるんだよ」
「皆が……」
皆……私を……私なんかを……
「桐花ちゃん、停学が終わったらまた笑顔で戻ってきてよ。その方が、皆も安心するからさ」
「うん……会長の笑顔を、皆待ってる」
「………うん」
私は、泣きそうになりながらも何とか答えた。
私も……早く皆に会いたいな
陽多side
長い学校の授業が終わり、いつものメンバーで下校中の俺達は、明日の予定について話していた
「皆、明日はどうすんだ?」
「うーん……俺はゲームしてよっかな。最近、やってないのが溜まってきちゃって」
空はいつも通りに過ごすようだな
「ねぇ、空君。もし良かったら私も一緒に遊びたいな」
「良いよ!紗季も一緒にやろうよ」
「うん!」
紗季は空と一緒に遊ぶ、と。こいつら、いい加減進展しても良いと思うんだけどな
「賢也はどうなんだ?」
「俺か?そうだな……多分、寝てるな」
休日を寝て過ごす気かこいつは。普段から授業中によく寝てるってのに
「あら、じゃあ私も一緒に寝ても良いかしら」
「却下だ」
優里が言うと、賢也は何故か速攻でその提案を却下する
「どうしたのよ賢也君。もしかして今朝の事を気にしてるの?」
「気にしてない!もうその事には触れるな!」
何だ?今朝、何かあったのか?
「良いじゃないの。彼女が彼氏の家に遊びに行くのに何の問題があるのよ」
「お前の行動に問題がありまくりなんだよこの野郎」
「さて、何の事かしら?」
ふむ、これは賢也は明日も優里に振り回されるな、絶対に
「ところで、陽多君達の予定はどうなの?」
紗季が聞いてきた
「ああ、俺達は……」
「デートに行くの!二人でね!」
俺が答えるより先に、香奈が嬉しそうに言った
「あらあら良いわね~、最近は二人とも、忙しかったものね」
「陽多が連続で事件を拾ってきたからな」
くそ、その通りだから言い返せん
「それで、二人でどこに行くの?」
「「え?」」
『え?』
紗季が言った瞬間、俺達は固まった。
そして
「「き、決めてなかった!!」」
「アホだろお前ら」
賢也の呆れたような声が聞こえたが今はそんな場合じゃない!
「ど、どうしよう陽多君!?デートなのに行く場所が決まってないよ!?」
「お、落ち着け!何か適当に決めれば良いだろ!うん!」
「適当で良いのね……」
よし、そうと決まったら……
「帰ったら早速会議だな、香奈!」
「了解!」
「が、頑張ってね二人とも」
「適当なデートにならないようにしろよ」
明日までには行き先を決めないとな!
蜜柑side
あの後、歩夢君に送ってもらい、お礼を言ったり連絡先を交換したりして私は彼と別れました
「ただいま」
私が家に帰ってから少しして、お兄ちゃんが帰ってきました
「お帰りなさい。唯花さんをちゃんと送ってきた?」
「ああ、当たり前だろ?」
唯花さん、お兄ちゃんに送ってもらえて嬉しかったでしょうね。……早く付き合えば良いのに
「お前も歩夢に送ってもらったんだろ?ちゃんとお礼言ったか?」
「うん、言ったよ」
「そうか。にしてもお前にも男の友達が出来たな。いっそのこと付き合ったりとかしてみたらどうだ?」
「もう、何言ってるのお兄ちゃん。そんなこと言ったら歩夢君に迷惑だよ。付き合うならもっと可愛い娘が良いだろうしね」
私のような可愛くない娘よりも相応しい相手がいますよ、きっと
「そうか?なかなかお似合いだと思ったんだけどな」
「もう、お兄ちゃんったら」
「ま、それはそうと。明日は日曜日だろ?遊びに行かないのか?」
「うーん……そうだね……」
皆の予定が分かりませんからね……でも、何もないと暇になりそうですし、とりあえず菜由華ちゃんに相談してみましょうか
「じゃあ後で聞いてみるよ」
「そうか。実は俺も明日は唯花と遊びに行くことになったんだ」
「デート?」
「ちげーよ」
はぁ……お兄ちゃん達の進展はいつになることやら。
私はお兄ちゃんと話し終わった後、早速菜由華ちゃんに電話しました
『もしもし?蜜柑ちゃん?』
「はい、今ちょっと良いですか?」
『うん、良いよ。どうしたの?』
「明日、遊びに行きませんか?暇ですし」
『明日?』
さて、どうでしょうか
『うん、私は良いよ』
良かった。菜由華ちゃんは予定が無かったみたいですね
『せっかくだから他にも誰か誘ってみようよ。停学中の皆と遊べないのは残念だけどね……』
「そうですね……」
特に瑠美ちゃんはけじめを付けるって言ってましたから、停学期間中は絶対に外に出ないでしょうね
『森姫ちゃんを誘ってみようか。多分、参加してくれると思うよ』
「予定が無ければ良いですけどね」
あの娘、休日はいつも何をして過ごしてるんでしょう
「えっと、他には……」
『黒川君は?誘ってみなよ、蜜柑ちゃん』
「歩夢君ですか?」
私が言うと、菜由華ちゃんは驚いた声を出します
『えっ!?いつの間に名前呼びに!?』
「まぁ色々ありまして。仲良くなれて良かったですよ」
『そっか~……ふふ、面白くなってきたね……』
?何でしょう?今小声で何か言ったような……?
『蜜柑ちゃん、黒川君の連絡先は分かってるの?』
「はい、今日交換しましたから」
『じゃあ聞いてみなよ。明日大丈夫かどうか』
「分かりました、聞いてみますよ」
『うん、じゃあ私は森姫ちゃんに聞いてみるね』
「お願いします」
『じゃ、またね』
そう言うと、菜由華ちゃんは電話を切りました
「さて、じゃあ歩夢君に電話しますか」
私は今日交換したばかりの歩夢君の電話番号にかけてみました。
すると、彼はすぐに出てくれました
『もしもし?』
「どうも、歩夢君。今良いですか?」
『うん、大丈夫だよ』
「そうですか。実は明日、菜由華ちゃんと遊びに行くことになったんですよ」
『そっか、楽しんで来なよ』
「歩夢君、一緒に遊びませんか?』
『えっ?』
「後、森姫ちゃんも誘う予定ですから……周りが女の子だけになってしまうんですけどね」
うーん、今更ですけどやっぱり嫌ですかね?女の子三人の中に男の子一人っていうのは
『え、えっと……蜜柑ちゃん、嫌じゃないの?』
「嫌?何がですか?」
『だって、せっかくの休日だし、女の子同士で遊んだ方が良いんじゃないの?』
「私は大丈夫ですよ。遊ぶなら一緒にいて楽しい人が良いですからね」
歩夢君とは、今日出会ったばかりなのに、こんなに仲良くなれましたしね。嫌なはずがありません
『そう……でも、他の皆は大丈夫なの?嫌がらない?』
「大丈夫だと思いますよ。そもそも、歩夢君を誘おうって言い出したのは菜由華ちゃんですしね」
『そうなんだ……』
やっぱり悩んでるようですね。これは、難しいかもしれませんね
「嫌なら良いんですけど……私は、歩夢君と一緒に遊びたいです」
『……そっか』
私が本音を言うと、歩夢君は決心したように言いました
『うん、分かった!ぼくも参加するよ』
「良いんですか!?」
『うん。女の子の中で遊ぶっていうのもなかなか楽しそうだしね』
歩夢君は笑いながら言ってくれました
「そうですか……ありがとうございます、歩夢君」
『あはは、お礼を言われる程の事じゃないって。それじゃ、また明日ね』
「はい、また明日」
そして、私は電話を切ろうと……
『あっ!ちょっと待った!明日の待ち合わせ場所と時間を聞いてないよ』
「……あ、決めてませんでした」
『……じゃあ、まずはそれを決めようか』
その後、私と歩夢君で待ち合わせ場所と集まる時間を決めて、私が菜由華ちゃんに連絡することにしました。
それにしても危なかったです……我ながら無計画でしたね




