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同じ思い

大変お久しぶりです。1ヶ月ぶりの投稿です、はい。


スランプに陥ってましたが、何とか書けました……ではどうぞ!

No side


『うらっ!死ねやてめぇ!』


『寝てんじゃねえぞクソチビィ!!』


「あ……ああぁ……」


空き教室から聞こえてくる怒声。中でリンチされている玉樹を見て、仲野 桐花は声を震わせていた


(私のせいだ……私が泣いてばっかりいたから……玉樹君が……!!)


助けに行かなければ、そう思った桐花は空き教室に入ろうとする。

しかし


「っ……!」


(な、何で……?)


入ろうとする桐花を睨み付ける玉樹。それを見て、桐花は動揺する


(まさか玉樹君……私を巻き込みたくないから……?)


自分が何とかする、だからお前は入ってくるな。

玉樹はそう言っているように見えた。


玉樹の意図を理解した桐花は、すぐに扉から離れ……








「嫌だよ」





……離れる事なく、扉を開けた


「!?今度は何だ!?」


再び扉が開き、連中は玉樹を殴るのを止めて、扉の方を見た


「玉樹君から離れなさい!!」


そんな連中に、桐花は堂々と言い放った


「今度は何だよ?こいつの仲間か?」


「いや待て。あれって……生徒会長!?」


生徒会長が突然現れた事に驚く連中。

玉樹はさっきよりも目付きを鋭くして言った


「桐花!外で待ってろ!ここはオレが……!」


「嫌だよ!このまま玉樹君が傷ついていくのを見てられるわけないよ!」


「オレは大丈夫だ!このままじゃお前まで傷つくだろうが!オレはお前が傷つく所なんか見たくねえ!」


玉樹は本気で心配していた。だから、自分が犠牲になろうと思ったのだ。


だが、その思いは桐花も同じだった


「私だって!玉樹君が……私の大事な人が傷つくのを、黙って見てられないよ!!」


「と、桐花……」


桐花はキッと玉樹を殴っていた連中を睨み付けた


「これ以上、玉樹君に手は出させないよ」


「何だぁ?今更正義の味方気取りか会長?」


そんな桐花を、起き上がった副会長が馬鹿にしたような顔で見る


「あんたは今までずっとカツアゲをしてた俺を見逃してたんだぜ?もし俺のしてたことがバレれば、あんただってただじゃ済まねえぞ」


「構わないよ。悪いことをしたんだから、罰を受けるのは当たり前でしょ?」


「少しは頭使おうぜ会長よぉ。カツアゲの事も、ここで俺達がやってたことも、全部無かったことにしちまえば良いんだよ。そうすりゃ、全部上手く行くんだぜ?」


全く反省の様子を見せない副会長に、桐花は拳を今までにないほどの力で握りしめた


「ふざけないで!!私達のせいで傷ついた子は沢山いるんだよ!?それなのに、何とも思わないの!?」


「……ちっ、ホント融通の聞かない奴だな」


「面倒臭い人だね、僕もうんざりしてきたよ」


桐花の必死の叫びも、副会長とその取り巻きには全く届かない


「どっちにしろ、君達はもう終わりだよ。私は、今までの事も、そして今日見たことも全部先生に話すつもりだからね」


「あーそうかよ。分かった分かった。もう好きにしろ」


副会長の投げやりな態度に、桐花はまた怒りたくなったが、我慢する


「じゃあ一緒に来て。職員室に行くから」


「良いぜ……ストレス発散が終わった後ならなぁ!」


「えっ……?きゃあっ!!」


完全に油断していた桐花に、副会長の拳が降り下ろされた


「さあて、次は何処を殴ってやろうか。今度は顔が良いか?」


「くっ……!」


突然の衝撃に耐えられなかった桐花は、その場に膝をついた


「桐花……!てめぇ……やめろ……!!」


「安心しな。後でお前の相手はたっぷりしてやるよ。さっきの借りも返さないといけないしなぁ」


睨んでくる玉樹にへらへらしながら答える副会長


「うし決めた。次は顔だな」


「おいおい、えげつないなあお前」


「お前も人のこと言えないだろ?んじゃ、覚悟してもらうぜ」


そう言って、副会長は桐花に近づく……


「やめろって……言ってんだろうが……!!」


そんな副会長の足を、玉樹はボロボロの体で必死に掴んだ。

しかし


「ちっ、邪魔だっつーの!」


「ぐあっ!!」


副会長の容赦ない蹴りを受け、手を離した……


「まだ……だ!」


だが玉樹は諦めずに、再び足を掴む


「うぜぇな……てめぇから先にやってやろうか?」


そんな玉樹を副会長は何度も踏みつけた。

だが、玉樹は必死に食らい付く


「桐花に……それ以上手ぇ出すなああああ!!」


「こいつ……どこまで鬱陶しいんだよ」


傷だらけになっても副会長の足から手を離さない玉樹。もう桐花は見ていられなかった


「やめて……やめてよ!もうやめて!!」


「ああーうるせえ!!おいお前ら、さっさとこいつら片付けちまえ!!」


イライラが爆発した副会長は、周りの連中に指示を出した。

その時だった


「おい!何してやがんだ!」


突然教室に鋭い声が飛んできた。

三度目となる部外者の乱入に、心底鬱陶しそうな視線を向ける副会長。

だが、声の先にいたのは一人では無かった


「タマ!花ちゃん!大丈夫!?」


「何これ……どうしてこんなことに!?」


それは玉樹達にも予想外の人物達、しかし、その人物達を見た瞬間、二人は涙が出そうになるほど安心した。


そこにいたのは、さっき自分達を見送ってくれた仲間達だったのだから


「賢也君!空君!二人をこっちに運んで頂戴!」


優里に言われた二人は、素早く教室に入って二人を連れ出そうとする


「っ!何だてめぇらぁ!!」


それを黙って見過ごすはずもない連中の一人が、連れ出そうとしている空に襲いかかる


「うらぁっ!!」


「がっ!?」


その男を、容赦の無い一撃で吹き飛ばす陽多。

連中が吹き飛んだ男を呆然と見ている隙に、賢也と空は二人を連れ出すことに成功した


「大丈夫ですか二人とも!」


「私は大丈夫……でも玉樹君が……」


「酷い傷……!タマ!しっかり!」


蜜柑達に介抱される二人を確認した陽多は、動揺している副会長達を睨み付ける


「てめぇら、こいつらに何しやがった?」


「な、何なんだよお前ら……何者だよ!?」


「んなことどうでも良いだろうが。こいつらに何したって聞いてんだよ」


「み、見りゃ分かんだろ?生意気な事を言いやがるから制裁してやっただけだ」


陽多を警戒しながらも、副会長は強気で言い返す。弱気になったら負けると思って。


しかし、それは逆効果だった


「制裁だぁ?どうせカツアゲしてたのがバレたから八つ当たりしたってだけなんじゃねえのかよ?」


「はっ!生意気なそいつらが悪いんだよ!」


「悪いのはてめぇらだろうが!!」


今まで冷静を保っていた陽多が、感情を露にする


「ただの八つ当たりでこいつらを巻き込んでんじゃねえよ!!」


「知るか!余計な事をしやがるからだ!」


「ざけんな!会長の思いも知らねえで……てめぇ、どこまで腐ってやがる!!」


陽多の怒りを見ても、副会長はさらに煽っていく


「思い?その馬鹿会長の思いなんて知ったことかよ!!どうせ下らねえことしか考えてねえんだろうが!」


「下らなくない!!」


その声は、陽多の物では無かった。

声を上げたのは、最も意外な人物だった


「森姫ちゃん……」


桐花が驚いた声を出す。森姫がここまで感情的に叫ぶのは初めてだったからだ


「貴方に何が分かるの……!会長がどんなに辛かったのか……知らないくせに!軽々しく下らないとか言わないで!」


普段の無表情と違い、怒りに顔を歪める森姫


「うるせえんだよ!!ごちゃごちゃぬかすな!おい!こいつらやっちまうぞ!どんなに強くても、これだけの数で潰しちまえば問題ないはずだ!」


副会長は大声で言う。それを聞いた連中は、我に返って陽多達に視線を向ける


「上等だ、いくらでもかかってきやがれ」


「陽多、俺も手伝うよ!」


「ま、放っておけないしな」


陽多の横に、空と賢也も立つ。

さらに


「私も手伝いますよ、陽多さん」


そう言いながら、瑠美も前に出た


「瑠美!大丈夫なのか?」


「大丈夫、腕には自信ありますから。……本当はあんまり人を殴りたくないんですけどね、ちょっと嫌な事を思い出しそうになるんで」


「……それでもやるのか?」


陽多が聞くと、瑠美は拳を鳴らしながら答えた


「だって……こいつら許せませんから!」


そう言って、彼女は連中を思いきり睨み付けた。


それをきっかけに、連中は一斉に四人に襲いかかるのだった

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