家出中
「にしても本当に久しぶりだな。最近全然会ってなかったしな」
「そうね。お互い学校も違うし…」
俺達の驚きをよそに二人は話しはじめていた。
すると香奈が近寄ってきた
「そういえば前に賢也君が好きな人の話したことあったよね?あれって紅真さんのことかな?」
「おおそういえば言ってたな。お嬢様と知り合いだって」
だから昨日お嬢様って言葉に聞き覚えがあったのか
「ねえねえ、その話私達にも聞かせてよ~」
「賢也の好きな人って興味あるよ」
紗季と空が興味津々な感じで聞いてきた。
そして二人にちょうど説明し終えたところで賢也と紅真がこっちに来た
「まぁ出会ったいきさつは聞いたがさっきはなにやってたんだ?」
「ああ、クレーンゲームやってたんだよ。紅真が猫のぬいぐるみを欲しがってたから」
「そういえば木崎君、クレーンゲーム得意よね。昔から」
「まあな。じゃあちょっとやってみるか」
そして賢也が挑戦する
「まず最初にこの位置にして……んで次にここに……よし、取れた!」
『早っ!!』
あまりのうまさに紅真以外は皆驚いていた
「流石ね、相変わらず凄く上手いわ」
「最近やってなかったから不安だったんだが取れて良かったぜ。ほらこれ」
「ありがとう」
こうしてやっと猫のぬいぐるみが紅真の手に渡った
その後六人で遊びまくり、時間がもう遅くなっていた
「そろそろ帰ろうか。暗くなってきたし」
「そうだね。紅真さんは家どこなの?」
「ちょっと離れた所にあるけど家出してるから帰る気はないわ」
「ふ~んそうなんだ…ってえぇ!?」
あまりにも自然に言うから紗季が一瞬気づいてなかったぞ
「なんだ?家で嫌なことでもあったのか?」
「まあね。だからしばらくは帰りたくないわ」
「そうか…」
賢也は話を聞きなら何かを考えていた
「陽多」
「ん?なんだ?」
小声で話しかけてきたので小声で返す
「紅真の家に行ってくれないか?何で家出なんてしたのか……紅真社長に事情を聞いてきてほしいんだ」
「うん?俺達だけで行くのか?」
「ああ。紅真は多分まだ帰りたがらないだろうし、あいつを一人にするのはまずいからな」
「……わかった」
ここで話を終わらせ、皆の所に行く
「紅真、家出してきたってことは今日寝る場所とかきまってないんだろ?俺の家で良ければ泊めてやるぞ」
「あら、良いのかしら?」
「遠慮なんてすんなよ、水臭い」
「そうね、じゃあお言葉に甘えるわ」
どうやらあっちの話決まったようだ
「んじゃ帰るぞ」
そして全員ゲーセンから出る。
このまま帰り道を歩けば途中で賢也と紅真は別の道を行く。
そこから俺達だけで紅真の家に向かうってのが賢也が言ってた考えだ
「ねえねえ紅真さん。紅真さんって好きな人いるの?」
(なに聞いてんだ香奈のやつ…)
もしここで好きな人はいないって言ったら賢也ががっくりするだろうに
「ふふ、いると思う?」
「いるんじゃないかと思ってる!」
「そう…確かにいるわよ。好きな人。でも名前は言えないわ」
「そっか」
お、これはまだ賢也に希望があるかもしれない。
名出ししなかったってことはこの場にいる誰かに聞かれたくないってことだからな。それが好きな相手ってのもありえる
「おっと、ここの角を曲がるから皆とはここまでだな」
「あ、そうなの。じゃあまたね、皆」
「ああ、じゃあな」
「またね~」
そして二人が歩いていくのを見送った後、俺は本題を切り出す
「皆、これから紅真の家に向かおうと思うんだが」
「紅真さんの家に?」
「やっぱり親に報告するのか?」
「ああ、他にも家出の原因がわかるかもしれないしな」
紅真があそこまで帰りたがらない原因がわからないと家出をやめさせるのは難しいしな
「なんだか最近いろんな事件に遭遇するね」
「本当にな」
「でも放っとけないんだろ?陽多」
「ああ当然!そういう空もだろ?」
「ああ!」
「香奈と紗季はどうする?一緒に行くか?」
すると二人は微笑みながら答えた
「もちろん一緒に行くよ!紅真さんのためにもね!」
「今日知り合ったばかりだけどもう友達だもん。友達のために行くのは当たり前じゃない?」
「なんか空君に似てきたね紗季ちゃん」
結局全員行くわけか。ま、そうだと思ってたがな
「んじゃ行きますか?」
『うん(ああ)!』




