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君の隣  作者: 望実
7/8

春の恋

家までの道が、やたら長く感じた。


「まだつかないの…?」


早く亮介のMDに会いたいのに、心だけが先走り、体が気持ちに追い付かない。


自転車がもどかしい。


玄関の鍵にイライラする。

やっとの思いで、部屋までたどり着くと、着替えもせず、鞄は放り投げ、机の上に置きっぱなしにしてあったMDを取り出し、コンポに突っ込んだ。

亮介と私のお気に入りのアーティストが入っていた。


二人でよく聴いた曲で、

「お気に入りベスト10」

なんて事をやった事を覚えていたのか…そのときの順番に流れていた。


「亮介、何を伝えたいの?」


その時の楽しい思い出か…それとも、別の何か?

そんな風に考えながら、一つ一つを聴いていった。

ベスト10なら、そろそろ一位になる曲が流れる前に、音源が変わった。


録音された音源のようだ。


その曲は、ピアノだけで続いていった。


キレイなメロディに歌詞はなかった。


とても繊細で切なくあり、そして甘く包みこんでくれる曲だった。


「…あぁ、亮介がいた。」


私は、彼の表現の世界に入り込み、彼を見つけ、泣いていた。


好きな人の世界を発見しできた事が嬉しく、何よりも幸せで胸が苦しかった。

それから改めて、亮介に旅立つ時がきているような気がした。


「わかったよ…亮介。」


曲が終わると、胸の中で、温かい何かが込み上げた。


心臓は高鳴り、顔が笑顔になる。


私は、心の底から、亮介と話し会う決意をしたのだった。

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