表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の隣  作者: 望実
5/8

春の恋

帰りの車の中に、重い空気がながれ、フルボリュームのはずの音楽もぼんやりと聞こえていた。


上手く息ができない。


泣きたくないと、我慢しても、涙がとまらず、唇は噛み過ぎていたかった。


亮介に気を使う余裕がなく、土壇場での自分の器の小ささを思いしり、さらに嫌になった。


なんだか、夢の中にいるみたい。


人事のような気がする。


亮介が何か話しているようだけど、聞こえない。


聞きたく無い。


隣にいる亮介の体温を、今は感じる事ができる。だけど、亮介と離れるという事は、隣にいる亮介を感じられなくなり、当たり前だった物が無くなるっていう事だ。


私の幸せ…亮介の幸せ…。


同じ目線で見ていたような私達だけど、描く世界が違い過ぎて、亮介がわからない。


わからないのが淋しい…。悲しい…。自分が悔しい。



夜の暗闇が、私の気分をより暗くさせ、心に明かりを感じられずにいた。


車が自転車を置いてある駅につくと、亮介に名前の無いMDを渡された。


「…春喜…出来れば君に一番に聞いて欲しい。」


私は、頷きさえも出来なかった。しかし、亮介は続けて言った。


「今日は、ありがとう。それから、傷つけてゴメン。」


じっと黙り込む私。


「じゃあ…気をつけて。…」


私が家の方向に向かったのを確認すると、亮介が車を発車させた。



家につき、部屋に入る。

暗いく、寒い部屋。亮介との二人で写っている写真をみて、戻りたいと願った。


幸せそうに笑っている自分の顔を眺めた。


学校にいる間は、ずっと続くと思っていた二人の時間。


亮介の時間と私の時間が重なって、同じ時を過ごせる幸せ。


それだけが幸せじゃないって知っていたけど…。


理解をする事ができなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ