春の恋
講義が終わり、私は大学近くのコンビニにまで急いで向かった。
大学の後の亮介との待ち合わせに使っている場所で、私達が初めてであった場所だった。私が少し遅れる事が多いので、いつも亮介はファッション雑誌か音楽雑誌を立ち読みをしていた。
この日も、そうだった。
外から、亮介の顔外出みえ、何気なくその顔を覗いてみると、その表情は少しだけ違って見えた。雑誌を見ているようで、目が、ぼんやりとし、全く見ていない…。
「何かあったのかな…?」
私は気にしながらも、普段通りに呼びかけた。
「ゴメン!お待たせ〜。」
すると、ゆっくりと持っていた雑誌を閉じて、私の方を向いた。
「遅いよ。」
亮介は、そういいながらも許してくれるので、私は、彼のそんな部分に大分甘えていた。
私達は、コンビニから出て、亮介の車に乗り込んだ。いつもなら、とりあえずフラフラするのだけど…
「川原行きたい。」
という亮介の提案で、川原に向かった。車の中には沢山のCDやMDが積んであり、それは亮介にとって宝物のような物だった。私はそれらに触る事を許されている事に、特別感を感じる事ができた。
アルバムを見る様に、一枚一枚CDやMDを見ていくと、真新しいMDに気付き、川原へと車を走らせる亮介に、新しく増えたMDを尋ねた。
「これは…?題名ないけど…。」
亮介はどのCDもMDも丁寧に解りやすくしてあったので、珍しいと思った。
「別に…。何でもないけど…。気にしないで。」
と苦笑いをして、答えを詰まらせていた。
明らかに何かを隠していが、うまく聞けずにいた。
「わかった…。」
と作り笑いをし、会話を止めた。
こんな時は、いい子な自分がとても嫌だった。けれども、小さい疑問位で争う事になる事が恐かった。
結果…見ないふり。話題を探し、亮介の好きなアーティストに話しを振った。
新曲は何時だ?とか、前のライブの話しとか当たり障りの無い話しで会話が続き、私達の車は川原沿いにある公園の近くの駐車場入っていった。