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君の隣  作者: 望実
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春の恋

夢の中で、君に触れた。

柔らかめの髪、子犬のような小さな瞳、厚い唇、大きな手が、全て愛しい。


「ダイスキ。」


夢の中でも、抱きしめられると最高に幸せな気分になる。


いつまでも、こうしていたいの…


それなのに…


「朝だよ〜起きてるかな?」

というふざけた携帯の目覚ましの音が聞こえてきて、私、水野春喜は意識を戻した。


「せっかくいい思いしているのにさ!」


「あと5分〜」そうつぶやき、布団の中で繰り返し、余韻に浸ろうとしたが、現実は、それを待ってくれず


「げっ〜!もうこんな時間!」


と、一気に意識を引き戻した。


「現実は厳しいっ!」

なんて思いながら、急いで支度を始め、タンスの引き出しを開け、洋服を眺めながら色々と考えるが、時間に追われている為、これでいいかな〜?っと、服を選ぶ。

女の子としてこれでいいのか…疑問を残しながらも、髪を整えた。

慣れた手つきでオイルを両手にとり、髪に馴染ませてていき、途中、鏡の中の自分と目が合ったが、コンプレックスだらけの顔に目を反らし、スタイリングに集中をした。


家の中は静かだ。


いつもの様に両親は先に出たらしい。


居間に入ると朝食が出されていたので、私はインスタントのカフェオレにお湯を注ぎ込み、食パンを口にほうばり朝食を済ませた。


時計が8時をまわり、家をでてみると、季節はすっかり冬を向かえていたためか……寒い。どうして冬はこうも寒いのだろう?なんて思いなから、冬の空気の冷さに、コートの襟に首を埋め、肩を上げ、ふと空を見上げた。

空は快晴で一面青く、青い色には、白い月がうっすらと浮かび上がり、私は、そんな空を見ながら彼に逢えるかな?なんて乙女のように願いを掛けて大学へと向かった。


今日は水曜。大学に向かう途中で、バイト先へと向かう大好きな彼、亮介の車を発見するのが、とても楽しみだった。

自転車を漕ぎながら、一台一台走る車を覗き、亮介の車を探す。


「片思いみたい。」


そう思っても、その行動を止める事はできなかった。


道の途中、コンビニ前の横断歩道で、信号が青に代わるのを待っていると、出勤の車達に混ざりながら、亮介の車を発見し、


「りょ〜すけ〜。」


心の中で名前を呼ぶ。


音楽好きの亮介の車からは、ノリの良い音が車から溢れ出し、亮介らしいと思いながら、少しの幸せを感じていた。


すれ違うとき、亮介と二人でeyeサインを送りあうと、信号が青にかわったのに気付づき、自転車を逆方向へと向け、駅へと向って漕ぎ出した。



大学に着いた私は、急な坂道を登って行かなくては行けないため、朝から辛いなぁと感じながら、歩いていると


「おはよう。」


という友達の夏樹にきずき、挨拶を返す。


夏樹は、亮介を知るきっかけを与えてくれた友人で、自分をしっかり持つ、とても素敵な女の子だ。私は夏樹と友達になれた事を誇りに思う。


坂道を歩きながら、

「あぁ〜今日は、亮介ですか?」

と、夏樹がからかいだし、会話が弾む。


「うん。亮介だよ。」

「いつも思うけど、何処がいいの?」

「全部。大好き。」

「ハイハイ。朝から聞いた私が馬鹿でした。バカップルちゃん。」ちょっとパターン化したやり取りがたまらなく楽しい。そんな風に過ごす毎日が私を安心させてくれた。

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