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姫のピアノの音が僕のリズムになった日

作者: 健野屋文乃
掲載日:2026/10/10

停電の後に、二つの角が、姫のピアノの音を受信し始めた。

姫のピアノの音が僕のリズムになった日、僕は踊り始めたんだ。

僕は操り人形みたいな気分だよ。


それは暗闇が僕の味方になった日。

それは斬れ味が鋭い刀が僕の味方になった日。


新月の夜、悪人が僕の刀の犠牲になっていく。

悪く思わないでね。

悪いのはお前たちなんだから。

さあどうしたの?

悪いことしてる時の勢いは失くしたの?

泣き喚いている人を痛めつけたのはお前だろ?

だからお前が泣き喚いても、許される道理はないでしょ?


あれ?

ピアノの演奏が終わってしまったようだ。

今日はおしまい?

姫は眠ったのかな?



୨୧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧



小学生になったお祝いに、パパに古いピアノを買ってもらったの。

弾いていると凄く楽しいの。

心の奥から、きっと魂みたいなのが、解き放たれたような気分よ。

あたしの魂はね、絶対に悪を許さないの。


パパとママが真夜中なのに出かけたわ。

それじゃあ、あたしの一人ピアノ演奏会の時間だね。


今夜もピアノの先生の貰った楽譜を弾こう。

『最後の審判』

どういう意味だろう?

先生は何も教えてはくれなかったけど。



୨୧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧



特に新月の夜は騒がしい。

停電の後の暗闇の中、二つの角を持つ者たちが、踊り始める。

姫の命令は絶対。

なぜなら僕らは、姫の操り人形だから。


今夜も悪人の懺悔は認められないよ。

もう手遅れなんだ。

今まで血が浄化の証だなんて思った事はなかった。


泣けるね。こんな僕は。



୨୧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧


パパとママが真夜中なのに出かけたから、一人演奏会始めるね。

今日もピアノの先生がくれた楽譜を弾くの。

『忘却』

なんて読むのか解らないけど、弾いてみよう。



୨୧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・୨୧


頭をさすると二つの角が消えた。

「ん?」

なんで僕はそんな事を思ったんだろう?

頭に二つの角なんか、あるはずないのに。




おしまい


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