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すてーたす?

え、ステータスオールEま?

この世界が、どれだけ危険なのか。

やっと少しだけ、理解し始めていた。

化け物。

黒い宝石。

それを狩る人間。

普通の世界とはまるで違う。

私は無意識にポケットの中の指輪を触った。

祖父の家で拾った、あの渦の形の銀色の指輪だ。

「……第532世界って、なんなんだよ」

小さく呟く。

すると指輪が、ほんの少し温かくなった気がした。

「?」

私は立ち止まり、指輪を取り出した。

銀色の金属が夕方の光を反射する。

なんとなく――強く念じてみた。

(……何なんだ、お前)

その瞬間、視界の前に半透明の文字が浮かび上がった。

「!?」

思わず声が出る。

空中に、まるでゲームの画面のような表示が現れていた。



【プロフィール】

名前:未登録

状態:正常

年齢:22

体力:E

筋力:E

敏捷:E

耐久:E

身体能力:低

特技:なし

世界番号:532(適応中)



「……は?」

私は目をこすった。

しかし消えない。

どう見ても、ゲームのステータス画面だ。

体力E、筋力E――全部E。

「弱すぎるだろ……」

そのとき、ホームレスの男が横からのぞき込んできた。

「どうした?」

私は慌てて手を振る。

「い、いや、なんでもないです」

どうやら、この表示は自分にしか見えていないらしい。

もう一度指輪を見て、別のことを念じた。

(……元の世界に帰りたい)

次の瞬間、表示が変わった。


【帰還機能】

充電中

現在:5%

帰還可能まで

残り 約7日



私は固まった。

「……帰れるのか?」

ホームレスの男が怪訝そうにこちらを見る。

「何ぶつぶつ言ってんだ」

慌てて首を振る。

「い、いや、独り言です」

頭の中では、考えがぐるぐる回っていた。

一週間。

一週間耐えれば、帰れる――普通の世界に。

通りを見渡す。

遠くでは、さっきの男たちが酒を飲んで笑っている。

少し離れた場所では、別の化け物を追いかける人間もいる。

ここでは、それが日常らしい。

ホームレスの男が声をかけた。

「兄ちゃん」

「はい?」

「顔色悪いぞ」

少し笑いながら、男は通りの奥を指す。

「寝る場所探しとけ。夜になると、もっと危ねぇからな」

私は小さくうなずいた。

「……はい」

一週間。

ただ生き残ればいい。

それだけだ。

そのとき、遠くの通りで――

誰かが叫んだ。

「やばい!!」「逃げろ!!」

次の瞬間、さっきより大きな化け物が路地から飛び出してきた。

ハンターたちは一斉に武器を構える。

私はただ遠くから、息を呑みながらその光景を見ているしかなかった。


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