あ、アヒル?
アレックと別れた後、私は大都市アレンの喧騒の中を歩き始めた。街の雑踏は村の比ではない。石畳の道路には馬車や荷車が行き交い、商人たちが呼び込みの声をあげている。
「おい、サルン産のリンゴがあるぞ! 安くするぜ!」
「オークの串焼きだよ! 一度味わえば手放せないよ!」
「防具なら俺の店にきてくれ! うちの防具たちは丈夫で長持ちだぜ!」
露店の間を通り抜けると、様々な人種や種族が行き交っていた。狐耳を立てた少女や、狼の尾を揺らす青年――街の多様性に、思わず息をのむ。辺境の村とは違い、ここでは肌の色や姿形を問わず、人々が当たり前のように共存しているのだ。
しかし、群衆に紛れるだけで、心の奥でわずかな違和感がざわつく。通りの隅に目をやると、手元の指輪が軽く振動するかのように熱を帯び、かすかな光を放った。
私は指輪に触れ、スクリーンを映し出す。
【プロフィール】
名前:ユウ
状態:正常
年齢:21
体力:E
筋力:E
敏捷:E
耐久:E
身体能力:低
特技:ブースト
機能:危険感知・黒石感知
世界番号:532(適応済 27%)
世界番号:175(適応中 16%)
「……ブースト?」
私はつぶやき、やはり適応率が10%ごとに何かしらの能力が増えるのだと納得した。先ほどの戦闘での刺激が残っているせいか、何か新しい力を試してみたい衝動に駆られる。
「……ぶーすと」
呟いた瞬間、全身にじわりと力がみなぎる感覚が走った。筋肉が熱を帯び、血液が勢いよく巡る。短時間で体の性能が一気に高まる――まるで覚醒したかのようだ。
スクリーンを確認すると、数秒で能力値が変化していた。
【プロフィール】
名前:ユウ
状態:正常
年齢:21
体力:F
筋力:F
敏捷:F
耐久:F
身体能力:低
特技:なし
機能:危険感知・黒石感知
世界番号:532(適応済 27%)
世界番号:175(適応中 16%)
(体が……軽い! 力が漲る……!)
数分後、力の高揚が収まり、能力値は元に戻った。だが短時間で自分の潜在力を感じられるのは新鮮だった。
雑踏の中、指輪の光を再び確認しながら、私は次に向かう場所を考える。やはり、ハンターとしての活動のためにはギルドに行かねばならない。
大通りを曲がると、石造りで威厳あるギルドの建物が視界に入った。入口には多くの冒険者たちが列を作り、受付は四つとも忙しそうに書類を確認したり装備の相談を受けたりしている。
私はどの窓口に行こうか迷っていると、一つだけ空いている受付に、小さな茶色いアヒルが座っているのを見つけた。大きさは元の世界で見たものとほぼ同じだ。
「……え?」
何度も目をこすり確認するが、アヒルは変わらず座り、手元の書類を前にじっとしている。
その瞬間、アヒルの姿がすっと消え、足元から声が聞こえた。
「あなた、きょろきょろ見回しているけど、ギルドは初めてかしら?」
振り向くと、さっきのアヒルが人間のように立っていた。小さな体には受付嬢と同じ制服のミニスカートがぴったりと着られており、堂々としている。私は目を見開いた。
「……え、アヒルが……しゃべってる?」
「ほらほら、じっとしていないで、まずはここで手続きを済ませなさい」
アイルはくちばしでそっと私の右手をつかみ、そのまま受付カウンターまで引っ張る。
引っ張られながら、私は心の中でつぶやいた。
(どんな状況だこれ……?)
街の喧騒も、呼び込みの声も、今は遠くに感じられ、目の前の奇妙な光景に目が回りそうだった。
今日朝起きたら約200PVだった!! 今日はまだ100PV届かないけど 頑張っていこう!!




