大都市アレン到着
馬車が最後の小道を抜けると、目の前に大都市アレンの城門が広がった。高くそびえる石造りの門には衛兵が立ち、門を通る人々に鋭い目を光らせていた。馬車の列はゆっくりと門の前で停まり、順番待ちをしている。
「次!」
門番の声が響く。前の馬車が進む中、私は心の中で少し緊張していた。アレンは初めて訪れる大都市。辺境の村とは違い、人々の目つきや騒がしさも、どこか洗練されているように見える。
荷台から身を乗り出し、手元の書類や身分証を確認する。順番が回ってきた。
「……さて、どうしよう」
私は深呼吸し、前の世界で登録していたハンターギルドの鉄の板を取り出した。小さな鉄板には、「クロノ町 ハンターギルド」と書かれている。少々古びたものだが、とりあえずこれを見せれば、何かしら通じるかもしれない。
衛兵に手渡すと、彼は眉をひそめながら鉄板を見つめた。
「クロノ町……? 聞いたことないな。君、遠くの国から来たのかい?」
「ええ。旅をしていまして……」
私は少し緊張しながらも、平静を装って答えた。
衛兵は鉄板をひとつひとつ確認しながら、首をかしげる。
「ふむ……そうか。まあ、問題なさそうだな。道中、気をつけてな」
「はい、ありがとうございます」
こうして無事に城門を通り抜けると、目の前には大都市らしい喧騒が広がった。石畳の道路を馬車が走り、両脇には商人の露店や街灯が並ぶ。人々は忙しそうに行き交い、馬や荷車の音が混ざって、独特の雑踏の音を作っている。
馬車の揺れに合わせ、私は窓の外を見渡した。高い建物の屋根の向こうに、城や塔のシルエットが見える。辺境の村では見られなかった規模と迫力に、思わず息をのむ。
荷台から降りると、アレックがにこやかに声をかけてきた。
「着いたな、アレンだ!」
「はい……すごい街ですね」
アレックは馬車の手綱を握り、街の様子を見渡す。
「ここで何か売りたいときは、迷わずライト商会に来いよ! 品物の管理も任せとけ、よろしく頼むぜ!」
「はい、わかりました」
私は荷物を抱えながら、周囲の活気を感じる。店先には珍しい布や香辛料、光沢のある金属製の道具などが並び、人々が品定めをしている。香辛料の香り、焼きたてのパンの匂い、そして馬車や革靴の擦れる音……五感すべてが刺激される。
「……やっぱり、来てよかった」
人々の流れに混ざりながら、私はアレンの町の奥へと進んでいった。
アレックは後ろから声をかける。
「道中、危ない奴もいるかもしれんから。気をつけろよ!」
「はい!」
こうして、私は大都市アレンでの新しい冒険を始める一歩を踏み出した。




