大都市アレンへ
朝、私は宿でリナとルカに別れを告げ、村を後にした。
「本当にありがとう。気をつけてね」
リナは微笑みながら手を振る。ルカも小さく手を振ったが、その目には少し寂しそうな光があった。
広場に向かうと、アレックが荷車の横で待っていた。
「おう、準備はいいか?」
「はい、アレックさん。荷台に乗せてもらってもいいですか?」
「もちろんだ。じゃあ気をつけろよ」
私は空いている荷台に腰を下ろし、荷物の隙間に体を沈める。揺れる木箱や袋の間でバランスを取りながら、思わず深呼吸をした。
「……ありがとうございます」
荷台から外を見ると、朝の光に照らされた村の景色が穏やかに広がっていた。畑の緑、曲がりくねった小道、屋根の赤茶色……日常の風景が、今日だけは少し特別に見える。
「ここからアレンまでは、どれくらいかかるんですか?」
アレックは肩をすくめる。
「普通に行けば八時間くらいだ。途中、休憩も挟むからもっとかかるがな」
「八時間……結構遠いですね」
「まあ、馬車は道さえ悪くなければ、ゆっくり行くぶんには安全だ」
私は荷台の端に手をかけ、揺れる景色を眺めながら考えた。
(……この道も遠く感じるけど、アレンに行けるんだな…)
馬車が動き出すと、木々の間を抜ける風が顔を撫で、川沿いの道を進む。鳥のさえずり、馬車のきしむ音、遠くで牛が鳴く声……音が次々と耳に入ってくる。
「おい、荷物はしっかり押さえろよ」
荷台の近くで護衛の一人が叫ぶ。私はうなずき、背中に手を回して荷物を固定する。馬車が揺れるたびに、体が小さく跳ねた。
会話を交えた雑談
しばらくすると、隣の荷台に乗っていた若い護衛が口を開いた。
「旅人か? ここまで一人で来たのか?」
「ええ。村に少し滞在してました」
「そっか。俺たちは商人を護衛するだけだからな。まあ、今日の道は特に危険もないと思うが」
私は軽く笑った。
「それにしても、アレンって大きな都市なんですよね?」
「そうだな。さっきの村とは比べ物にならないぐらい大きいぜ?」
「それは楽しみですね……」
私は荷台から見える景色に視線を戻す。遠くに見える森の端、ゆらめく川の流れ……旅の始まりに胸が高鳴った。
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数時間後、もうすぐお昼ごろだろうか。
指輪が軽く締め付けられるような違和感を感じ、思わず前方を見た。
すると、道の先で騒がしい声が響いてきた。
「おい!気を付けろ!ゴブリンだ!少なくとも20匹ぐらいいるぞ!」
「冒険者たち、早く片付けてくれえ!」
荷台に座ったまま、心臓が早鐘のように打つ。
(……ゴブリン、こんなところに……)
アレックや護衛たちは慌てて武器を構え、馬車の周囲に集まる。林の影から小さな緑色の体が次々と現れ、素早く、獰猛にこちらに迫ってきた。
「まじかよ……」
私は荷台の中で、鉄棒とナイフを手に取り、背筋を伸ばした。揺れる荷台の上で、身を低く構えながら、どうすればいいのか考えた。
ゴブ郎「おいらはゴブ郎、いずれゴブリンキングになる偉大なッグギャ」
冒険者「しねぇ!」




