スライム!
ゴブリンを倒し、薄い紫色の石を手に入れた私は、周囲を慎重に見渡した。ここは……やはり、まるでダンジョンの中だ。湿った岩肌、低い天井、ひんやりとした空気。足元の土は滑りやすく、歩くたびに小石が転がる。
「……とりあえず、行くしかないか」
低くつぶやき、私は洞窟の奥へ進む。手探りで進むうち、少し先に岩で作られた階段を見つけた。階段の脇には、ぼろくて薄汚れた木箱が置かれている。
「……わなでも仕掛けてあるんじゃないか……」
息を殺し、手袋をはめた手でそっと箱を持ち上げる。開けると、中には試験管サイズの赤みがかった液体が一本だけ入っていた。
「これだけ……?」
意味はわからない。けれど、手に取ると微かに温かく、力がみなぎるような感覚があった。思わず手のひらで握りしめる。
「……何かの薬かな。毒じゃなきゃいいけど」
小声でつぶやき、荷物にそっとしまう。再び階段に目を戻す。脱出するには、上へ進むしかない。
岩の階段を慎重に上り切ると、次の空間は洞窟のままだが、雰囲気が少し変わる。床や天井には透明な膜のような物質が張り付いており、光を受けてうっすら青白く光っている。
「……透明……?」
視界の端で、ぬるりとした動きがあった。床の中央に透明なスライムが現れ、ゆっくりと形を変えながらこちらに迫ってくる。触れれば吸収されそうな不気味な気配がある。
「……近づいてくる!」
反射的に鉄棒を構え、ハンマーで威嚇し、ナイフも腰から抜く。
「……押すほうがいいか……突くより、押さえつける……」
スライムは柔らかく、光の反射でわずかに輪郭が浮かぶ。足元を注意深く見ながら後退し、伸びてきた触手のような部分を鉄棒で体勢を崩す。ハンマーで振り下ろすと、衝撃で一部が分離し、動きが鈍る。ナイフでさらに切り裂き、距離を取る。
「……うまくやれば倒せる」
呼吸を整え、次の攻撃タイミングを探す。透明な体が揺れ、光の反射で輪郭がわかるたびに、鉄棒とハンマーで追撃。最後の一撃でスライムはぬるりと流れ落ち、形を保てなくなった。
薄い水色の粘液の中に、小さな光る結晶が混じっている。手に取ると、ひんやりとして光を放つ。
「……これも、ドロップか」
荷物にしまい、深く息をつく。戦闘は緊張するけど、やっぱり手応えは悪くない。
洞窟の奥には、わずかな光が差し込む。
「……あれ、光……出口か?!」
足元の小石や転がる岩を避けながら、一歩ずつ光の方へ進む。洞窟の天井から垂れた岩や湿った壁に注意し、進むうちに空気が少し暖かくなってくる。裂け目から差し込む月明かりは、青白い光と混ざり、幻想的だ。
しかし出口の手前で、透明スライムが再び現れ、道を塞ぐ。
「……まさか、出口で待ってるなんて……」
鉄棒を握り直し、ハンマーで追撃。透明の輪郭を確認し、慎重に動く。
「……よし、押す……いや、分離させて距離をとる!」
一度、スライムを鉄棒で押しつけ、形を崩す。ハンマーで追撃し、最後にナイフで分断。床にぬるりと落ちた残骸が止まり、動かなくなった。疲労で肩が重い。だが脱出の道が開けた安堵に胸が少し温かくなる。
「……よし、これで進める」
洞窟の裂け目から外に出ると、ひんやりとした空気が顔に触れる。だが、目の前には森が広がっていた。薄暗く密生した木々が視界を遮り、足元は落ち葉と湿った土で滑りやすい。
「スマホ……。GPSも通信も使えない……」
自分の声がこだまする。目と感覚だけで進むしかない。視線を太陽に向け、東の方向を確認。小さな川を見つけ、沿って下ることにした。
「……川沿いなら迷いにくいはず……落ち着け、焦るな」
そう心に言い聞かせながら、私は森の中を進む。荷物の重さと戦いの疲労が肩にずしりと乗るが、立ち止まることはなかった。
ここどこ?
見返したら普通に誤字あるなぁ




