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戻ってきた日常?

祖父の家。私はガラクタの山に体を預けたまま、しばらく動けなかった。先ほどの出来事で張りつめていた神経が、今になってゆっくりとほぐれていくのを感じる。左手を見ると、指輪がまだ淡く光っている。その光はまるで、私に「まだ終わっていない」と囁いているかのようだった。


ポケットに手を入れると、昨日拾った黒石がひんやりと手のひらに重みを伝えた。無意識に握りしめる。あの森、旧イェイル都市、崩れた建物の恐怖――すべてが鮮明に思い返される。


指輪をじっと見つめると、わずかな文字が浮かび上がった。


【充電完了まで:1週間】


どうやら向こうの世界で一週間過ごしても、こちらの世界ではほとんど時間が経っていないらしい。つまり、向こうで長く滞在できるということだ。だがそれは、また次の冒険が待っているという合図でもある。


ぼんやりと天井を見上げていると、玄関から声が聞こえた。


「……なんかあった?」


弟のユウキだ。声は少し驚きと心配を混ぜたような響きがある。


「……あ、ユウキ?」


私は体を起こし、ガラクタの間をかき分けながら声の方向に目を向ける。ユウキは玄関に立ち、足元を見ながら首をかしげていた。


「なにかにつまずいて転んだのか?」


「いや、別に……」


私は言葉を濁し、そっと黒石をポケットの奥に押し込む。もしユウキに見つかったら、きっと変な目で見られるだろう。


ユウキは小さくため息をつき、手にした紙袋を掲げる。


「とりあえず空き瓶とか燃えるゴミをトラックに積んどくから、ユウは……」


ユウキは私の方を見て、少しニヤリと笑う。


「お金になりそうなの、玄関にまとめといてよ」


そう言うと、ユウキはトラックへ向かって歩き出した。私には何も聞かず、すでに作業のことを頭に入れているらしい。


私はしばらく玄関の方を見つめた。朝の日差しが木製の扉に差し込み、埃の舞う空気が金色に輝く。ガラクタの中で見つめる黒石と指輪。あの一週間の向こうの世界の出来事――倒壊する建物、怪物、セラとの危険な時間――そのすべてが、現実の静かな祖父の家にぽつんと残っている。


小さく息を吐き、私は腰を上げた。膝に手を置き、周囲のガラクタを少しずつ整理し始める。空き瓶や古い缶、古雑誌。指先で触れるものすべてが、遠い冒険から現実へと戻ってきたことを実感させる。


「……ほんとに、なんでこうなったんだろう」


思わず呟く。


ふと、ポケットの黒石を手に取る。ずっしりとした重みが手に伝わる。これもまた、向こうの世界での記憶のかけらだ。まるで、まだ何かを待っているかのように。


窓の外では、ユウキのトラックが揺れる音と、近所の犬の鳴き声が混ざる。日常は何事もなかったかのように流れているが、私の心にはまだ、あの森と遺跡の記憶がくっきりと残っている。


「……次は、いつになるんだろう」


小さく呟き、私は黒石を机の上に置いた。指輪の光はほんのわずかに消えかけている。それを見ながら、心のどこかで決意する。


「……でも、待ってろよ。向こうの世界、まだ終わってないからな」


祖父の家の古い木の梁と埃に包まれた部屋の中で、私はゆっくりと立ち上がった。黒石の冷たさと指輪の余韻を感じながら、次の転移を、静かに、しかし確かに意識した。



頼む セラ ヒロインになってくれ!!!!

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