表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/40

黒石感知

翌朝、私はクロノ町を出て、昨日と同じ森へ向かった。朝の空気はまだ冷たく、門を抜けた瞬間に町のざわめきが背後へ遠ざかる。石畳の道はやがて土の道に変わり、森の入り口へ近づくにつれて湿った土と草の匂いが強くなっていった。


森の中へ入ると、朝の光が木々の隙間から細く差し込んでいる。鳥の鳴き声と、風に揺れる枝葉の音だけが静かに響いていた。


しばらく歩いたときだった。


左手の指輪が、わずかに温かくなる。


黒石感知の反応だ。


私は足を止め、周囲をゆっくり見回した。だが、地面の上にはそれらしいものは見えない。落ち葉を足で軽くどかしてみるが、石は見つからなかった。


それでも――指輪の熱は消えない。


むしろ、ほんの少しだけ強くなった。


「……?」


私はしゃがみ込み、近くに落ちていた枝を拾って地面を軽く掘ってみた。湿った土を数センチほど削ったところで、黒いものがちらりと見える。


黒石だった。


表面は土で汚れているが、形は間違いない。私はそれを拾い上げ、軽く土を払った。


「……埋まってたのか」


普通なら気づかない。地面の下にある黒石など、目で探して見つかるものではない。


私は石を袋に入れた。


その後も森を歩くたび、指輪は何度か反応した。草の陰、木の根元、そして地面の下。目に見える場所よりも、むしろ隠れている場所の方が多かった。私は指輪の反応を頼りに落ち葉をどかし、枝で土を掘り、黒石を一つずつ見つけていく。


袋の中で、石が少しずつ増えていった。


途中で、指輪がもう一つの反応を示した。


指先に、ぎゅっと締めつけられる感覚――危険感知だ。


私はすぐに顔を上げ、周囲の森を見渡した。遠くの茂みが風で揺れ、どこかで枝が小さく折れる音がする。


だが、その方向へ近づこうとは思わなかった。


私は静かにその場を離れ、別の道を選んで歩く。森の奥へ入るつもりはないし、危険をわざわざ確かめに行く理由もない。


しばらく歩くと、指輪の緊張は自然と消えた。


私は小さく息を吐き、また地面を探し始める。


昼を過ぎたころだった。


今までより少し強い反応が指に伝わる。


私は同じように落ち葉をどかし、枝で土を掘った。湿った土の下から現れたのは、これまで見つけたものより一回り大きい黒石だった。


鈍い黒色の塊。


手のひらに乗せると、ずしりとした重みがある。


私はそれをしばらく見つめたあと、袋に入れた。


その後も森の外縁をゆっくり歩き回り、指輪の反応を頼りに黒石を拾っていく。危険感知が何度か微かに反応することもあったが、そのたびに私はその方向を避けるように進路を変えた。


森は静かだった。


だが、その静けさの奥に何かが潜んでいる気配は、昨日よりもはっきりと感じられる。


だから私は、奥へは行かない。


ただ黒石を拾い、袋に入れていく。


森を出るころには、太陽はすでに西に傾いていた。


今日の収穫。


小ぶりの黒石が十一個。


そして――中くらいの黒石が一つ。


袋の重みを手で確かめながら、私は静かにクロノ町へ戻っていった。

誤字が多いな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ