第8話 「予想外の乱入者☆路地裏で光る救いのランタン!」
サナが駆け抜けた先の曲がり角――
闇を裂くように、ぼんやり白い灯りがいくつも揺れた。
「そこまでだッ!!」
低い声が路地に響く。
皮鎧の影たちがサナの目の前に一斉に飛び出した。
腰には実戦用の剣。手にはランタン。
(えっ……!!こ、これ……助かった!?)
視聴者欄が一気に沸騰する。
『きたきたきた!!正義の味方!?』
『治安隊イベント入った!!!』
『生存ルートあるぞこれ!!』
『まさかのNPC祭り!!』
リグは舌打ちし、足を止めた。
「……チッ、よりによって“犬”かよ」
先頭の治安隊員が、すかさずサナの庇護に入るように前へ立つ。
「少女!下がっていろ!あとは俺たちが――」
しかし、言葉より早く、リグの身体が影のように揺れた。
「邪魔だァ!!」
治安隊員の一人が吹き飛び、石畳を転がった。
サナは反射的に叫ぶ。
「ま、待って!!!」
視聴者欄も大混乱だ。
『リグの動き速すぎる!!』
『完全に暗殺者の挙動だろこれ!』
『治安隊が弱い……!?嘘だろ!?』
『サナ逃げろってば!!』
しかし治安隊は怯まなかった。
「包囲しろ!ランタン展開ッ!!」
全員が一斉にランタンを掲げる。
光がふっと収束し――
路地裏が白昼のように照らし出された。
リグの動きが一瞬止まる。
(え……止まった?)
後方の治安隊員が怒鳴る。
「そいつは“人攫い組織レイヴン”の一員だ!!王都から緊急通達が出ている!!絶対に逃がすな!!!」
サナの胸がドクンと跳ねる。
(レイヴン……!?やっぱり……本当に……人攫い……!!)
視聴者も震えるようにコメントする。
『ガチ組織じゃん……』
『伏線回収の速度おかしい』
『サナ、逃げ切れたの奇跡では』
リグは治安隊を睨みつけ、低く吐き捨てた。
「……やれやれ。だから嫌なんだよ、“嘘つくガキ”は」
その目が、サナを刺した。
「お前の嘘のせいで全部狂ったんだよ」
(……嘘……私がついた“身分の嘘”……!?)
心臓が痛むほど鳴る。
だが治安隊の指揮官が怒号する。
「少女を連れて下がれ!!こいつは危険だ!!」
サナを包囲するように、治安隊員が後退し始めた――
その時。
リグが、ふっと笑った。
「――逃げ切れると思うなよ」
次の瞬間。
リグの足元の影が、
まるで液体のように波打った。
視聴者欄、爆発。
『影が動いた!?!?』
『やばいスキル持ちじゃん!!』
『暗殺ジョブ確定!!』
『サナ連れて行かれるぞ!!』
影の中から何かが伸び、
サナの足首へ――
「きゃっ……!」
治安隊員が飛び込んでサナを抱え、影を弾いた。
「離れるな!こいつ“影渡り”だ!!」
サナは理解が追いつかない。
(影渡りって……なにそれ……!?)
リグがナイフを構え、低く笑う。
「連れて帰るぞ、サナ。“東の村から攫ったお前”をな」
サナの目が大きく見開かれる。
「し、知らないって言ってるでしょ……!私は……私は……!」
声が震えて、続かない。
リグの靴音が石畳を踏む。
一歩。
また一歩。
影が伸びる。
治安隊が陣形を固める。
視聴者欄は嵐のような勢い。
『近い近い近い!!』
『誰か!増援来い!!』
『サナ泣きそうじゃん……』
『このままじゃ連れ去られる!!』
そして――
「……もう逃がさねぇ」
冷たい声が響いた瞬間。




