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VTuber皆桃サナの異世界Live  作者: 海木雷


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4/13

第4話 「閲覧1000目前☆酒場のざわめきと赤いランタン」

扉が完全に開いた瞬間、ざわつきが止まった。

木製のテーブル、大皿に盛られた肉、濃い酒の匂い。冒険者と見える男たち、旅の楽師、商人――

その視線が、一斉にサナへ吸い寄せられる。


視聴者数:821→845→902


『おいおい見られてるw』

『そりゃ配信衣装だしな』

『現代服やべぇだろ異世界で』


サナは乾いた笑いを浮かべつつ、心の奥で悲鳴を上げる。


(しまった!私、Tシャツにショーパン、パーカー……どう見てもこの世界じゃ浮いてる!)


酒場の片隅で、髭面の大男が目を丸くする。

口に入れかけた骨付き肉を落とし、ガラッと声を上げた。


「お、おい見ろよ!

 革の鎧も着てねぇガキが酒場に入ってきやがったぞ!嬢ちゃん、どこの魔術師の弟子だ?」


別の席の女性冒険者が、興味深げに立ち上がる。

深緑のコートに魔石のブローチ、腰には小ぶりの短剣。


「その布……染め方が見たことない。王都の貴族かしら?――いえ、違うわね。肌の露出が妙に大胆だもの」


サナは慌ててパーカーの裾を引っ張って隠そうとするが、逆に目立った。


コメントが容赦なく流れる。


『露出ww』

『サナ恥じらってて可愛い』

『いやその服異世界じゃ完全にコスプレ』


「え、えっと……あはは…旅の……えーと、その……」


声が裏返る。

視界が少し揺れる。呼吸が浅い。


(落ち着け、笑って……笑えば大丈夫……)


その時、カウンターから渋い声が飛んだ。


「まあ座りな。客だろ」


声の主は白髪混じりの店主。

筋張った腕でジョッキを拭きながら、じっとサナを見る。


その視線は厳しいのに、どこか優しい。

「珍しい格好だが……怪しさは感じねぇ。腹が減ってるなら、今は鹿肉のシチューが熱いぞ」


視聴者欄が沸く。


『おじさん神対応!』

『飯来るぞ飯!』

『シチュー!うまそう!』


視聴者:910→937→1003


数字が弾けるたび、胸の奥に甘い熱が走る。

怖い、でも嬉しい。歓声のような魔力が体を満たしていく。


サナは深く息を吸って、笑顔を作った。


「……じゃあ、その……シチュー、一つお願いします!」


椅子に腰を下ろす。

ガタ、と足が震えた音が小さく響き、誰にも聞こえないような顔で誤魔化す。


(大丈夫。配信中だ。みんなが見てくれる。今の私は皆桃サナだ。)


背後ではまだ客たちがサナを見ている。

好奇、警戒、興味、憧れ――色んな視線が刺さる。


コメントも止まらない。


『これ絶対イベント始まるやつ』

『誰か声かけてくる流れ』

『仲間候補ほしいな』


すると、隣の席の青年が椅子を引いた。

旅装束に片手剣、浅黒い肌の冒険者。瞳が琥珀に光る。


「その格好は何だ?どこの国からきたか、俺に教えてくれないか?」


サナは固まる。


(来た……イベント……?)


心臓が跳ねる音が、鼓膜の中で大きく響いた。

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