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全てを救うには勇者が足りない!  作者: 杞憂 優斗
一章【弱い自分】
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一章七話【迷いの森とスライム】

「ネガティブはよくないですね。私ネガティブなことばっか言ってそうで……あとごめんなさい道教えてなくて……」


「え、あ、ハクさんどうしてここに?」


「治療するために遠くの方で街から離れてるんです……道案内しないと街に辿りつかないんです……なんとか走ってこっちまで行きましたよ……」


「ハクありがとう! ハクは優しいね!」


 ハクはりょうとミアに道案内しながら3人で雑談しながら歩いた。

 

「ハクさんわざわざ怪我を直すだけでなく帰りの道まで教えていただきありがとうございます」


「いえいえ……心配ですから……」


「ハクだったらモンスターに会って戦闘になっても心配ないね!」


「私、弱いですよ……スライムですから……」


「助けてくれたときあのうさぎのようなモンスター倒したんだよね?」


「私がいたときにはもういなかったんです……普段あんな強いモンスター見ないんですが……」


「そうなんですか?」


「最近おかしいんです……そんな強いモンスターなんていないんですから……」


「この森が危険になったのは最近なんですね」


「あー……そうですね……」


「でも私たちここで死にかけてたら絶対に魔王倒せないじゃん! 大丈夫なんかなぁ」


 穏やかな顔のハクはりょうとミアの頭をポンポンと撫でた。

 ハクの手は湿っていて冷たいがどこか温かみを感じた。


「大丈夫……ですよ……りょう、ミア……あなたたちならきっと倒せる……そんな気がします……大丈夫……大丈夫……」


「ハク……励ましてくれてありがとう!」


「いいですよ……不安になりますよね……でも大事なことに気づかないと……勇者たちは壊れていくかも知れませんね……」


「壊れるどういうことですか?」


「あまり詳しくは……あぁたとえばですけど魔王を弱らせる魔道具って知ってますか……?」


「聞いたことないですね」


「え! そんな魔道具あるの!? どこどこ!? 魔王を弱くなるんですか?」


「けど都市伝説レベルなんで……」


「そんな曖昧な話が大事なの? あるかもって感じじゃん!」


「でももし実際にあれば大事な情報かもですね」


 ハクから聞いた都市伝説のような曖昧な話には特に深い意味など不思議と正直りょうには感じられなかった。

 あくまで噂話だから仕方ないかも。

 

「りょう、ミア……足元見てください……」


「ん」


 りょうとミアはハクの言う通りに足元を見つめた。

 柔らかい土だったので足跡がくっきり見えていた。

 りょうたち以外の足跡らしきものも見えていた。


「しっかり……観察すれば……なんとなくどこの方向に……街があるのかわかるんです……」


「これはスライムの足跡? スライムの足跡なんてじっくり見ないや!」


「……よくスライムの足跡ってわかりましたね……すごいですね……日の当たりにくい森の奥ってそんなにスライムはいないんです……スライムは日があるほうに集まりやすいんです」


「ハクってスライムだからスライムについて詳しいね!」


「この世界では常識なんで知っておかないと困るときがあるかもですね……」


「少しずつ知って行きます……ハクさんありがとうございます」


 りょうとミアとハクは足跡をたどりながら草木を分けて足跡の続く方へ歩いて行った。

 背後にガサガサと音が聞こえた気がした。

 りょうは振り向くとそこには小さなスライムが二、三匹やってきていた。


「わ……モンスター! ハクさん危ない!」


 りょうは手に持っている剣を振りかざした。

 スライムは瞬時に宝石へと変わった。


「ス、スライム……が……死んじゃった……」


「あ……」


 しまったハクはスライムなのに自分は容赦なくハクの同族のスライムを倒してしまった。


「いいんです……スライムは……基本は仲間意識ないので……人間には害のあるモンスターですから……りょう様は倒さないといけないんです……」


「そ、そうなんですね。でも群れで出てきたときがあったのでスライム同士仲間意識があるのかと」


「スライムは同じサイズの生物に集まる習性があるんです……ですが生きるので精一杯な最弱生物なので基本周りのことなんて考えないんです……」


「でもスライムのハクさんは優しいですよね。スライムは周りのことを考えないっていっても他人である俺たちを助けてくれたじゃないですか」


「それは……」


「スライムは周りのことを考えないっていってましたけどハクさんは違うじゃないですか」


「そんなこと……言われて嬉しい……です……えへへ……」


「あ! またスライム! 私に任せて!」


 ミアはナイフでスパっと切り裂いた。

 歩いて出てきたスライムはほとんでミアが倒していった。


「すごいですね……ミア強いですね……」


「すごいでしょ! もっと褒めていいんだよ!」


「俺が情けないよ。ミアありがとう。ナイフで攻撃もできて魔法もできるなんて」


「魔法うてるんですか……?」


「そう! 私、魔法も使えるよ! とは言っても簡単な水魔法しかできないけどね!」


「ミア……すごいですね……」


「そんなすごいすごい言われて嬉しい!」


 ミアは褒められて上機嫌そうにスライムを倒していった。

 しばらく歩いていったら広い空間に着いた。


「ここは自然の薬草畑になってるんです……」


「いろんな薬草があるんだね!」


 そこにはさまざまなな薬草が生えており薬草に困らなさそうな量だった。


「せっかくなんで摘んで行きませんか?」


「便利だしいいね! 採ろー!」


 りょうとミアは薬草を手一杯に採っていた。

 そのようすを見ているハクにこにこと眺めている。


「ハクさんこれってなんの薬草なんですか?」


「これはただの雑草ですね……なんの効果もないです……」


「全部、雑草ですかぁ……」


「いっぱい採ってきたよ!」


「これは回復の薬草ショーヒールソウですね……あ、これは噛む酸素が出てくるサンソソウです……」


「サンソソウって初めて聞いた! 変わった薬草だね!」


「ミアはちゃんと薬草採れててすごいな。俺ただの雑草しか採れてなかったよ」


「仕方ないよ! 薬草ってなんかよくわからないもんだし!」


 しばらくりょうとミアは薬草を教えてもらいながら集めていた。


「そろそろ行きましょうか……道草しすぎましたね……」


「いえいえ。ハクさんまた教えていただきありがとうございます」


 薬草畑を歩いていきまた普通の森の景色になった。

 何時間か歩いたのでりょうとミアは疲労が溜まっていっている。


「なかなか遠いですね」


「お腹すいたね!」


「もう昼になってそうなのでご飯にしたいですがご飯持ってなくて……」


「あれ……なんかこっちに走ってきてませんか?」

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