一章六話【君の○○は】
「なぁお前……街の人間助けて何をしている! ハク!」
「えと……倒れていたから……助けないと……行けないでしょ……」
「え、なんで……」
街を襲ったスライムの少女は俺を見てその後助けてくれたハクに怒っている。
どうして街を襲ったスライムに少女が?
「あの街の人間なんて弱いから助けたってすぐ死ぬ」
「あの子たちは……ちがう……この子たちは……勇者……」
「は、はぁ? 勇者なんて……いや、もう百六十八年経ったのか……」
「時間は……あっという間……」
「どうせこの勇者も今まで通りに死ぬだけだ。この勇者だって死にかけているじゃねぇか」
自分のこと覚えてないのか?
口が悪いが街を襲ったスライムのくせにすぐ殺さないのがびっくりした。
スライムの少女たちの会話が気になる。
自分たち来る前、ほかにも転移されていた人がいるのか?
百年以上前にもこんなことがあったのか。
「ところでマギ……調べて欲しいのことが……」
「なんだよ?」
「勇者たちの魔法属性……調べて欲しい……」
「調べるのも大変なんだぞ? まぁ百歩譲ってそこの男はいいが、ここに倒れてる女が気に入らねぇ」
「どうして……倒れてる女の子だって……勇者……」
「男と違っていい匂いがしねぇ……臭いんだ……あいつの匂いが……」
「どうしてそゆなこと……いうの……可愛い女の子に臭いなんて……いい匂いだったよ……」
「はぁ……最悪」
あいつの匂いってなんなんだ。
あの女の子ってミアのことだよな。
匂いはわからないがもう少し耳を傾けた。
「まぁいい、おれにとっては勇者はどうでいい。好きなようにな」
「好きなようにする……」
「ってそこの男! なんだこの装備ゴミじゃねぇか。こんな装備で挑もうなんてなめてるなぁ」
「こんな装備ですみません……」
「どうせ自称王から貰ったもんだろ。そりゃゴミかあんな街カスだからな」
「あの街のこと嫌いなんですか?」
「あいつら態度が舐め腐ってあがる。お前もあの態度ひでぇと思わねぇか? さすがに勇者にカスい態度しねぇか」
「正直……そうですね」
「勇者ですらあの態度かよ。街ごと死ねばいいのに」
「なにがあったんですか? そんなに恨んでいる理由があるんですか?」
「お前には関係ねぇよ。勇者はおとなしくさっさと強くなれ」
「あ、あの俺たちを殺さないんですか?」
りょうは汗を垂らしながらマギのほうをじっくりみた。
自分はこのことを触れることで殺されるのではないか?
街で襲ったときあったはず、間違いない。
後悔してももう遅い殺されるかもしれない。
りょうはマギに胸ぐらを掴まれた。
「あ、あぁ……ご、ごめんなさい……殺さないでください……! 俺は……俺は……!」
「はぁ? お前がおれが殺人鬼だと思ってねぇか? そう思われるのがむかつくから胸ぐら掴みたくなったんだよ。おれがスライムで言葉使い悪いからってビビりすぎじゃねぇか? お前は悪いことやってねぇただの被害者だし王や街の奴らが嫌いだからって人は殺さねぇよ。人殺しするとおれはそこらへんのモンスターとなってしまう。それは嫌なんだ」
「で、でもき、昨日は街襲いましたよね? そのときはスライムをつかって人を……!」
「あぁ? 街を襲っただぁ? そんなん知らねぇよ」
マギは街を自分が襲ったことを知らないようだった。
ゼントル王のことは嫌いっぽいがりょうたちに殺意はないようで安心した。
なら街を襲ったスライムとマギ別のスライムだったのか?
そこらへんにいたスライムと姿が違うといえスライムの見分けなんてつかないのだから、このマギと同じ種類のスライムなのだろうか。
あと胸ぐらを掴まないでいただきたい。
「あぁ、勘違いしてすみません……あの胸ぐら……」
「すまねぇ。カッとなってしまった」
「大丈夫ですよ」
「なぁ。お前の名前は?」
「え、あ、内木涼です」
「あっそ。そうえば魔法の属性を調べるんだったな。ついでに特殊能力も調べてやるよ」
「特殊能力?」
「そんなことも説明してねぇのか。あの王やっぱクソだな。勇者がこっちの世界に来たとき必ず貰える能力だ。歴代の勇者はそれを使ってほとんどの困難を乗り越えてきた。」
「異世界特典みたいなことでしょうか」
「知らんがたぶんそうだ」
異世界転移、転生でよくあるチート能力があったのか。
そのチートがあっても魔王を倒せていないってことか、一体どれぐらい強いのか。
「今からお前の能力と魔法属性と魔素量を調べるからそれに触れろ」
水晶のような物が目の前に出してきた。
スライムの少女はため息をしながらこちらを覗いてくる。
ハクは心配そうに水晶と俺を見つめる。
水晶は透明でガラスより透明のように思えた。
色々と気になることがたくさんあるが、それに手を触れる。
りょうが手を触れた瞬間水晶が光りだした。
水晶に映し出された色は金色に輝いていた。
「属性は金、魔素量少なめ魔法適正ねぇな」
「そうなんですね……たしか金は魔力をたくさん使うんでしたっけ?」
「そこは知ってるんだな。金は攻撃守備どちらも使える強力な魔法だが魔力がたくさんいるからな。だから魔力量少ないお前が金魔法を使うのは厳しいな」
「じゃあ俺は魔法うてないんですか?」
「やればできるが難しいって話だ。中には魔力を少しももたない人もいる。少しあるだけ可能性があるが魔法使いになるのはやめといたほうがいいだろ」
「せっかく魔法の使える世界にきたのに……」
「向こうの世界が知らねぇが人には得意不向きあるからなそんな落ち込むんじゃねぇ」
「そうですよね。ありがとうございます」
「次は勇者特有の能力だ。歴代の勇者は魔力がないものもいたが特殊能力だけはだれもがもってる」
「たとえばどんな特殊能力があったんですか」
「食強化、感情バフ増加、洗脳、なんでもボックス、魅了、呪い、変身&分身、圧倒デバフ……だいたいこの八つだ」
「なんかぱっと聞いてたまに能力がどんなのかわからなかったりどれも強いのか疑問です」
「まぁ能力の名前は歴代の勇者が名付けたものだから文句があるなら勇者にいってくれ。勇者にもよるが意外と強力だったりするものもある。おれは名前だけ知ってるが詳しくはどんな能力かはわかんねぇがな。ただ強いんだ」
「異世界らしいチート能力があるとは……まぁその能力のどれか使えるんですね」
「チート能力? まぁそうだな。お前は使いこなせるが知らんがな」
「調べるんでしたら水晶?」
「いや水晶じゃない。全裸だ」
「え」
「ここで脱げ」
「え? え? ちょっと……やめっ……急にやめてください……」
りょうは押し倒され、むりやり服を脱がされる。
必死に抵抗したが意外にも力が強く、気がつくと手首足首にはツタが巻きつけられ自由に動かせなかった。
苦戦しながらも脱がし終わりりょうの上に座り込む。
マギは顔を近づけ真剣に顔や体を見つめている。
りょうの顔や体を触りながらじっと見る。
その間自分は恥しく赤くなっていたと思う。
へその所まで見たらへその上の方を両手を当て、へそが金色に光り始めた。
限りへそが見えるよう首を上げへその上の方に星のようなタトゥーが描かれていた。
りょうはもちろんタトゥーなんか入れてなかったし、昨日までは少なくともなかったはず、いつの間に。
マギはへそから両手を離した。
「これが勇者の印だ。勇者には必ずこのアザがある」
「あ、あぁ……」
「その……マギ……急に無理矢理押し倒して脱がすのは……よくないよ……びっくりしてるでしょ……」
「……すまん無理やりお前を押し倒していること」
「うぅ……大丈夫です……」
襲われるかと思ったいろんな意味で。
少し息を吐き、気持ちを整えた。
しかしこの子は素直に謝れる子なのが意外だ。
マギの口は詰まり、言いにくそうにこちらを見つめる。
こちらに向きはぁとため息をつく。
「わかんねぇ……こんなこと初めてだ。そんなはずがねぇ。初めて見る光り方だな? 能力は大体なにがあるか決まってるんだ。光り方でどの能力かわかるはず。いや、絶対に何かあると思うのだが……新しい能力なのか? まず本当に勇者……いや、本当にここと違う世界からきたのか?」
「勇者……なのかは知りませんが、ここと違う世界で住んでました。いつの間にかここに来ていたんです」
「そうだよなアザもあったもんな」
りょうの顔を見てスライムの少女は顔を歪ましている。
ハクは不安そうにこちらを見つめている。
スライムの少女は頭を掻きしたを俯く。
「キャァぁぁぁぁぁぁ」
森に高い声が響き渡る、この声はミアの声だ。
目覚めたのは安心したが、どうしたのだろう。
「こんなとこで何やってるの! しかもどうどうと……は、裸で……あ、あ、しかも外……」
「あ、ご、ごめん。ち、違くて……」
「女起きたか。お前も脱げじっくりとお前のこともみるからな」
「はぁぁぁ? い、意味わかんないんだけど無理無理!」
「一緒にやったほうがらくだからね」
「意味わかんないんだけど!? キァァァァァァァ」
「違う……違うんだぁぁ……あぁぁぁぁぁぁ」
そいえば、まだ裸のままだった、しかもこの体勢は勘違いされる。
りょうはマギから急いで離れた。
「男の性欲ってスライムにも欲情するなんて……」
ミアは軽蔑の眼差しでりょうことをみていた。
「本当に勘違いなんだミア?」
「裸で近つかないで!」
「あ、裸のままだった! ごめんミア!」
「とりあえず服着て!」
りょうは服を急いで着替えてミアに状況を説明した。
ミアは困惑した様子だった。
「いろいろわかりきってないけどなんか大変だったんだね。マギとリョウには勘違いしてしまってごめんなさい。ハク、マギ私たちを助けてくれてありがとう!」
「お礼されることしてねぇんだけど。そこの臭い女お前も調べてやるよ」
「マギさんさすがに女の方に失礼じゃないですか?」
「え、えぇ!? そんな臭いかな?」
「マギ……本人の前でたとえ思っててもそんな……」
「ハクまで臭いって思ってるの!? ショックなんだけど!」
「あ……いや……そんなことないですよ……」
「まぁそんなことはどうでもいいだろ」
「まぁ二人とも治ったんですから……よかった……です……この森は危ないですから……街へ帰ってゆっくり休んでください……」
ハクはりょうとミアに手を小さく振って別れを告げた。
りょうとミアは街へ戻るため森から出るよう荷物を整えハクたちのもとから離れた。
しばらくりょうとミアは森を歩いて行ったが一向に街に辿りつかない。
「そうえば俺たち街がどこの方向あるかわからないんじゃ」
「あ……聞けばよかったね」
「どうしよう。この森危ないっていってたから早く出ないと今度こそ本当に俺たち死んじゃうのでは?」
「そんなネガティブなこと言わないの!」
「そうですよ……ごめんなさい……」
「え?」
俺たちの後ろに離れたはずのハクがそこには立っていた。




