一章五話【スライムの少女と魔法】
────大丈夫……? 生きてる……?
微かに声が聞こえる。
誰かはわからないが、この声が心地よい。
自分は生きているのか…?
それとも幻聴なのか?
────目を覚ましてよぉ……
りょうはゆっくりまぶたを開け、森の木漏れ日が目に映りとても眩しい。
微かに花の香がした。
「目が覚めたの……?」
動かし声のする方を見る。
声の持ち主はスライムの少女らしき者だった。
街を襲った少女とは違い、体は青くこちらに敵意を感じない。
「ん? ここどこ……なんで朝?」
「よかった……なんとか助かった……」
スライムの少女はりょうの顔を覗き、安心したようだ。
きっとスライムの少女は助けてくれたのだろう。
スライムの少女はにこりと笑った。
「あなたが俺たちを助けてくれたんですか?」
「そう…森で血らだけになって倒れてたから…薬草つくって……傷に……治すのに時間かかっちゃって……」
りょうの足は完全に治っておりジーパンに穴はなおってはいなかったがそれ以外完璧だった。
ミアはこの子に直してもらったのだろうか?
「助けていただきありがとうございます」
「そんな……丁寧に……いえいえ……」
「ところで、もう一人の女の子がいたのですが、その子も無事でしょうか?」
「はい…近くにいた女の子は…案内するから来て……その……動けますか……?」
「大丈夫です。動けます」
どうやら、ミアも助かっていそうで安心した。
周りを見ながら、スライムの少女についていく。
茂みの中に入っていき、まだ、ミアは倒れていた。
「あなたと同じく…薬草を傷口に…だけど出血がひどかった…だから時間がかかる……」
「そうなんですか……」
りょうより状態がひどく、傷口も治っていないようだ。
ミアは涙を貯め、苦しそうに寝ている。
ミア、守れなかった。
今回は奇跡的にスライムの少女が助けてくれたが今度は生きれるかわからない。
「……あなたの姿……めずらしい……もしかして陰魔法……嘘……」
「陰魔法? ってなんだ?」
「知らないの……? いったいあなたはなにもの?」
「内木 涼です。ここと違う世界からやってきた勇者なようです」
「黒髪……黒目……変わった服……変わった名前……本当に転移者だった……」
スライムの少女は奇妙そうに見つめている。
やっぱり自分たちはここにいる者には浮いて見えるのだろう。
正直に言うと、面倒事にしかならない事は分かっているが、見た目で分かりやすいので、正直に言った。
「そうです。ここに来たばかりで焚き火の木を集めにいって兎のようなモンスターと戦ってたら油断したらこのように」
「え、勇者様……! 失礼な言葉遣いしてしまいました……ごめんなさい……」
何故かスライムの少女の娘は頭を下げポタポタとスライムの欠片が目から流している。
特に失礼なこと言っていたわけでもないのに。
「失礼なこと言ってないですよ」
「勇者様相手には……敬語を……使わないと……ごめんなさい……」
「気にしないですよ。使わなくて大丈夫ですよ」
「ありがとうございます……優しいのですね……」
敬語を使わない程度でそんな謝ることではないと思うのだが。
まぁ、世界を救う英雄は、そう思っていても仕方がないかもしれない。
まぁ何もしていないどころか、死にかけて助けてもらっているのだ。
「勇者様は……この世界にきたばかりですか……?」
「そうなんです。きたばかりで」
「じゃあ……魔法のことわからないよね……」
「あ、もしよかったらなんですけどお店で買ったのですがこの紙ってなんて書いてるんですか? 文字は読めなくて……」
りょうがみせた紙は買ったけど読めなかった魔法のメモだった。
スライムの少女は不思議そうに紙をみた。
「読み方はって……どうして紙切れ一枚なんでしょうか……?初級魔法書のページがちぎられてますよね……」
「あ! ほんとですね」
「買ったっていってましたけど……こんなの正直売り物になりませんよ……いくらでしたか……?」
「銅貨十枚ですね」
「それ……詐欺られてますよ……」
「え! でも魔法書は金貨十枚するって……」
「たしかに上級者用の魔法書はそれぐらいですが……こんな紙切れそんな高くもないし……銅貨十枚なら初級魔法書買った方がいいですよ……」
「なにも知らないからって詐欺って最悪だ……」
「まぁ勉強ですよ……それぐらいならすぐ稼げます……」
「気をつけないとですね」
「そうですね……魔法のこと知らないと……長くてややこしいですが……基本のこと教えましょうか?」
「教えていただけるのはありがたいです」
「はい……! 魔法は魔力というのがあり魔力がないと魔法がうてません。人によっては魔力量がぜんぜん違います。人間以外にもさまざまな生物が魔法が使えるのですがその種族によってだいたいの魔力量や扱える魔法の種類が違います。魔法は人は体質によってできる魔法とできない魔法があります……
その魔法の種類は火、水、木、土、金、陰、陽の七つ……その魔法の種類のことは属性ともいったりします……」
「属性の特徴や相性ってあるかんじですか?」
「そうですね……! 火は攻撃力が高いので攻撃魔法が得意です……! 金には強く水には弱いです……
水は汎用性がありバランスが良くいろんな魔法があります……! 火には強く土には弱いです……
木は癒やす能力が強く治癒魔法が多いです……! 土には強く金には弱いです……
土は硬い特徴があるので防御魔法が多いです……! 水には強く木には弱いです……。
金は、基本五つの属性の中では珍しく防御、攻撃どちらとも強く強力な魔法が多いですが魔力量必要とするものが多く、発動する時間が長いものが多いです……! 木には強く火は弱いです……」
「うっ……頭が混乱しますね」
「あとサポート相性ってのがあります……」
「まだ相性あるんですか」
「そうなんです……ですが勇者として覚えといて欲しいです……」
「もう聞くしかないですよね」
「火は木のサポートにより火魔法が強化されます……水は金のサポートにより水魔法が強化されます……木は水のサポートにより木魔法が強化されます……土は火のサポートにより土魔法が強化されます……金は土のサポートにより金魔法が強化されます……大丈夫ですか……?」
「もう俺はおいてかれてますよ。そんな覚えられないです」
「そうですよね……でも大事なことなんです……」
「それじゃあいろんな属性を覚えていく必要がありますね」
「最初にもいったどおり人によってできるできない魔法があります……大体の人は人は決まった属性の魔法しか使えないです……火属性だけなら、ほかの水、木、金、土は使えないです……自分の得意属性を知る必要があり得意、不得意を知り、パーティ仲間とともに困難を乗り越える必要なんです……勇者様のみなさんでこの旅を乗り越えていきましょう……!」
「それがまだ俺とミア……倒れてる女の子しか見つけられてなくて」
「あれ、勇者様は……5人いるそうですが……他の三人は……いないのでしょうか……」
「まだ全員集まっていない」
「そう……なんですね……」
残念そうに俯くスライムの少女は太陽の光に当てられ、輝いてみえる。
「あの……勇者様……ここは危ないので……この子が治ったあと……森の外まで送るから……もうこないでください……」
「すいません」
「いえいえ……勇者様に……死んでもらうには早いので……」
自分たちの心配をしてくれるなんて優しい。
自分たちはまだ野宿なんてはやかったのだろうか。
少なくとも夜になりそうになる前にとっとけばよかったか。
「あと……この装備……全然だめ……だから……しっかりしたの……買ったほうがいい……まずは……防具から…」
「そうですよね……お金が貯まったら買います」
「防具買うなら……地の街……ゴーレ……」
やっぱり装備のこと言われるよな。
スライムですら言われるのだからよっぽど酷いものだ。
防具なんて一切もらってないぞ。
自分で買えってか。
王よりスライムの少女の方が良心的だ。
街によってオススメの装備が違うなんてゲームそのものだ。
まぁ、現実でも特産品があるが。
「ゴーレは……ここからしばらく南の方に……いけば……」
「ちなみに大体どれぐらいのお金がいるのでしょうか?」
「そうですね……最低金貨二十枚です……」
「たっっか!」
「ゴーレはすごい防具などたくさんありますからね……! あと地の街はお酒おいしいですよ……!」
「酒にが……そうなんですね」
「あ、お酒苦手でしたか……それは申し訳ないです……最近いってないからどうなってるかわからないですが……街の防壁が高いので街の中は比較的安全です……宿屋もしっかりありますからゆっくり体を休めます……」
「宿屋があるのは助かりますね」
「この街は珍しいですから……いく順番なら……いや、冒険の順番を決めるのはよくないですね……」
「いやいやいいんですよ」
「勇者はいろんなところへ旅して経験を積むことが大事ですから……ふとしない出会いがいつかあなたを助けてくれますから……」
「そうですね。まだまだ俺は弱いままだから経験を積んで人との出会を大切にしていきたいです」
「その思い……大事にしてくださいね……」
「助けていただいただけでなくこんなに教えてくれるとは……ありがとうございます」
「魔王を……倒して欲しいですから……だから……頑張って欲しいんです……」
「魔王かならず倒しますよ」
「ありがとう……ございます……!」
スライムの少女はにこりと笑い期待しているかのような目をしていた。
「魔法のことに……戻るんですが……勇者様の属性を知らないとですよね……」
「そんなのわかるんですか?」
「わたしは調べるのはできないですが……わたしの妹のマギなら……調べられるので呼んできますね……」
「そんなわざわざいいですよ」
「自分を知ることは大事なんです……マギも魔王を倒して欲しいと思ってますから……!」
「ところでなんですけど名前ってなんていうんですか?」
「あ……そうでした……勇者様の名前は聞きましたけどわたしの名前いってなかったですね……わたしの名前はハク……」
「ハクさんありがとうございます」
「いえいえ……そんなたいしたことしてないですよ……」
「ん? 誰かきてないですか?」
ハクの後ろからガサガサと聞こえた。
誰かこちらに近づいている音のようだった。
「おい、お前何してるんだ!」
急に木の影から声し姿を現した。
それは、街を襲ったスライムの少女だった。




