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全てを救うには勇者が足りない!  作者: 杞憂 優斗
一章【弱い自分】
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一章第三話【足りない】

 鎧の男ニ人にりょうとミアは馬車のよなところに無理やり乗せられた。

 馬車と同じ仕組みだがひっぱっている動物は馬の頭に長いツノが刺さっており、それはまるでユニコーンのような特徴の動物だった。

 だがネットでよく見るユニコーンとは違い白で綺麗でキラキラしたものでなく少し毛並みな綺麗な茶色の体だった。

 角が刺さってること以外は馬そのもののようだ。

 

 カタカタと乗り物が動き出し、けして乗り心地がいいわけがなく少し酔い酔いそうだった。

 酔いそうなことよりこの後、何があるのがわからず不安しかない。

 自分はどうでもいいがミアに何か変なことされないか不安で仕方ない。

 初対面で他人のことを心配するのはおかしいかもだけどもし自分のせいで人が嫌な目に遭うのが嫌だ。

 

 りょうは頭を抱えうずくまり、ミアは周りを見渡し鎧の男を睨みつけている。

 ミアが口を開けようにも鎧の男二人は睨んでこちらを睨み返し、ミアはため息を吐き、おとなしく座わっている。

 

 りょうは頭を上げ、窓がついているのでこの世界を少しでも知るため外を眺めた。

 外を眺めると魔女の帽子を被った者や鎧を買い、喜んでいる者などファンタジーらしい景色が見られる。

 髪色や目がカラフルで黒髪、黒目の人が一人もいない。

 ゲームの世界観そのもので自分たちは違和感しか感じなかった。

 外を眺めているうちにもうすぐ城に着きそうだ。 


「もうすぐつくぞ。おとなしくしとけよ」


「無理やり急に連れてきてその命令口調なに? 私、怖いんだけど?」

 

「うるさい黙れ! もうついたぞ! 早く降りろ」


 いつの間にかりょうたちは城の前まで来ていた。

 鎧の男一人がりょうたちを催促し、もう一人の鎧の男はりょうとミアを見張って城の中に入った。

 ミアと俺は怯えながら城の中を歩いていき中はファンタジーよくある城で階段を登っていった。


「無礼のないように」


 王の間らしき所の前で言われ、緊張しながら王の間に入っていった。

 王の間は部屋の真ん中に長いレッドカーベット、玉座は二つありどちらも金色に輝いていた。

 玉座に王らしき人と女王らしい人が座っていた。

 王は白い髭を生やし、老人には重そうな王冠を被っており、王女は王と違い、三十前後の女性で、小さなティアラを着ている。

 服も豪華で赤を基調としている。


「突然なことでびっくりしたじゃろ。わしはゼントル・ファーベストじゃ。ここの王なのじゃ。お主たちが異世界からきた者じゃな?」


「えっと……はいそうです!」


 ミアは流石に王と知るとタメ口はやめ、敬語で話しているようだった。


「わらわは女王、アビリア・ファーベスですのよ。異世界から来た人は黒髪、黒目なのね。この目で見れるとはうれしいものね」


「ゼントル王、初めまして、私たちはここで言う異世界から来ました!」


 りょうとミアは頭を下げ、王と女王の声を聞くため耳を澄ました。


「そうかそうか。騎士たちは無礼なことは言ってないかじゃ? 勇者に酷い態度なんて処刑じゃ」


 ゼントル王の言葉を発したとき鎧の男たちはびくりと肩を震わせた。

 自分たちがどういうか不安で仕方がないのだろう。

 でも鎧の男たちがやってきた態度は酷いものなので処刑は明らかやりすぎだが自業自得としか納得してしまう。


「えぇ私たちは力ずくでどこに行くかの説明はされずで連れて行かれました……言葉も乱暴でとても怖かったです……」


 ミアが喋り終えた後、とんでもない光景が広がった。

 

 アビリア女王は服の中に仕込んであったナイフで二人の鎧の男をの頭を切りその場に倒れこんだ。

 血は大量噴き出し、王の間は元から赤いカーベットに血が吸われていった。

 

「おい! あれほどいったじゃろ! ばかのか!? もう喋るのではないぞ! まぁ喋ることもできないかもじゃが」


「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁっ」


「え?」


 りょうは叫び、恐怖で体が固まってしまう。

 ミアは突然のことで驚いた表情でキョトンとしている。


「私たち……死んで償って欲しいと思わないですよ……や、やりすぎです……本当に処刑すると思わなかったです。しかも目の前で」


「世界を救う勇者に失礼なことを言うんだから死んだほうがいいと思うのじゃ」


「世界を救う勇者? どういうことですか?」


「突然のことで申し訳ないのじゃが異世界からきた勇者五人で、魔王を倒してほしいのじゃ」


 目の前で起きたことが衝撃的すぎてRPGのテンプレみたいなセリフがかすんでしまう。

 すぐに処刑できてしまう王の言うことを聞きたくないが断ると首を刎ねられられてしまう。

 異世界に来る前、ゲームのあの長文通りなんだろうけどこんな物騒な世界だとは思わなかった。

 なんとなく城の前についた時に何言われるか察したが王や女王が怖いとは思わなかった。

 行動や言葉、態度一つミスるだけで自分やミアの命がなくなってしまう。

 

 りょうは恐怖で喋ることも頷くこともできなかった。

 ミアはりょうのようすをちらっと見てゼントル王と会話をし始めた。

 

「ところで、ほかの勇者はいないのかじゃ……?」  


「すみません、少なくともそれっぽい人がいませんでした」


「勇者がいないじゃと……騎士に探させても君たちしかいなかった」


「そうなんですね。残り三人もいるんですね」


「ええそうじゃ。すまんが、他の転移者を探しながら冒険をしてくれると助かるのじゃが……」


「私たちいろいろと言われて混乱しているのですが、わかりました」


「異世界とここの言語が違くて会話が不便じゃろう。この機械を付けるのじゃ」


 異世界らしくない、機械が差し出された。

 差し出したのは黒のイヤリングのようなものだ。

 ミアのイヤリングと違いミアのイヤリングは丸っぽいものだが渡されたイヤリングは四角いものだった。

 アビリア女王はりょうとミアに優しくイヤリングのようなものを片耳につけた。


「それは言語変換機じゃ。つけるとここの言語が分かるそして、ここの住民にも分かるよう翻訳を自動でしてくれる品物じゃ」


「知らない世界に来て大変だったでしょう。言語も違いますから」


「わしらお城の者は言語変換機をつけてるから最初っから言語がわかるのじゃ」


「ありがとうございます! 言葉はわからないのは不便ですから助かります!」


「お金も武器もないと困るじゃろ。これをやろう」


 渡されたのは銅貨五枚と錆びれた剣と苔の生えた杖だった。

 フリオン基準なら銅貨一枚百円の価値だがフリオンの世界とは似てるといえ、魔王討伐させようとするんだからもっとフリオンより値段は高いはず。

 フリオン基準なら五百円では安い宿すら泊まれない。

 王からもらった武器はフリオンのチュートリアルでもらった武器よりひどい品物だ。

 お金も普通に生活するにも足りない。

 ゴミを押し付けられ、魔王討伐などふざけてるにもほどがあるだろ。

 支給品もゴミとかおかしい。

 RPGゲームで金持ってるはずの王様に渡されるのは弱い武器と少ないお金を渡される。

 でも実際にこんなのはひどくすぎる。


「王様! このお金と装備はないですよ!こんなのゴミみたいじゃないですか!」


「勇者よ。頑張って欲しいのじゃ。たとえ弱い武器でも勇者はきっと強いはずだからここらへんのモンスターなら倒せるはずじゃ。なんせ魔王城から離れてる街だからモンスターは弱いはずなのじゃ。倒した素材を店で売ってたらすぐ稼げるから大丈夫じゃ」


「でも強い武器とはいわないからせめて武器屋に売ってる武器ぐらいにしてくださいよ……武器屋以下の装備出さないでください!」


「なんじゃ? 文句でもあるのじゃな? 少ない資金や装備を勇者たちにやっているというのに……わがままな勇者で残念じゃ」


「さっきの時もすぐ処刑にして目の前で殺してそしてこの世界で最強の魔王の討伐で冒険者初心者より酷い武器と安い食べ物を少ししか買えない金額で魔王討伐とか頭おかしいんじゃないの?」


「ミア! すみませんゼントル様アビリア様、大変ご無礼をおかけしました。ミアには後でキツく言っときますのでどうか許してくれませんか?」


 りょうは深く頭を下げ、ミアの頭を押し付けるように頭を下げさせた。

 ゼントル王はチッと舌打ちした後ため息を吐き髭をいじりながら口を開けた。


「勇者だから許すが勇者じゃなかったら一瞬で命はなくなってたのじゃ。まぁよい今後言動にも気をつけるようにじゃな。わしやアビリアの攻撃じゃまだ勇者は弱いから一瞬で死ぬのじゃ」


「ミア謝罪……」


「……申し訳ございませんゼントル様」


「次はないのじゃ」


 ミアの命はなったがそんな怒りの表情で感情的になるとは思わなかった。

 次あったら今度こそ命がないから自分もミアも気をつけなければならないな。

 ゼントル王はなにか思い出したかのようにガサゴソと服からなにかを取りだした


「そうそう、転移者を見つけたら、これでわしに連絡してほしいのじゃ」


 渡されたのは黄色の古びたガラケーだった。

 異世界らしくない物がでてきたが使い方は一緒っぽい。

 一気に現実が襲ってきた感じがした。


「使い方はわかるか?お主の世界の通信機器と似た仕組みになっているはずじゃ。充電は要らんから安心せい」


「ありがとうございます」


 充電は要らないのは便利でいいのだがガラケーなのが、問題だが現実に欲しいものだ。

 どうしてガラケーなのかわからないがでもせっかくだから魔法を使ったものがよかった。

 そしてやはり今後の連絡をあの王にしないといけない。

 正直モンスターなんかよりも王に殺されそうな気がした。


「では、頑張って魔王を必ずや倒してほしいのじゃ」


「……わかりました。俺たちで魔王を必ず倒します」


 俺たちは城を出て噴水のところにもどった。

 まだパンが残っていたが食べる気持ちにもなれないし食べても血生臭い匂いを思い出してしまう。


「リョウ! パン食べる?」


「疲れた。食欲ないな。ミアが食べていいよ」


「いただきまーす!」


 ミアはさっきのことがなかったのようにのんびり笑顔でパンを食べ始めた。

 激ヤバ王に殺されそうになったのに呑気でいられるのは逆に尊敬する。


「あ、食べ終わったら外出てモンスター狩って行こっか!」


「そうだね。行こっか」


「どんなモンスターいるかなぁ? 街に出たスライムみたいに強くないといいけどね!」


「割と瞬殺だったような気がするけど……」


「そうだっけ? まあいいや!」

 

 ミアは無邪気な笑顔でりょうのほうへ笑った。

 食事を終えたあとりょうとミアは街の外へ向かった。

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