一章1話【何気ない日常はもうない】
「りょう……逃げて……早く……」
誰かはわからないが少女の声が微かに聞こえた。
魔王城での戦いでほとんどの仲間が消えていき、りょうと誰かは思い出せない仲間しかいない。
これも全部あいつのせいだ。
だけど気づけなかった自分も大っ嫌いでけっきょく何もできなかった。
「早く……もう…」
「あ、あ、あぁ……うぅ……ごめんっ」
視界がぼやけながらも全力で逃げて逃げて逃げてまた逃げて。
仲間がいないので魔王討伐は無理それどころか今逃げても傷の後遺症でどうし死ぬ。
どうしようもないのはわかっているが少女の最後の願いを無視するのはだめなような気がする。
少女は両手が引きちぎられ、両足も骨が見えるぐらいえぐれて助かることもない。
りょうの顔に血が滴っていて痛みは不思議と感じない。
走っても逃げられないどんどん走れなり意識が遠のいていく。
「あぁ……今、やっとわかった……」
りょうは魔王城にて力尽きた。
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朝の鳥のさえずりが聞こえりょうの顔に太陽の光が当たり目が覚めた。
りょうの顔に汗が流れ、まるで運動をした後のようだった。
スマホのスタート画面の時間は午後10時をさしていた。
「眠いもうこんな時間か。今日の夢はすごいな……」
りょうは顔の汗を机の近くのタオルで拭いてまたベットに戻る。
「あ、そうえば今日はゲームのサービス終了か。せっかくだし最後にちょっとやるか。ゲーム、久しぶりにやるな……」
高校の頃ハマってたゲーム『フリダジオンライン』が、サービス終了するので、久しぶりにやりたくなってしまった。
フリダジオンライン通称フリオンと言われ、ジャンルはMMORPGだ。
メンバーを集め、クエストやストーリーを進められるよくあるオンラインゲームだ。
このゲームのすごいところは、キャラの職業やクエストの種類が多く、攻略サイトでもまとめきれない程である。
そしてモブキャラも数え切れない程でまるで、実際に存在しているかのようなキャラのリアルな過去も一人一人設定されている。
このゲーム難しいで有名だ。
細かくキャラの設定や膨大なクエスト量があり、難易度も細かく設定されている。
初心者にも突起やすいが、ストーリーの中盤から心が折れサブクエストをする初心者も多いだとか。
上級者はメインストーリーをクリアするためにサブクエストをやるのだ。
やっている人が多いがメインストーリーをクリアした者は誰もいないらしい。
ゲームをやり始めたときは一人じゃ無理と思いメンバーを募集して、よく遊んでたな…懐かしい。
五人の少人数パーティーだったが、それなりに難しいクエストをクリアすることができた。
みんな仲がよくゲーム以外のことも話した。
リーダーとしてはほとんど何もしてなかったがその仲の良さが感じ取れてよかったが不安もあった。
その不安が的中し今はメンバーとは全然関わっていない。
最後、良くないことになってはしまったがなんだかんだ楽しかったんだよな。
もう一度他のメンバーと遊びたいとは思わないが『みや』ならまた仲良くしたいとは思う。
みやは良くも悪くも優しい性格で、自分から喋るのは苦手だがパーティー内では一番強い。
みや……いや、もう考えないほうがいいのかもしれないが今はどう過ごしているんだろう。
わからないがもう会うことはないはずだ。
今となっては大学三年生、ゲームはあまりしなくなった。
勉強は忙しいわけでは無いが、ゲームのやる気がしなくなった。
数年経ってるとはいえ、今でも人口が多いと思うがどうしてサービスが終了するかわからない。
今のゲームに劣らないいや、それ以上のゲームなので引退する人が少ないと思う。
流石に全盛期よりは人は減ってるとは思うが、それでもこのゲームが好きなユーザーが多いので悲しむ人が多い。
ゆっくりとスマホのホーム画面に映ってるフリオンのアイコンをタップする。
『フリタジオンライン』
ゲームを開く音がなり、ゲームの題名が流れる。
その瞬間、長い文章が流れ込んできた。
〜勇者へ〜
あなたは勇者に選ばれました。
この世界は魔王に支配されかけ、人間を恐怖で支配し天下統一を目指している。
ずっと魔王の討伐を試みるが、念入りに準備しても力の差が圧倒的で討伐ができない。
そこで七の賢者の一人『マツバ・クリサンサマム』が魔法陣を書き出した。
それは、百六十八年に一度異世界から勇者が五人召喚されるというもの。
だが、その魔法陣は完璧なものじゃない。
必ず勇者が魔法陣の近くに召喚されることはない。
バラバラに召喚され、魔王に殺される可能性があるので急いで勇者を集め、魔王に向けて強くさせる必要がある。
勇者の特徴はあなたと同じ、黒髪で黒目が召喚することが多く体の何処かに星の形が描かれている。
勇者には、特殊スキルが付与されとてつもない力がみなぎる。
戦闘を繰り返すことで、勇者はその分強くなる。
その力があればいつか倒せる。
君たち……いや勇者たちならなんとか止められるはず。
勇者たちよどうか世界を救ってほしい。
勇者よ。かならずや────
「なんだ? こんな文章は今までなかったのに」
スクロールしその文を読み終え、進むボタンを押すやっとタイトルが開いた。
ゲームをやろうとしたそのとき、部屋のドアの開けると音が聞こえた。
「りょう、白菜買ってきてくれない?」
「今ゲームしようとしたところなんだけど」
「ゲームばかりしてないでたまには外でて歩きなさい」
「……白菜以外は? どうせ他にもあるんだろ?」
「白菜買い忘れただけだからそれだけでいいわ」
「はいはい」
りょうのお母さんがりょうに買いものを頼んだのでスマホの電源を消し、スマホをズボンのポケットにしまった。
ゲームをしたかったがしかたなく買いものの準備をし、古いパーカーのまま、玄関まで向かう。
「いってきます」
「いってらっしゃい。気をつけるのよ」
りょうのお母さんの声を聞いたあとドアのほうを見ててをドアノブに触る。
ドアを開け外に出ようとしたそのとき、突然めまいがし意識がもうろうとした。
「いったい何が……視界がぼやける……」
世界が揺らいでるようにみえる。
徹夜したわけでもないしどうして。
「ちょっと大丈……」
最後は小さくお母さんの心配するような声が聞こえた気がした。
────ここは一体
目が覚めたら見覚えのある様なヨーロッパ風の街並みの中にいた。
家から出ようとしたらクラクラしてそこからの記憶がないここはどこなのだろう?
日本とは思えない街並み、ゲームで見たことのある住民の服装、信じられないがもしかしてゲームの世界なのかもしれない。
違うところもところ々あったりするが、フリオンにこんな街あったような気がする。
もし、フリオンの世界だとしたら最初は冒険者ギルド行かないといけないが異世界に適応できるほどの適応能力がない。
まずそもそも本当にゲームの世界なのか?
疑問に思いながら周りを見渡した。
道具屋や鍛冶屋、教会も少し形が違うように感じるがフリオンとほぼフリオンの世界だと感じた。
まぁ確証がないが。
そしてここの人たちは髪色、目の色、服装はまるでファンタジーゲームのようだ。
現実ではありえない光景だ。
ゲーム世界に来た心当たり? といえば家を出る前、ゲームを始めようとして最初にでてきた勇者に選ばれましたって文?
その文が本当なら自分は勇者?
そんなことを考えているとりょうの周りの人がりょうのほうを見て、まるでりょうがゴミのような目で見ている。
何かおかしいことでもしたのかとも思ったたが明らか周りと浮いている格好なので変な目で見られるのも無理がない。
りょうは黒髪で黒目そして黒のパーカーに下はジーパン、靴は黄色のスニーカー。
もちろん、こんな姿をしている人は周りにはいない。
確かにファンタジーゲームの世界でこんな現実にいる一般人はここでは浮いて見えてみるのはまだいい。
だけどそんなゴミのように見てくるのが精神的にしんどい。
あまり見ないでくれ。
記憶を探りながらギルドのほうに歩いていく。
街の看板が書かれているが全く読めない。
住民たちの言葉も何を言っているかわからない。
「これもしかして詰んでね?」
言葉も文字もわからない、そして異様な見た目のりょうがギルド行っても言葉もわからないので聞いてもわからない。
こういうのって異世界転移? しても言葉や文字が自然と読めるようになってるのにひどいもんだ。
突然わからない言語の国に行ったら言葉や文字がわからないのは当たり前。
少なくともりょうにとっては信じがたいが現実のように感じる。
そんな言葉や文字がわかるのはあくまで漫画やゲームの話だ。
どう知ればいいんだ。
現実の世界の戻りほうもわからない。
あの文で考えるに魔王を倒せってことだろうけど。
まず諦めてここで暮らすにしても、どうすればいいのかわからない。
モンスターを倒して稼ぐにしても武器がないと戦えない。
武器を買うとしてもお金がない。
今のところ、ゲーム世界いわば異世界召喚特典もない。
世界は甘くない。
持っているものはスマホ、財布ぐらいしかない。
ゲームの世界では日本のお金が使えないのだろう。
フリオン通りなら金貨、銀貨、銅貨なのだろうか。
買いものもさせてくれないとはどうしたものだ。
ここで、空腹で死ぬしかないのか?
それか凍え死ぬしかないのか。
改めて終わっているな。
どうしようにもできない。
何すればいい?
他にりょうと同じ転移者はいるのだろうか?
確かあの文に勇者『たち』って書かれてたような?
考えても結局は無意味のようにも思えてきたがどうしたものか。
とりあえず目的もなく街を周るしかないかもしれない。
考えているとき、近くで叫び声らしい声が聞こえた。
「!!!!______」
なにを言っているかわからないが、今はそれどころじゃないようだ。
怖いが少し様子を見ることにした。
「!':",:」
よくわからない言語を聞きながら慎重に近づいていく。
叫ばれているその正体は。
────スライムの集団だった。
住民たちがスライムに吸われ、スライムの中に住民たちが溶けていく。
石を投げて対抗しようとする村人もスライムにはダメージが入らず、住民の足から吸われ最終的に骨すら残ってない。
眺めていてもスライムは増え続け、どんどん大きくなっていく。
緑黒く、ところどころ溶けているような体、そして、スライムのような体。
この少女が黒幕なんだろうか。
ただのスライムかとは思ったがゲーム通りなら、ここの街の住民はモンスターとは戦えなかったはず。
それなら同仕様もできず、叫び逃げ回るしかできないだろう。
一応勇者と考えても武器もなく弱いりょうは何もできるわけでもないので逃げる。
しかし、スライムの少女がこちらを見て腹黒く微笑み、指示を恐らく出し、スライムの集団はこちらに気づいて、走っていく。
そこまでスライムは速くないので、いけると思った瞬間。
いつの間にかりょうの周りがスライムに囲まれていた。
「これはまずい」
思わず声に出してしまった。
意外にもスライムの頭が良かったのだ。
スライムが集まり、そしてスライム大きくなり、体長2m以上のスライムが囲んでいる。
スライムの少女がいるのでさらに厄介なのだから。
ゲームにはいなかったしこんなイベントもなかったはず、いや、あのゲームのイベントはあり過ぎるので見つけられてないだけかもしれないが。
そんなことはどうでもいい。今を乗り越えなければいけない。
逃げるしでも周りを囲まれている。
倒すにしろ武器もない。
スライムの攻撃は、それほどではないがゴリ押して逃げてもこの大きさと数の多さに攻撃されたらたまったもんじゃない。
怖い。
もう、ゲーム世界生活終了?
まだ、諦めるのは早いのか?
いや、りょうはここの人たちと一緒で無力なのか。
スライムが一斉に、りょうを攻撃しかけようとした瞬間────
スライムの隙間から黒髪の少女が立っていた。
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