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半分の吸血姫、半分の…?  作者: u-nyu
2.アストラリス大学の学園生活
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2.7.4 交錯する思惑、開戦の狼煙

クロノエルに導かれ、シェリーは夜な夜な自身の力をコントロールするための訓練に励んだ。地下深くにある「裏の聖域」。エンタロピアと調和の心臓を介し、光と闇のエーテルがシェリーの体内を奔流のように駆け巡る。最初は制御不能だったその力も、仲間たちのサポートを受けながら、少しずつシェリー自身のものとなりつつあった。エディは基礎的な体術を、マリアは精神の安定を、ラゼルは力の流れを読む洞察を、サキはエーテルの数値化によるフィードバックを与え、それぞれの方法でシェリーを支えた。


一方で、大学での偽りの平穏は続いていた。シェリーたち「チーム・シェリー」は、フジシロの次の動きに備え、連携の確認や装備の強化を行う。ラゼルは影のようにアストラリスの裏社会を駆け巡り、サキは大学のメインサーバーをハックし、王都に広がる不穏な噂や情報の断片を収集していた。


---

その頃、アストラリスを覆う夜闇のさらに奥底。ヴァレン・フジシロの研究室では、ダミエンとレヴィアが、ホログラムに映し出されたシェリーの生体データと「時の歪み」の観測結果を前にしていた。

「素晴らしい……!これほどのエネルギー、これほどの可能性!まさに『鍵』に相応しい」

ダミエンが、シェリーの成長データを見つめ、不敵な笑みを浮かべた。彼の言葉は、敬意ではなく、純粋な力を求める捕食者のそれだ。

「そうね。あの娘の持つ力は、世界の理を書き換えるほど。放置すれば、世界の均衡は崩壊するでしょう」

レヴィアは静かに答える。彼女の瞳は、データの一つ、シェリーの体内を流れる「光と闇の融合エネルギー」に固定されていた。

「だが、まだ力は不安定。それに、クロノエルが施した『調和の心臓』による抑制は、想像以上に巧妙だ。どうする、レヴィア。このまま『鍵』を育てるか?」

ダミエンは、レヴィアに問いかけた。レヴィアはダミエンの背後に回り込み、耳元で囁く。

「育てるのは、あなたたち定命の者の役目よ。私はただ、その流れを観察するだけ。……だが、そうね。あの娘の力を奪う(あるいは無力化する)ための、独自の方法を探すのは悪くない。時の理を知る私から、少しばかりの知識を授けてあげましょうか、王子」

レヴィアの言葉に、ダミエンのルビーレッドの瞳が、獰猛な光を宿した。


---

時を同じくして、アストラルパレスの一室。フジシロは、高位司祭の豪華なローブを纏い、書斎の窓から王都の夜景を見下ろしていた。

「愚かなる王よ。お前がどれだけ藻掻こうと、時代の流れは変えられぬ。……さあ、いよいよ舞台の幕開けだ」

彼の指先が、不気味な輝きを放つ球体の上に踊る。その球体は、王都の地下深くに開発された、巨大な新型マナコンダクター兵器へと繋がっていた。

フジシロが仕掛けた陽動(デモや小規模なテロ)は、王都の各地で頻発し、王室警備庁や騎士団の疲弊はピークに達していた。そして今、彼の計画は最終段階を迎える。

「起動せよ、機械の軍勢よ!エネルゲイア」

フジシロの声が響くと、王都の中心部で轟音と共に巨大なマナコンダクター兵器が暴走を開始した。周囲のエーテルを無差別に吸収し、都市機能を麻痺させるほどの甚大な被害をもたらす。王都の空が、不気味な赤色に染まっていく。

この「開戦の狼煙」ともいえる大事件の発生を、シェリーたち、王宮、そしてダミエンたちは、それぞれの場所で知る。

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