第78話 ランダムとは
「いやぁ、勝ったと思ったんだけどなぁ...!」
「ハッハッハ!決闘ルールじゃなければ私もあの後倒れていたさ!」
方や悔しそうにストローでジュースを吸い、方や楽しそうにしながらも相手を称えている。
あの決闘から数分後の姿である。
「まぁ、剣刺しても即死はしないけど、まさかそこからまくられると思わなかったよ」
「お二人共、凄かったです!」
近くにあったカフェで一緒のテーブルを囲んで私たちは話をしていた。
「もうやるしかないと思ってね!火事場の馬鹿力ってやつかな?」
あの後エイリークさんがどう勝ったのかと言うと至極単純。
刺したまま一瞬動きが止まったリンに殴る蹴るの連撃を叩き込み、最後に斧を叩きつけたのだ。
「あの時が1番ヴァイキングっぽかったよ」
「ハッハッハ!それは良かった!君は前より天使らしくなったね!?」
「そうそれ!決闘中にちらっと見えて気になってたんだよ!そのせいで負けたと言っても過言」
「そこは過言なんですね...?」
うぐ...
一気に私に視線が集まってしまった...
「びっくりしたよ!決闘終わって人が減ってきたと思ったらふわふわ飛んでくるし」
「私のことはいいじゃん!今は決闘の話する場面でしょ?何を賭けて決闘なんてしてたのさ?」
「我々はあれだよ、普通に力比べさ、なぁ?」
「そうだよ、たまたま出会ったらリス仮面と力比べがしたい!って言われてさ」
えぇ?
そんな強者同士が出会ったらみたいなノリで?
「リス仮面は配信映しそうだったからね!」
「私は私で配信とか気になってたからどんなものか見たくてさ」
「リンさん、配信するんですか?」
「もしかしたらそのうちね?」
リンが配信かぁ...
そしたら兄の方も何かやりそうだなぁ。
「次はオータムの番だよ、それどうしたの?」
またもやリンから矛先がこちらに向いた。
リンが指さしているのはやはり、頭上に光る光の輪。
「これはその...かくかくしかじかで...」
「ふむ、ランダムBOXからこんなものが...」
通じるんだ...?
「そういえばエイリークさんもランダムBOX貰ってるんじゃないです?」
「ん?私はこれだね」
エイリークさんがインベントリから取り出したのは1本のリボンだった。
「リボン?」
「ああ、知らない名前の素材で作られた知らないリボンだよ」
「...ランダムBOXてそんな規模でランダムなの?」
「この世界のあらゆるものからランダムなんですかね?」
「そんなことあるかなぁ?下手したらバランスぐちゃぐちゃになるよ?」
ここの運営がそんな世界壊すみたいなことするかな?
「...あ!」
「どうしたのエイリークさん?」
「これ確かイベントで獲得できるものだって聞いたよ?イベント内容を告知する時になにかあるんじゃないかな?」
「あー...そういえばそうでした、続報待ちかぁ...」
「...でもオータムさんのそれは絶対レアだと思うんですけど...」
「それはそうだよね、だって天使だよ?」
どういう理屈...?
次回、人探し
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