第77話 知り合いの戦い
ミアちゃんを連れて屋根の上に登ると、ちょうど決闘が始まるところだった。
リス仮...リン面とエイリークさんを中心に半透明のドームが広がり、周りにいた人達もドームの外に出ていく。
...これ、参加者以外を弾くけどなんか悪用できそうだなぁ...
そんなことを考えいるとリンとエイリークさんの間にカウントダウンの数字が表示された。
...5...4...
これ外からも見えるんだね、やっぱり観戦もしやすいようになってるみたい。
3...2...1...0!
開始と共に両者共に駆け出す。
縮むお互いの距離、先に動いたのはエイリークさんだった。
エイリークさんは大斧のリーチに入るやいなやダッシュの勢いをそのまま使って横凪に大斧を振るう。
対してリンは、身をかがめてスライディングをしエイリークさんのなぎ払いを回避しつつ背面に回り込んだ。
そしてショートソードで切りつけようとするも、頭目掛けて伸びてくる足を避けるためバックステップ。
これでまた少し距離が空いた。
「どちらが勝つと思いますか?」
「うーん...このままだとエイリークさんかな?リン、まだ長物との戦い方模索中って感じするし」
「リンさん...戦い辛そうですね...」
エイリークさんは自分の距離を保って、振りやすく当てやすいように動きつつ、近づいてくるようなら体術で距離を取ってくる。
対してリンはスピードでどうにか撹乱しようとするも近寄れず、攻めあぐねていた。
「もし、オータムさんならどうしますか?」
「それはリンの立場ならってこと?」
「はい、どうすれば勝てるんでしょう...?」
ドームの中ではまたリンが攻めようとしたところを、牽制で防がれている。
「そうだねぇ...まず、二刀流を辞めるとか?」
「え?二刀流を辞める...ですか?」
「うん、スピードで圧倒できるとか、相手がもっとパワーの弱い相手で、片方で防いで片方で攻撃とか出来るなら二刀流でもいいけど、今回はスピードで圧倒も出来ないし、多分真正面だと両手でも防げないからね...」
リンが持つのはショートソード2本、もっと短いダガーとかならさっきのスライディングに合わせて切りつけたりも出来たけど、近づきすぎると振れなくなるのは大斧もショートソードも同じだ。
「1番簡単なのはさらに遠くからの遠距離攻撃、リンがそんなことできる用意があるのかは分からないけどね。そうじゃないとするなら、大斧を振ろうとしたタイミングで一気に近づいくとか...」
「近づくんですか...?」
「うん、例えば片手を開けておけば振られる前にちょっと抑えて妨害とかもできるでしょ?」
「でもそこまで近づく前に斧を振られてますよ?」
「そこだよね、多分思いっきり踏み込んだら間に合うんだけど、そうするにはまぁ勇気がいるよね...あと妨害して遅らせるとかもできる」
「妨害...どうやって?」
「それはもう...あ、ほら!」
説明しようとしたその時、通じあっていたみたいにリンが動き始めた。
駆け出しながら右手に持った剣をエイリークさん目掛けて投げつける。
慌てて大斧の柄で弾いている隙に接近、左手の剣を右手に持ち直し、大斧の柄を左手で掴んでもう一度隙を作り、右手の剣を突き刺してみせた。
次回、賭け
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