第6話 ていくおふ!
魔法ギルドを出てまた最初の通りに戻ってきた。
どうやらこの先にある門から街の外に出られるらしい。
いよいよファンタジーを肌で体感できる!
...まぁ、背中にもファンタジーなものはついてるんだけど。
門の前に着いた!
大混雑を予想してたけど思ったより混雑してない。
というよりETCくらいするする通ってる。
たまに追い返されてる人がいる以外はほぼ待ち時間なしで通れるみたい。
よーし!私も行ってみよう!
「次の方、どうぞ!」
「はーい!」
予め看板に「身元の証明をできるものをご用意ください。」と書いてあったのでギルド証を手に持って門番さんの元へ向かう。
「これで大丈夫ですか?」
「...はい、問題ないです、お気をつけて!」
ギルド証を見せるとすんなり許可が出た。
偽造ギルド証とか出ないのかな?
それとも見抜ける何かがあるとか...?
まぁとにかく街の外へ!!
「おぉ...!」
門をくぐり、外に出るとそこは踏み固めた土の街道が続く草原だった。
街道をそれればぴょんぴょんと跳ねる何かが見えるし、それを攻撃する人も居るし、少し進んだところには森みたいなものが見える。
街道を行けば他の街に行けたりするんだろうか?
でもまぁ今回はスキルの確認をしに来ただけだから、ほんとに旅に出るのはまた今度。
とりあえず街道をはずれて何かがぴょんぴょんしているのも一旦置いておいて、人の邪魔になりにくそうなところまで移動する。
「この辺りでいいかな?」
ぴょんぴょんしてるのと戦ってる人も少ないところまで来た。
ここなら誰の邪魔にもならない...と思う。
それじゃあ早速スキルを試してみよう!
深呼吸して気持ちを整えて...
まずはこれだよね...!
「《飛行》!」
スキル名を口に出す。
「...ん?」
あれ、発動しない。
「もう一度...《飛行》!」
...あれ?やり方が違うのかな?
うーん?翼で飛ぶんだよね?
...そもそも翼ってどうやって動かすんだろう?
「んぐぐぐぐ...!」
背中の翼の根元の所に集中して、動かすイメージで力を込めてみる。
うぐぐ...動け動け!動いて!...飛べ!
「えっ!?わっ!」
飛べと念じた瞬間、背中の翼がバサリと音を立てて羽ばたいた。
1度羽ばたいただけで体が少し浮き上がってバランスを崩しそうになった。
「も、もう1回!」
もう一度頭の中で飛べ!と念じてみる。
するとまたバサリと音を立てて翼が羽ばたく。
そして体が少し浮く。
「おわっとっと...」
またバランスを崩しそうになるもなんとか踏みとどまれた。
「...よし!何となく動かし方がわかった気がする!」
勝手に動いた翼の動き、その時の力の流れを自分でやってみる。
いわばさっきのはオートマ、これがマニュアルだ。
「確か...ここを...こう!」
バサリ
と一際大きな音を立てて翼が羽ばたき、体が浮いた。
「これだ!もっと!」
2度3度、地面に降りずに羽ばたく。
何度も繰り返し地面からの距離はおよそ5mくらいまで上昇した。
「や...やったぁ!すごい!飛んでる!!!」
バサバサと音を立て私はついに空を飛んでいる!!
「どこにでも行けそう!よーし、もうちょっとあっちまで...へ!?」
お、おち...落ちて...!?
ドサッ...
「いてて...あー!HPが80まで減ってる!」
なんとか頭を守って墜落して、すぐ確認するとHPが80/130という表示になっていた。
そして
「えっ?MP0?」
MPが空っぽになっていた。
原因は...やっぱり飛行?
「10秒くらいしか飛んでないのに...?燃費悪すぎない...?」
これじゃ自由に飛ぶなんて夢のまた夢...
でもさすがにずっとこうじゃないよね?
スキルレベルが上がったりしたら消費量減ったり...しない?
って《滑空》スキルのことすっかり忘れてた...。
滑空出来れば墜落はしなかったのでは...?
...とりあえず後で考えよう...でもMP無いから次試そうと思ってた魔法が使えないんだよね。
うーん...先に《植物採取》とか《歌唱》を試してみる?
...採取するにしても植物とか何も分からないけど...その辺の葉っぱでいいのかな?
...結果で言うと、ダメだったね。
適当に引っこ抜いてみてもちぎってみてもインベントリに入れると雑草って書いてある。
もしかして植物に関する知識がないとダメってことかな?
わかんないからこれも後回し...
次!
お次は《滑空》を除いて最後の《歌唱》!
...とりあえずなにか歌えばいいのかな?
えっと...
「ラ〜〜〜♪」
...うん、リアルより綺麗な声だよ。
特に何も変化ないよね...?
もしかしてフル歌わないと行けなかったり?
これも...後回しというか歌うことあるかな...?
次回、ひっさつびりびり