第43話 星と
フィリスの大声がギルドの中に響き、なんだなんだとザワザワし始めたギルドの中で私とフィリスに視線が集まっている。
い、居心地が悪い...
「声が大きいですよ」
「あ、ごめんなさい...でも星属性だとしたら...」
星属性...?
占星術みたいなもの?
「あの星属性って何なんですか?」
「置いてけぼりにしてすみません、星属性は使い手の少ない本当に珍しい属性なんです、記録上にはあるけれど見たことは無いってくらいには」
「おまけに魔石も私は見た事ないわ」
「わぁ...そんな貴重なものだったんだ...扱いに困りそう」
絶対序盤から手に入るアイテムじゃないよね?
でも《飛行》ができる種族を想定してなかったみたいなのって有り得るのかな?
ここまで作りこんでるゲームだしそんなミスはないと思うんだけど...
手に入れたからといって、すぐどうにかなるものじゃないから良しとされてるとか...?
「やっぱり間違いないですね、これは星属性の魔石です」
資料らしき紙の束とにらめっこしていたマグノリアさんが資料から試験を私に移してそう言う。
「まじか...どうすんのこれ...」
「ど、どうしよう...なにかに使えたりとか分かりませんか?」
「残念ながら私も初めて見たので」
「私も、分からないわね...」
うぅむ、困った...
いくらインベントリがあるとはいえ、貴重品を持ち歩くのは嫌だし、なにかに使えるかも不明。
どうしたらいいのか...
「...貴重品と言えばフィリスさんが拾った高純度光属性の魔石はどうしたんですか?」
んん?
「えっ!?あればその...色々あって無くなっちゃって...」
「無くなった...?紛失したということですか?」
「いやその...属性を抽出しようとしたらなんか液体みたいになって...」
「...液体に?」
「このおバカが飲みました」
「フィリス!?」
「...は?」
ギギギ...と擬音が付きそうな動きでマグノリアさんは私の方を見て信じられない物を見る目をしている。
「い、いや!私悪くないです!フィリスが飲めばいいって言うから!!」
「ちょ!?」
「フィリスさん...?」
フィリスを指さすとマグノリアさんの首もまたギギギ...とフィリスの方を向いてあの信じられない物を見る目でフィリスを射抜いている。
「じょ、冗談!冗談で言ったらこの子が...」
「フィリスさん」
マグノリアさんから凍えるようなトーンでフィリスを呼ぶ。
心の芯が寒くなるような声だ...呼ばれてない私まで鳥肌が立ってきた...
「は、はい!」
「フィリスさん、あのですね...渡り人というのはこの世界での常識は一切知らない言うなれば赤ちゃんのような存在です」
ん???
「はい...」
「オータムさんなんてまだこんな可愛らしい赤ちゃんなんですよ!そんな冗談言ったら真に受けちゃうに決まってるじゃないですか!」
「はい...ん?」
「あ、あの...マグノリアさん...?」
あ、赤ちゃん...?なんで私赤ちゃん認定されてるの...?
「マグノリア?オータムは赤ん坊じゃ...」
「こんななんにも分からない人赤ちゃん以外なんでもないです!」
「な!何も分からないわけじゃ...」
「普通子供でもよく分からない液体なんて飲みません!」
「ゔっ...」
それはそう、でもゲームだし...とか思って飲んじゃったんだよね、何かあるかもとか思って。
「とにかく!フィリスさんは渡り人に迂闊な事を言わない!オータムさんはなんでも口に入れない!いいですか!?」
「「は、はい!」」
...なんでお説教されてるんだろう...?
次回、お、怒らないで...
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