第40話 恐ろしい寝相
...ん?
...あれ、なんか...頭痛くない?
体も痛いくない?痛い...痛いぞ?
それになんか...姿勢がおかしい?
ん、んん?
「ほぁ?」
目を開くと、天井にベッドやらソファが張り付いていて、部屋の中全てが逆さまになっていた。
...いや違う、私が逆さまになってるんだ。
何やら棚にあったものを全部蹴散らして棚の1番上に足をひっかけて逆さまになっていた。
「なにこれ?」
「なにこれ、じゃないわよ!」
声のする方を見ると逆さまのフィリスが何やら怒っていた。
「オータムあんた何してくれんの!?」
「わかんない、私何したの?」
何しろ今目が覚めたばかりだからなんにも分からない。
だからそのまま聞いてみる。
「...はぁ...」
フィリスは怒りの顔から一変して諦めとか呆れとかそういう顔になった。
「あんたをベッド寝かせてたらあんた突然ベッドからぶっ飛んで部屋中暴れ回って今そうなってんのよ」
「なんでそんなことに...?」
「知らないわよ!」
うーん...心当たりといえば夢の中で《飛行》を使ったくらい。
夢の中で使ったスキルが現実でも使われてるんだとしたらもう大惨事な気がするんだけど...
起きる直前まで全力でスキル発動って念じ続けてたから起きるか起きないかのタイミングで発動しちゃった?
「はぁ...まぁいいわ、とりあえず下ろすからじっとしてなさい」
「あ、はーい」
フィリスは私の足を掴むとよっと!と言いながら私を持ち上げてゆっくり着地させた。
...ゴリラ?
「なんか失礼なこと考えてない?」
「ゴリラかな?って」
「...なんだかよく分からないけどぶん殴りましょうか?」
「ごめんなさい」
新事実、どうやらゴリラはいないらしい。
なんとかコングって名前でいる可能性はまだ捨てきれない。
...そんなことよりこの惨状についてだけど...
「治験ってした?」
「ん?もちろんしたわよ?」
「じゃあそれとトントンってことで!」
「...まぁいいわよ、貴重品とかは特になかったし」
おお、良かった。言ってみるものだ...
さすがにお金ないからね。
弁償って言われたらどうにもできないからね。
「リンとミアちゃんは?」
「お店で色々見てるわよ」
フィリスの部屋の扉を開いて店に出るとリンとミアちゃんはポーションを見ているみたいだった。
「おはよー...リン許さないからね」
「ぬふふ...私に勝とうなんざ半年くらい早いよ!」
「おはようございますオータムさん」
「ふんっ!」
「んびっ!?」
リンに近づき頭目掛けてチョップ!
結構力を入れて叩き込んだからさすがのリンでも頭を抱えてうずくまっている。
「私に勝とうなんて1年早いよ!」
「う、うごごご...」
「あはは...2人とも結構拮抗してますね?」
「はい、お店の中で騒がない!」
「はーい、ほらリンふざけてないでちゃんとしなさい!」
「ぐえぇ...理不尽...」
フィリスの目がこれ以上睨むように細くならないうちにリンの腕を引っ張って立たせる。
これであの辱め分も許してやろうと言うんだからありがたく思って欲しい。
次回、謎の結晶
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