言の葉(短編小説)「問い合わせ」
今ここは、あの世なのか?この世なのか?
全く分からない時間を過ごしている。
目の前には椅子と机だけがあり、窓もなければドアもない。
ただ、記憶の中には……おれは生きていない。
だが、真っ暗な部屋の中、何日かをすごしていると思う。
時がなく真っ暗すぎて朝なのか昼なのか?日にちはすぎたのか?全て分からないと言う状況は分かる。
出してくれと叫んでも誰も反応してくれず。
俺の頭はどんどんイカれていく。
「何なんだ……何で……」
理解できない頭が、理解できない答えを出そうとする。
ある日。初めて足音を聞く。
「おい!……おい!」
おれは、必死に部屋の中で叫ぶ。
(問い合わせの時間です。)
子供の声?
「問い合わせ?」
(今の、あなたの状況はいかがですか?)
「は?いや、意味不明だろ!ここから出せよ!」
子供相手とわかると大人は口が悪くなる。脅せば出られると思ってしまう。子供は大人に従うものだから。
(それが答えですか?)
その声は、大人の自分をもゾクッとさせる声だった
「あ?あぁ。」
(あなたの罪は、脳にあるようですね?弱いものは上に従うべし。常に子供、女性を口と暴力で抑え命をも奪う。光から暗闇へ落とした人数分かりますか?)
「そんなの分かるわけないだろ!」
(それが答えですか?)
まただ。また、この言い方、この声。
「答えってなんだ!いいからここから出せ!ださねえと。。。」
突然体が動かなくなる。
「なっなにした?」
(この部屋は、問い合わせの部屋。あなたの心は、何日何時間何年かけても治らないと判断しました。人とは、生き物全てを平等に育て、育てられ、共に生きることが出来る、唯一の生き物。それを、無駄に生きたあなた。残念です。)
その声を最後に意識を失った。
目が覚めると……人ではなくなった。
そして、気づく。
あの声は……オレダ。