表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/219

18.この世界の仕組み

「ふぅ~……さてと」


硬いベッドの上で寝転がりながら、俺はギルドでもらった小冊子をめくった。表紙には金色で『冒険者ガイドブック・初心者編』と書いてある。ファンタジー世界なのに意外と印刷技術は発達してるんだな。


「まずは冒険者登録の項目からか……」


■冒険者登録とは?

『冒険者登録とは、名の通り冒険者としてギルドに正式に登録されることである。ギルドは大陸中に存在し、各都市の支部が連携している。』


「へぇー、世界中にあるんだ。フランチャイズ展開してるんだな、ギルド……」


『冒険者のランクは、Eから始まり、D、C、B、A、Sへと昇格していく。また、Sランクの上にはSSダブルエスランクが存在するとされているが、現在その資格を持つ者はいない。』


「SSランクって、いきなり“伝説の勇者”とか言ってるけど、俺……まだEの底辺なんだけど……」


『Bランク以下は自由にクエストを受けられるが、A・S・SSランクは国家やギルドの要請によって任務が割り振られる場合がある。』


「自由な冒険者って、ある意味ランクが低い方が気楽じゃね?(負け惜しみ)」


職業ジョブについて

「おっ、ここ重要そうだな」


『ギルドで確認されている職業ジョブは、大別して【剣術師系】と【魔術師系】に分かれる。』


「わりとシンプルだな」


『剣術師系:戦士、武闘家、槍使い、騎士、弓使い、シーフ(盗賊)、暗殺者など

魔術師系:魔法使い、魔導士、大魔導士、僧侶、司祭、大司祭、教皇、ガーディアン、預言者、召喚士など』


「うわ、多っ!?しかも“教皇”って政治宗教のトップじゃないの?職業なのかそれ」


『その他:ガイド(迷宮案内人)、錬金術師、占術師、霊話士などの特殊職も存在する』


「よし、どれにも当てはまらない俺は“迷走士”ってことで……」


■魔物について

『魔物とは、魔素の影響を受けた生物であり、自然界に生息する動物や昆虫などが突然変異した存在である。古代より存在する魔獣もおり、それらは強力な“魔晶石”を心臓部に持つ。』


「心臓に動力があるとか、RPGっぽい……」


『魔晶石はその大きさに比例して魔物の強さが決まる。また、討伐時に魔晶石とアイテムをドロップすることがある。』


「いやいや、“ドロップ”って用語まんま使うのかよ!?」


『Bランク以上の冒険者でなければ倒せない魔物も多数存在する。現在、ギルドに登録されている魔物の種類は500以上。未発見の魔物も日々確認されている。』


「図鑑コンプはムリだな……」


魔素まそについて

『魔素とは、世界中に漂う未知のエネルギー粒子である。火山地帯、森林、渓谷など人の立ち入りが少ない場所に多く分布している。』


「つまり、田舎は魔素が濃いってことか。納得」


『魔素は魔法の源であり、人間がこれを効率よく扱えるかどうかで魔力量(=戦闘力)に差が出る。魔素を自在に操れる者は、“魔族”へと変異する可能性がある。』


「へぇー……って、おい待て。俺、魔素多かったんじゃ……もしかして魔族予備軍か、俺!?」


■魔族と魔王について

『かつて存在していた“魔族”とは、魔素を過剰に取り込んだ人間が変異した存在。彼らは高い知性と力を持ち、国家すら滅ぼす力を有していた。』


『その中でも、特に強力な魔素を持つ存在が“魔王”と呼ばれたが、それは俗称であり正式な位階ではない。現在はすべて絶滅したとされる。』


「え、絶滅してるの!?じゃあ魔王倒した伝説の勇者とか、全部昔話ってこと?」


『ただし、魔素の蓄積により、今後も新たな魔族や魔王が誕生する可能性はある。』


「……俺のせいで再来とかないよね?」


■魔女について

『魔女とは、魔導士・大魔導士の中でも、長命種(例:エルフなど)の者が、さらに魔法の極致に達した時、周囲から“魔女”と呼ばれるようになる。』


「勝手にあだ名つけられるタイプの称号なんだな……」


『現在確認されているのは、白の魔女・黒の魔女・赤の魔女・青の魔女の四名。存在は確認されているが、全員所在不明。』


『白の魔女は1000年を生きたとも言われ、最強の魔法使いとして恐れられている。かつて魔王を討伐したのも彼女たちであるという説も存在する。』


「黒の魔女……ヒルダのことじゃねぇよな?いやまさか……いや、ありうるな……」


カサッとページをめくると、最後に一文だけがあった。


「※なお、ドラゴンについての記述は、国家機密にあたるため記載できません」


「えっ!?一番知りたい情報そこなの!?隠すなよおおおおお!!!」


ベッドの上で転げまわる俺。


こうして、俺はこの世界の“仕組み”を、ほんの少しだけ理解した――気がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ